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くっそ!と思ったのは久しぶり

大人になってよかったことは、いい意味で自分の身の程を知っていることです。

多少上手くいかなくても「まぁこんなもんだろう」とあまり傷つかなくなりました。
自分には向いていないことももう大体分かっているので、わざわざ無謀な挑戦をすることもありません。
他人と比べることが無意味なことも知っています。

だからまぁ、いつのまにか自分を甘やかす言い訳が上手になっていたのでしょう。
明確に他人と比較され、評価されることで
「おい舐めてんのか、本気でやれよ」
とビンタされた気分です。




去年、初めて長編小説を一本書き上げました。

小説書き界隈では長編=10万字以上(原稿用紙約350枚分)を書けるかどうかが一つのハードルになっています。

脚本術やらストーリー構成のハウツー本やらプロの小説家のYouTubeを参考にスキマ時間に書き続けること約半年。
どうにかお話を完結させることができました。

大変だったけど「どう頑張っても書けない」訳ではないのだなという経験を得られました。
何より達成感、ヤバかったです。
脳汁ブシャー。

しかし、書けたら書けたですぐに疑問が浮かびました。

コレ、おもしろいんか?


私は面白いと思って書いてるんだけどあくまで主観100%だし。
なんていうか…

 一応建築基準法を守って設計図作って、柱と壁立てて屋根かけて床板張ったけど、この家ほんとに人住めんの?

っていう疑問です。

 そりゃ間取りは好みがあるから気にしてもしょうがないけどさ、住み心地どうなん?

っていう不安です。



そんな疑問を小説投稿サイトで答え合わせすることにしました。結果は、
「見向きもされない訳ではないけど大ウケはしない」
うん、まぁ予想通り。

しかし他の人の、いわゆるウケている作品を読むと私には到底書けそうもないテーマや設定ばかりで、自分の感性が大衆ウケしないことを知りました。
小説を書くこと自体が楽しいので、あんまりウケなくても細々と書こう、という結論に至りました。



そんなときに公募の存在を知りました。
投稿サイトに登録してるなら誰でもどうぞという公募で、入選したら賞金と書籍化です。

小説の書き方を調べる中で、コンテストの話もちょくちょく目にしていました。
数多ある小説の公募で共通するのは、一次選考に落ちる作品は基本的なことができていない作品である、と。
公募と小説のジャンルが合っていない、文字数の規定を守っていない、そもそも日本語として文章がおかしい等々、作品の内容以前のレベルのものを一次選考で落とすらしいです。

だったら出してみようかな。
一次に通るかどうかで自分のレベルがわかるし。

と、めちゃくちゃ気軽に、ほんとに思いつきで、なんなら出したことすら忘れてたくらいなんとなく応募しました。


そしたらまぁなんと、一次選考に通りました。


へぇ、案外通るもんなんやな。と軽く考えていたのですが、ここで初めてこの公募が

①一次通過作品が全て主催者サイト上で発表されること
②二次選考が最終審査なこと
③一次選考で残った作品の約3分の1が入賞すること

を知りました。

マジかよ。


嘘でしょ?と思いながら主催者サイトを見ると、確かに私のペンネームと作品が載っています。
マジかよ。

人生で公募の類で選ばれた経験が皆無な私は、思考回路がショート寸前を通り越して断線しました。


作品の内容以前のレベルだよ(一次落選)
って言われるだろうと思ってたのに
もしかしたら書籍化だよ(一次通過)
って言われるとは思っていなかった。


最終発表日が近づくにつれてソワソワが止まらず、自分の作品を読み直しては「あーすればよかったこーすればよかった」が浮かんでは消えて何度も主催者サイトを見る日々。

本当に書籍化したらどうしよう。
あ、仕事辞めててよかった。公務員やってたら副業にあたるから書籍化断らないといけなかった。
でも夫になんて言おう。
「実は趣味で官能小説書いてるんだけど、書籍化するからよろしく」?
何がよろしくや。
夫には死んでも読まれたくないのに。

急に目の前に出された商業デビューの可能性に、印税やら確定申告やら書籍化経験者の話を調べまくる中、先日結果が出ました。


落選でした。


くっっっっっそ!!!!!



とスマホをぶん投げました。(クッションに)

ぶん投げたスマホを拾いながら、
 あ、私こんなに書籍化するつもりでいたんだ
とちょっと恥ずかしくなりました。

受賞作品に対する講評を読みながら、自分の作品に足りないものを痛感しました。
そりゃ色々足りないよ、だって初めて書いた長編だもん。
でも「全く駄目」じゃないんだと思うと一次審査通過だけでも健闘した方だと思いました。

もしかして応募数がすごく少なかったのかな?とも思ったのですが、過去最多の応募数だった上に一次に残った作品は例年よりかなり少なかったのです。
うん、大健闘でしょ。

……いや、でもやっぱり悔しい。マジで悔しい。
10万字書くって本当に本当に大変で、1日100文字でもいいから書くんだと決めてひたすら書いて、それでも話を上手く動かせなくて、官能シーンは「これ本当にエロいんか?」と思いながら真顔で書いてるし、男目線の描写のためにAV見過ぎてお気に入りのAV女優までできてしまったし、

何より趣味がお金になるかもしれなかったのに!!!

くっっっっっそ!!!!!
(2回目)



煩悩にまみれた叫びを垂れ流してすみません。
ちょっと本気で、もう一度小説を書こうと思いました。
本気で書籍化を狙いにいってみよう。

あー悔しい。ちくしょー。


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