韓国BL「君の視線が止まる先に」第7話・第8話を本気で見た

これまでの人生で「こんな予定じゃなかった」っていうことがよくあるんですけど、今回もそれでしたね。マジで深かった。
素敵な監督の元に、素敵な役者さん、素敵な脚本と演出、そして素敵なOSTが巡り合って、こんなにも素晴らしい作品を世に送り出してくれたことに心から感謝します。
この作品は設定にしても展開にしても、BL玄人であれば予測に難くない所謂「王道」なものであると思います。私は個人的に、王道にこそ作品のレベルが顕著に表れると思っていて、むしろ王道から逃げずに制作をするのは作品に対して相当な自信があるから。なぜなら、似たような比較対象がたくさんあれば、どうしても高い評価を受けにくい。
この「君の視線が止まる先に」は、珍しくて斬新な作品かと言えば決してそうではありません。だからこそ仕草、会話、小道具、音楽にどれほど気を配っているのか、いかに短い中での構成が工夫されているかがよく分かる。丁寧で素敵な作品だなと思います。

さて、先行配信に日本を選んでいただいた以上どうにかして報いたいところです。目に見える結果が一番強いから、ツイッターのタグとかサントラ買ったりとか再生回数の爆回ししたりとかしてて、少しでも貢献できてたらいいな……ありがとう楽天TV……これからも何卒BL作品に力を注いでいただけますようお願い申し上げます(本気の目)。

不穏さ漂う6話から、第七話:仲直り
グクは歩きながらテジュに電話を掛けると、電話に出ない。
「俺たちはたびたび喧嘩をした。そして、すぐに仲直りをした。今回も同じように、これまでどおりに仲直りすればいい」と思いながら家に走って帰る。すると、家の中は荒らされていてテジュの姿がない。
「おい、ふざけるのはやめろ」といいながら只ならぬ状況に焦るグク。テジュの名前を呼びながら家の中を探し回る。そしてGPSを見て、キーを取って電話をかける。
電話の先はテジュの父親で、留守番電話に「テジュが攫われたみたいです。現在位置を確認することができません。申し訳ありません。最後にいた位置情報の場所へ向かいます」と言ってバイクを走らせる。シンプルにかっこいい。
そしてバイクに乗りながらピルヒョンにテジュから連絡が来ていないかを聞く。そしてテジュのGPSの最後の位置の場所にたどり着いて見ると、テジュのスマホが壊されて置かれている。恐ろしい。
するとピルヒョンから電話が掛かってきて「今から会えないか」言われ「今そんな状況じゃない」と答えるとテジュの話だと言われて顔色を変える。

ピルヒョンの元に駆け付けたグク。ピルヒョンは「俺もよく分からないんだけど」と濁すので、思わず胸倉をつかむ。「ここまでやるとは思わなかった……」「殺られたくなかったらどうしたのか今すぐ言え!」とグクが迫る。
ピルヒョンは「俺が言ったんだ。お前とあいつが二人で裏庭でキスしてるのを見たって……」ちょっと待って。おいおいおいおい。ピルヒョン、お前。まず、喧嘩してるって言ったよね。ねえ?ねえピルヒョン???ねえ?!?????ただの面食いじゃなかったの??!?!?
「会長に言われて、お前ら二人を監視しろって……父親がクビになるかもしれないって……」とピルヒョンの事情を聞いたグクは、胸倉から手を放す。謝るピルヒョンにグクが「よかった」とつぶやく。戸惑うピルヒョンに「それなら会長のところだ」と、テジュが誘拐されたわけではなかったことに安堵する。ピルヒョンは「ハン・テジュ、イギリスに行くって」と言いづらそうに言う。
グクがバイクに跨ると、ピルヒョンが「ごめん。悪気があったわけじゃなかったんだ。この話をしたことは言わないでほしい。話されると困る」と言うので、グクが顔を殴って走り去る。そして殴られたピルヒョンは自分を責める。……なんだよ。やっぱり悪い奴じゃなかった。

