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6月19


拝啓、夏があまり似合わなかった君へ


「これは雨だよ、涙ではない」

泣いているのか笑っているのかも

分からないように、せめて雨は降っていて欲しい


君の言葉を思い出す

流れる涙に嘘って名前をつけていたっけな

ああまたいつもの嘘泣きか


お互いのことを知っているようで何も知らなかった

喧嘩ばかりで好きなのか嫌いなのか

分からなくなってしまった

この感情、疲れちゃったね



僕は

二人でいた時間はできればもう思い出さないで

と、

言えなかった


そうだ、君と過ごした素晴らしい日々を夢と呼ぼう

夢にしよう

君が何も誰も信じられなくなったら

いつもみたいに嘘泣きしていいよ、夢の中でね

僕がいる夢の中で

君が辛くなったら夢の中で会いに行くよ

君に本当に大切な人ができるまで


「晴れた日なんて似合わないから」と

雨に打たれながら泣く君、いや笑っていたのかもな

いつもの嘘泣きだったのかもしれない

君のことが忘れられない



君と最後に過ごした6月19日が過ぎた

どこに行ったって君は見つからない

ここで待っていても君は戻ってこない

君はどうして大事なものは無くしちゃうの?

と僕に聞いたよな

どこへ行っても探せる“自信”があるからだよ

君は帰ってくると思っていた

僕は、僕に自信が無かった


僕もたまに夢の中で嘘泣きしてみよう

そうしたら君に会えるかな

君と過ごした時間は嘘では無いから

君を好きだったことは嘘では無いから


君の中で、僕が思い出になってしまう前に



元気にしてるかな、僕は変わらずロクデナシだよ

君も君のことだからきっと下ばかり向いているだろうな


そういえばこの街の夕陽が綺麗なこと気づいてた?

いつも二、三歩前を歩いていた君と夕陽は

笑えないくらい綺麗だったよ

知ってた?


嘘なき/マカロニえんぴつ より

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