見出し画像

読書日記58

GIG WORK

 長倉顕太さんの著作「ギクワーク」という新しい仕事の仕方について書かれている。著者はアメリカと日本に交互に住んでいて、アメリカでUberという自分の車で移動させるアルバイト(タクシーの個人版)で30~40万ぐらいを稼ぐ人の話をする。会社に勤めない仕事のスタイルというものなんだけど、日本ではUberは白タクといって犯罪になっている。Uber Eatsはすごく広がっている。

 それには歴史があって、昔はタクシー業者に免許とかなかったので籠や(えっさほいっさ)の時代(江戸ぐらい?)から犯罪が絶えなかった。狙われるのは特に旅人の女性で1人で乗ると身ぐるみはがされて外に捨てられたらしい。落語の中では旅に出て何故か女郎屋に売られたって話が結構ある。戦後も凄かったらしく街中で客引きをする女性が被害にあったらしい。防犯と税金をきちんととるためにタクシーを免許制にしたという経緯がある。

 脱線してしまったけど、新しい働き方として「ギクワーク」は注目されている。(ギグエコノミー)というのはそもそもジャズミュージシャンの間で使われていた用語で「単発の演奏」を意味するらしい。フリーランスでの新しい働き方ということなんだろう。インプロビゼーション(即興)でやることが多いジャズもそういった意味に拍車をかけるらしい。特定の仕事を指すわけでなくフリーランス全般に表す言葉(総称)らしい。

 著者は元編集者で「編集者最強説」を伝える伝道師であり、作家であるらしい。会社もいくつか経営し経営も上手くいっているらしい。日本はデフレのおかげで物価が安くなり、今では世界一高いと言われた物価も今は先進国では少ないらしい。会社の規模も小さくなり今では世界トップ50に入る会社はトヨタ自動車だけになってしまったという。

 フリーランスでできる仕事とそうでない仕事というのでは日本はアメリカにはなれないというか無理だと思う。雇用を守るために製造業を戻さなければいけないけど給料や物が安くなったなら日本で作っても大丈夫とならない。余計に製造業はなくなっている。なぜ?というと税金が高いのと環境汚染の問題とかで地方の製造業が極端に減っている。「内部留保があるから企業から税金とれ」というが企業は優秀な税理士をたてるし、儲かってなければお金を払えないから儲かるものなんか日本で作らない。

 中国とかは税金とかを優遇し儲けを最大に生かせるので大企業は投資をして「儲かるもの」を沢山つくる。日本に住む日本企業で働く製造業は先細りになっていく。その中で「個人事業」がいつまで続くか?というのと、タックス(税金)の問題がある。アメリカは子供のころから税金のことをしっかり教えるし、個人の申告とかなんて当たり前の国なので個人になっても大丈夫だろうけど日本だと難しいと思う。子供少ないのに育児休暇も取れないフリーで子供を育てることが出来る技能を持つ人が何人いるか?は国の存続にもなる。

 個人で稼ごうが会社に勤めようが税金を納めないとだけど、個人事業だとまともに税金なんて申告しないからホントにそうなったら税金の督促が横行すると思う。今なんて競馬で儲けたことをTwitterにあげてる人に「税金をはらいなさい!」とツイートする人がいる。なら競馬ですった金を収支で申告できるならマイナスの人は税金少なくてすむけどなと思うけどそういった発言は少ない(あたりまえか)消費税増税とかいうととんでもないと思うけど、外国は消費税で税金を取るのは当たり前なので日本では徴収がすごく難しい。

 税金を納めて尚且つそれが誰かだけに負担にならず、そしてそのお金がセイフティーネット(育児手当・休業や失業補償など)になるなら会社なんてなくても仕事なんて派遣とか契約社員とかフリーランスでいいと思うけどそういうのがないのに、勝手に色々やるととんでもないことがおこる。竹中平蔵が大臣をやった時にすごく派遣が増えた。そのおかげで社員が働らかなくなって企業が衰退し、今になって社員を維持できない会社が増えている。バタフライエフェクトじゃないけど今のポリシー(政策)が今後に影響していくので全体でしっかりやってほしい。

 今だって会社を辞めると自動で国保に入れない厚生年金保険は代行してくれる。入らないと治めなくていいかというとそんなことはない(不思議だ)税金とか年金とかもしっかり払わないといけない。税金とかを気軽に相談できて安く書類を作ってくれる人たちが増えればまた変わるのか?それはよくはわからないけど色々を考える時代にはなっていると思う。今の会社の価値は「資産価値」でそれは株などの会社が刷った金融商品の価値で企業の価値が決まる。だからだた「儲けますよ」の会社では駄目になっている。

 そのお金でオンリーワン企業になるMicrosoftの頃は「OSソフトの販売」や「Xboxつくる」と簡単だったのがグーグルになるとよくわからない。僕らがグーグルにお金をだしてというとアプリ買ってぐらい。他も大体そうなのにお金は儲かってるしとなると「いい事ばかり」に見えるけど「フィルターバブル」というのがあるらしい。グーグルやフェイスブックでは利用者の動向を学習しレコメンド・アルゴリズム(推薦機能)で好きなものしか情報をくれなくなっているらしい。どんどん情報が偏っているらしい。

 色々な現実を痛烈にみせてくれる著者は文章はため口のようで辛辣だけれどズバズバと突き刺さる。ちょっとGig Workという言葉が気になって読んだけどためになりました。(長くてすいません)


 

 

この記事が参加している募集

#読書感想文

191,340件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?