家では、父親の前でテジュが正座している。
「二人暮らしをさせるべきじゃなかった」という父親に「カン・グクを叩かないでください。……僕だけなんです」と涙声で頼むテジュ。「お前だけ?」「僕だけが、好きだったんです」とうつむく。
そう聞いた父親は「お前みたいな子を育てるんじゃなかった」「そうですね。いつも失敗しますから」とテジュは寂しさいっぱいの顔で言うのです。跡継ぎとして過大に期待されて、父親に期待通りの息子になれない自分を自覚していたテジュ。そんな時はいつも、今は亡き母親に優しく慰めてもらってたんじゃないかなと思ったら張り裂けそうにつらかった。
そして父親は「男のくせに、母親にばかり似て弱い」と語気を強めると「母さんの悪口を言わないでください!」と言い返す。
テジュが父親に対して常に敬語を使ってるのって二人の距離感を見るのにけっこう重要じゃないかな?と思って、そんな感じで訳しました。間違いがあったら本当にすみません。ど素人が荒ぶった結果です。
するとカン・グクが来ました、と父親のもとに知らせに来る。ハッとするテジュ。そして不安げにグクを探す。
グクは護衛に追い返されそうになるのも構わず家に入ってきたところの、グクのモノローグ「きっとテジュは、別れを経験したことがあるから俺よりも先に分かっていたはずだ。俺は今になって、別れが直前にきてやっと分かった。俺が影になってでもいいから、彼が失いたくない人だったということを」。
ここの「別れを経験した」という点は、これまでテジュが付き合ってきた彼女を指してるのかなと思ったけど、私はテジュとお母さんとの別れを指してるんじゃないかな?と思います。
いつ来るか分からない別れの辛さを知っているから、テジュは自分に告白してくれたのだと気付いた。
中から護衛が出てきて、グクに掴みかかる。殴られて地に伏せると座っているテジュの事が見えて、グクは「それが愛だということ。そして愛の前では理屈なんて通用しないということを」と最後に答えを導き出したのです。そして「初めての経験だったから、今やっと分かった」。すごい。最高だ。テジュの言っていた通り、グクは本当に賢い。と言ったところで7話が終わります。

そしてここでなんとエンディング後に突然のエピローグが来ます。
何やらイケメンがいる話題になってるヘミの店。若い女の子でいっぱいで大繁盛してる中、二人の若い女の子がやってくるとヘミが「あなたのお客さんよ」と言うと、明るい黄色の服着てめちゃくちゃ優しい感じになってるグクが「いらっしゃいませ」と言って働いている……????え???まさか、ヘミと???あなたヘミとうまいこといっ……た?????

このエピローグでざわつきが止まりませんが、最終話の第八話:俺はお前が好きだから
テジュを見つめるグクと、中からグクを見つめるテジュ。家の中に入ってきたグクを止めようとする護衛に、父親は「通せ」と言う。
テジュはグクからそっと目を逸らして床を見つめる。父親はグクに「お前はボディーガードとしては良くやってくれた」「申し訳ありません」「それならお前はなぜここまでのこのこと歩いてきたのか、説明してみろ」と厳しい態度を取る。
グクは「私が勝つことはできないと分かっています。私は何も持っていませんから。でも会長は何もかもをお持ちです」「そう分かっているにも関わらず、一瞬のミスで残りの人生全てを捨てるのか」
「5分、話をしに来ました。15年も付き添っていたので、話をしなければならないと思って」とグクが言うと父親の目線が護衛に向き、護衛がグクの腹を殴る。テジュが心底つらそうにグクを見ていると、父親はまた「お前が間違えるたびに殴られるぞ」と言う。グクを虐げることにより、テジュに実質一つしかない選択肢を選ばせるというひどいやり方です。
テジュが殴られるグクを見ていられなくなって泣きながら「行きます!イギリスに……」と言う。
「騒ぎを起こさず、一人で勉強をして、大学に行って、ちゃんとやります」「どうやってお前を信頼できる?」「明日発てばいいでしょう。本当にちゃんとやるから、一度だけ信じてください。本当に、やって見せますから」グクの目はずっとテジュのことを心配していて、テジュはこれ以上グクが傷つけられないように、必死で父親に自分を信じてくれって言うのがもう本当につらかった。
そう聞いた父親は明日の飛行機の手配をさせる。テジュは「少し待って。今夜だけは家に行かせてください」とグクをじっと見つめながら言う。

