夏の雲 シロクマ文芸部
夏の雲の中に別の世界が広がっている。大きな入道雲であればあるほど、別の世界がある可能性は高い。
そんな話を聞いたのは、祖母からだった。巡ってくる夏を迎えると祖母の話を思い出す。御伽話のような話を祖母は夏が来る度に私に聴かせてくれた。まるで夢見るように。雲の中の世界の話を。
雲の中の住人達は毎年メンバーが違っていたが、穏やかで優しい者たちがいつも登場した。人間とも動物とも違う登場人物たち。
私は幼い頃は祖母と一緒に夢みていた。成長すると、なぜ祖母はこんな作り話を楽しそうに話す