イヤホンを忘れたから音楽の代わりになってよ
イヤホンを家に忘れたまま、会社に来てしまった。
それ自体にあまり問題はなくて、
予備の有線のイヤホンはいつもカバンに入れているからWEB会議には参加できるし、
ほかに会社で使う用事もない。
ただ行き帰りのお供がいなくなってしまった。
移動しながら有線のイヤホンは使いづらい。
音楽が手放せないわけじゃないけど、
いつも聴いてるものだから、
音楽を聞いていない帰路を想像すると何だかつまらなく感じる。
仕方ない、家に帰ったらちゃんと探そう。
△
そろそろ帰れるかというころになると、
同居人にそろそろだよということを連絡する。
すると、わたしより終わりの遅い同居人が珍しく自分ももうすぐ出るという。
あ、じゃあ
イヤホンを忘れたから音楽の代わりになってよ
といいかけて やめる
これはいい文だ!と感激している気もするが、
その実まったく言える気がしなかった。
そしてたぶん伝わらないだろうなと思い
あらためて
途中の駅で合流して一緒に帰ろう
何なら会社まで迎えに行こうか?
と打ち直す
同居人は駅で落ち合おうと返してきた
るんるんで会社を出る
でもいまさら、
音楽の代わりに、というのは
何だか遠回しな言い方でよかったかもなーとか
いつかの青春小説のタイトルにしようかな
とか考えながら、
駅に向かった
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