家に帰ってきたテジュとグク。グクが護衛に殴られた傷跡を手当てするテジュ「自由にしてやったのに、何で来たんだよ」。グクは「分からないのか?」と聞くわけです……もう胸がいっぱいになるセリフだった。テジュは大きく息を吐いて「イギリスに行きたくない……」とつぶやくとグクが「ごめん」と謝る。
「ああくそ、ピルヒョンのやつ、ぶっ殺してやりたい」と告げ口したピルヒョンのことを言う。それからつらそうに「どうしたってもうすぐ夜が明ける」と言うと、グクは窓の外を見てテジュの手を取る。ここの月明かりに照らされたテジュの横顔が本当に美しい。
連れられてきたのはベッドの上で、グクがテジュのことを抱きしめる。テジュはそっとグクの背中に腕を回す。
「いつからだったかは分からないけど、ずっと抱きしめてやりたかった。好きだよ」
グクはやっとテジュに本当の気持ちを言うことができた。テジュは嬉しいような、切ないような何とも言えない顔になって体を倒す。向かい合ってベッドに寝る二人。テジュはグクのことを見て「何時間後かに行かなきゃいけないのに、なんで告白なんかするんだよ……」と言うと、グクが腰に置かれた手を取り「イギリスで頑張って来い」と返す。ここで、グクはテジュに思いを伝えただけで終わりにしようとしてるような感じがした。
テジュは「ああもう、こんなことだったらあの時キスさせてくれればよかったのに」と裏庭でのことを思い出す。
するとグクがテジュを引き寄せてキスしようとするんだけど「おい、俺は変態じゃないぞ。血が出てるのにキスはしない」と断られてしまう。ここはあの時キスを拒んだグクへの仕返しの意味も含まれたと思う。そして強引にキスしにいかないグクが大好き。大正解。
「……また会えるよな」「うまいトッポギの店探しておいてよ。帰ってくるから」「ダメだよ、お前と俺は行くべき道が違うんだから」「俺の夢は、楽しく暮らすことだよ。俺はお前と一緒にいる時が一番楽しい。だから、ここに帰ってくるんだ」
そんなこと言われたら、グクは絶対にテジュのことを断ち切れなくなる。
グク「俺はお前から視線を逸らしてはいけない」
テジュ「お前は俺から視線を逸らしてはいけない」
グク「目を瞑りたくても、それは許されない」
テジュ「お前が目を瞑りたい時も、それは許されない」
テジュはグクにキスをさせなかったのも、お前といる時が一番楽しいから帰ってくると言ったのも、この先隣にいなくてもずっと自分から目を逸らさせないためだったんじゃないかなと思った。とんだ策士でいてくれという願望込み。
スーツケースに着替えを詰めるテジュに背を向けて横になっていて、テジュはスーツケースを引いて部屋を出て行こうとする。
「俺がお前のことを、「好きだから」
体を少しだけ起こして泣きそうなのを堪えるグクが、テジュの背中を追うのがたまらなく悲しくて死にそうでした。
「逃げたい」
鍵が閉まる音を聞いて泣いてしまうグクが悲しすぎた。
そしてテジュは部屋を出る前に、グクが作った人型のオブジェを持っていくんだけど、あれってもしかしてグクを表すんじゃないかな?と思うんですよね。どこにいてもグクには自分のことを見ていてほしいから。

さて、7話エピローグから繋がって、大繁盛しすぎてぐったりしてるヘミとぶっこみお母さん。後ろにはすっかり明るく人当たりの良いグクがいる。
お母さんが「グク、本当に行っちゃうの」と聞くと「はい、行きますよ」と柔らかく笑うグク。グクの鞄にはあのヘミの守護神がついてて、え?まさかね?結局ヘミと上手くいっちゃったの?テジュと私が泣いちゃうんだけど……???と思ったら、どうやらグクは日本に行くという。
「一回行ってみたかったんだ」「いつ帰ってくるの?」「何も考えなくてもよくなったら」……この何も考えなくてもよい、とはずっと考えていたことがある。それってテジュのことですよね?
お母さんは「かっこいいグクにもう会えなくなっちゃうなんて……どうやって生きていけばいいのかしら」と別れを惜しむ。餞別としてお金を渡してあげたりしていると、ピルヒョンがやってくる。
それを見たグクが席を立つ。ピルヒョンはヘミに「この日をどれほど待ったことか」と言ってプレゼントを渡すと、「お前が隣にいたからずっと不安だったんだからな」と言うピルヒョン。ヘミとグクはうまくいっていない、ただのミスリードでした。あーーーーよかった!!!!私とテジュとピルヒョンが泣いちゃうところでした。
「おい、俺にプレゼントないのかよ」とグクがピルヒョンに聞くと「注文はしたけど届いてない。ごめんな」と言う。そうだね、あんたってそういうやつだよね……。
グクは笑って「大学は楽しい?」「さあな、変な事ばっかり教えられてる。……俺も留学しようかな?」すると、ヘミがピルヒョンの頭を小突いて「バカ!」と言うのがめっちゃいいコンビで上手くいきそうだった。ピルヒョンとグクが別れのハグをして、別れを惜しんでるのにうっかり日本語で「お久しぶりです」と言っちゃうの草でした。ヘミが何言ってんの?!と訂正したり、イケメン大好きぶっこみお母さんとハグするのがなんとも暖かくていい感じでした。
グクがいなくなってとにかく悲しむお母さんとピルヒョン。するとヘミがおもむろに「テジュには連絡した?」「うん。日本に行くって言っても何にも言わなかったけど」と言う。
テジュとピルヒョンがまだ繋がっていた。これはもしかすると、ピルヒョンに定期的にグクのことを報告させてたのかもしれない……。
「かわいそうなグク……弱い子なのに、テジュなしでどうやって生きてくっていうの……」と大号泣。グクは弱くないですって!といちいち訂正してくれるピルヒョン。テジュが隣にいなくなってからのグクは相当参ってたんじゃないかなと思いますね。
と思ったらやってくる次のイケメンバイト。笑顔のお母さんと、「ああ、また奪われる」というピルヒョン。私やっぱりあなたのこと嫌いになれそうにない……。

