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03. 学生ボランティアは誰を支えるのか

避難する人々を受け入れる場所


ポーランド東部、ウクライナとの国境にほど近いプシェミシルという町までたどり着きました。

ここに、避難民の方々を受け入れるArrival Centerがあります。ウクライナ国内から逃れてきた方々はここで休息をとり、欧州を中心に様々な地域を目指して移動を始めます。

私たちは、このArrival Centerで4~5日間の活動をさせていただきました。現在(6月中旬)には、すでに避難民の方々の流入は落ち着いています。とはいえ、未だ多くの方が避難されており、食事や寝泊りに利用していました。

Arrival Centerは平屋で、もともと地域のスーパーマーケットでした。それを改装して、各店舗を登録手続き、母子室、医務室、キッチン、最終目的地別の就寝場所、といった役割に割り当てており、およそ17の機能が備わっています。

食事はWorld Central Kitchenという団体が避難民の方々そしてボランティアスタッフに無償で提供してくださっています。この団体はプエルトリコでの災害支援を機に立ちあげられた組織で、その生い立ちを知るには「We Fed An Island」という本をぜひ読んでみてください。

学生ボランティアの立ち位置とは?


さて、ボランティア活動をいざ始めてみると、私は自分の存在が現場の負担になっていると感じてしまいました。

現場には以前から務めているかつウクライナ語やロシア語を話せるボランティアスタッフがいるのです。何も知らない学生がひょいと現れたところで、即戦力になるわけがありませんでした。ましてや避難の動きは落ち着いています。仕事も徐々に減っているような状況でした。

それでも、わざわざ20時間以上かけてここまで来させていただきました。何かしなくては、何かしたい。その一心でとにかく動いて声をかけてみました。

すると、半日が過ぎた頃にはやっと自分にできることが見えてきました。子どもたちの遊び相手や廊下の掃除、キッチンでの軽食の準備など…。規模が縮小する段階にあったため、手が空いてしまう時間もありましたが、「何もできない」わけではありませんでした。

このように活動する中で、私たち学生ボランティアが貢献できる部分が分かってきました。それは、ボランティアを支えるボランティアではないかと考えます。

私の力では、ダイレクトに避難民の方々の手助けとなり、それぞれの旅路を支えることが難しいかもしれません。

けれども、今まさに避難民の方々を支え、出発までの準備を整える場を築くボランティアの皆さんがいます。彼らが活動しやすく、力を最大限に発揮でき、より専門的な活動に専念できるように、その周辺の仕事を担い環境を整えることはできます。

私が担当した夜勤はなおさらです。人員は日勤に偏りやすく、夜間にセンター内にいる人が増えるだけでもありがたいと何度も伝えていただきました。

ごく短期でしか滞在できないため、あくまでも「経験」のための活動だと捉えられてしまうことは、変えにくいでしょう。それでも、この数日間だけでも、ボランティアスタッフの皆さんが活動しやすくなり、わずかにでも休んでもらえたら嬉しいと思いました。



次回は、実際に避難民の方々がArrival Centerで一時的な”暮らし”を営んでいる点に注目します。