特集ドラマ「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」

NHKスペシャルドラマ。

戦争の話ではあるけれども、戦争の話、というよりも、
戦争が一人の人生にもたらす影響とか、
戦争が日常の生活にどんな影響があるのか、とか、
すごく身近な体験として迫る内容だったと思う。

戦争の是非を問う、という単純なものではなくて、
「周りの空気に流されてしまった」
「自分で考えなくなってしまった」
というところもすごく重要で、戦争になった時に「国のためだから」とか「教科書に書いてあることが正しい」とか「先生(=国)が言っていることが正しい」という空気に流されてしまった、という田中さんの言葉はすごく重かった。

戦争は国という大きな次元で語られてしまうと遠くなるけど、
田中さん、という個人を通すことでグッと近くなる。
ドラマだからまとめられているところもあるだろうけれども、身近なこととしてドラマを通して多くの人に知ってほしい。

「死者23人と聞くと少ないけど、お母さんと妹が死んだと聞くと違う」
というところ。
死者は数ももちろん被害規模としては伝えるべき情報かもしれないけど、その中に自分の身内や友だち、知り合いがいたら気持ちが変わるのは誰でもそうだと思う。
ニュースを見る時、少しだけ想像力をはたらかせたらわかること。

田中さんとタクトくん、シノブくん、ウタカくんとの交流はハートウォーミングでまとめて欲しくないな〜というのが感想。
お互いが対等でお互いを思い合い、
それでいて田中さんはいろんなことを経ていた上でも尚、新鮮な毎日を、
知らないからこそ突き進む小学生3人(タクトくん、シノブくん、ウタカくん)の真っ直ぐさを、きれいな言葉ではまとめないでほしいと思って。
対等で尊敬の念を持っているからこその友情の日々がいとおしかった。

岸部一徳の何十年もあったであろう、苦労やら大変な日々を内包した静かで好々爺な佇まい、かつ、新しい友だち(タクトくん、シノブくん、ウタカくん)をスッと受け止めて楽しむ笑みがすごいな〜

原作もぜひよみたい。


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