「テジュが行ってから3年が経った。テジュは帰ってこなかったし、俺はテジュを忘れるために日本に行く」
スーツケースを引きながら歩くグクはすごく洋服も髪型もすごくカッコよく仕上がっていて、3年という年月の長さをしっかり描いていました。
ベンチに腰掛けて座り、遠くを眺めるグク。その後ろを通って、隣のベンチに座る誰か。「位置追跡してやった」とテジュの声がして、思わず振り向く。
テジュが立ち上がった時に背後に虹のオブジェがあって、やっぱりLGBTの6色の虹でした。テジュは「何でここがいいと思った?」と聞いて振り向くと、グクを見て「かっこよくなったなあ」という。
「おい」「日本に行くのか?うまいトッポギの店を探しとけって言ったのに、逃げるのかよ」「ずいぶん早く帰ってきたな……」ここでグクは早く帰ってきたなって聞こえたんだけど字幕は逆で、どっちなんだろう……。私的には早く帰ってきたなって言っててほしい派です。
テジュは「逃げるんなら一緒に行こうよ。俺たちの願い事だったじゃん」と言ってグクの耳に触れる。そしてグクはテジュの手を掴み、うなじに手を添えてキスをする。
キスの後に笑って、もう一度キスをする。
これが15年と3年越しのキス……ということで、最終話が終わり。

最後の最後でテジュがグクから目を離さず、逃がさないようにするために本気を出してたのが良かったです。まるで父親に連れられて行ったテジュを迎えに行ったグクのようで。
幸せに楽しく暮らすという自分の夢と、自由になったにも関わらず自分の傍に戻ってきたグクの願いを叶えるために。これからの二人はきっと前途多難だろうけど、テジュもグクも乗り越えていってくれるといいな。どこまでも逃げていいから、どうか二人が幸せで楽しく生きていってくれますように!!!と願わずにはいられない作品でした。

この「目線」という気持ちを表現するうえで重要かつとてもシンプルな要素によって、二人の気持ちが拗れたり交わったと思ったら解けたりするだけなのに、色んな感情を揺さぶられた作品でした。
グクの目線と、テジュの目線の差の表現と構図がすごい。何と言っても二人の目の演技がとっても素敵だった。
テジュ役のギチャンは今回が初めてのドラマだったということですが、こんなにも美しい原石をみつけられたと思うと最高に幸せ。きっと2、3年もしないうちにとんでもなく化けていくはず。ファンタジオがこの素質を見抜き、ギチャンが目一杯楽しんで演技のお仕事をたくさんしていってくれたらいいな……なんて思いました。突然の親目線を失礼しました(育て専)
長々とお付き合いいただきありがとございました!今回もとっても楽しかったです。

では、何かありましたらコメント、ツイッター、マシュマロにて受け付けております。
今回の韓国語のリスニングはマジで超独自なのでおそらく間違えが多々あったかと思うんですが、韓国人の友達(ジャニオタ)に聞いたりして適宜修正していこうかなと思います……すいません……。ありがとうございました!


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