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読書日記55

まぐだら屋のマリア

 原田マハさんの作品で人情ものといっていいのか、浄化される物語とでもいったらいいのか難しい作品。後はご飯のことが書かれているので「食べ物」の物語でもいいのか?まぐだらというのはこの小説ではマグロとタラの間の子とされて凄く美味しく食べれるしたちどころに病気がなおるらしい。(架空の話みたいだけど、どっかにありそう)

 これの元になる伝説まで存在する。それはその土地の姫が病気になる。それで召使いの女性が薬草を探しにいく。それは海の崖っぷちにある懸命に女性は薬草をとるが足を滑らせて海に転落する。その時に海の神様にお願いする。「この薬草をなんとか姫のもとに」この姫は殿とこの女性が蜜通をしてできた子供だった。それに海の神は女性の体から魂をとりそこにいた魚2匹に移し替えた。その魚は漁師にすぐ釣られるようにし、その怪奇さゆえにお城に献上された。割くとそこから薬草があらわれた。それを姫が飲み病が治った。それがマグロとタラで「まぐだら」らしい。

 主人公の詩紋は何かに追われるように山陰の地塩(ちしお)村の尽果(つきはて)いう地区まできてしまう。半分死ぬつもりなのかお金はもうない。そこで馥郁(ふくいく)とした追いかつおの匂いがする。お腹がすくそしてそこにいる食堂の女性主人に声をかけてしまう。それは「有馬りあ」という名前の女性だった。みんなには「マリア」と言われている。

 なぜ詩紋はこんな辺境へ来たのかが物語が進むにつれて解ってくる。詩紋は東京・神楽坂にある「吟遊」という高級旅館で腕を磨いていた料理人だった。そこで高級旅館らしからぬ食品偽装や料理の使いまわしをやっていたというので連日報道されて、詩紋の後輩である悠太はそれが原因で自殺をしていた。マリアがそれを察したのかだまってこの辺境の「まぐだら屋」で働いてみないか?と言ってくれたことで詩紋は生きようと思う。

 ただそこら辺は簡単でなくて詩紋がこの本当の女将である桐江家の女将に働かせてもらうことをお願いに行くと女将は約束として「マリアに恋をしないこと」という条件で「まぐだら屋」で働いていいとされる。そしてマリアのことを「悪魔」ともいう。この前半の不思議さにどうなるんだろ?と思っていると話は怒涛の如くに進んでいく。

 とにかく文章がうまいのと上手く絡ませるなとういうかこれのベースになってるのが「聖書」らしい。よくわからないのだけど、確かに登場人物の名前は12使徒と呼ばれる人たちに似せている。マリア・詩紋・桐江・与羽・丸弧・湯田など物語に色々と名前を真似てと登場させている。それとカツオなどの食べ物の名前も入っているし、悠太・静子・春香などの名前もある。

 昔ちょっと教会に通う綺麗な女性と知り合ったことがあって、その女性曰く旧約聖書に書かれているのは「破壊と再生」だと言っていた。「スクラップ・アンド・ビルド」っていう羽田圭介さんの小説の方がなんか近い感じもする。慈愛や友愛の類なら色々とあるし奇跡のようなことも起きない。フィクションであることは最初からなんかわかる設定になっていて、そもそも論じるところでない。

 しかし最後に病気で危篤の女将をマリアが抱きしめるシーンがある。そこで詩紋がみた光景は「聖母子」の図だったと書かれている。wikiで調べると挙って書かれている作品らしく、宗教画の有名な構図らしい。それを見た時の反応を書きたかったのか?キュレーターとしての抑揚をつけたかったのか?なんか聖書とは違う感じだった。現代の「マリアがおりてきた」奇跡みたいな方が近い感じがする。

 最後に詩紋とマリア恋の行方が気になるところだけど、そこら辺は空想であったほうがいいのかもしれない。映像化されても面白い作品だろうと思うスペシャルドラマとかでやらないかな?

 もう少しで読み終わりそうな「まぐだら屋のマリア」を持って散髪屋に行こうと思っていた。並行して何冊か読むので読み終わらせるつもりで机の上に出しで置いたらテト(猫)に表紙をかじられていた。(ものの数分の出来事です)暑いからかこいうことをするのか普段はしない。

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 表紙のなくなった「まぐだら屋のマリア」を持ち散髪店に行き待ち時間で完読した。「まぐだら屋」で出される定食が気になりお腹が空いてアパートに帰るとテトが簡易クーラーの前で吐いていた。(暑いので簡易クーラーつけておいた)

 「あたりまえだろ」と言うと(テトに向かってです)すまなそうなテトをさっとずらしてゲ〇片付けていると、う〇こをした。テトは何故か留守番の時はう〇こをしないので、帰るとよくすることなんだけどそれもささっと片付けて冷やし茶漬けをささっとほうばった。そういうことを凄く気にする人だったのになと思いながらテトに餌をあげてゲ〇のついた身体を猫用のウエットティッシュで拭いてあげた。猫飼うとあるあるらしいです。食事の方にはすいません。

 

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