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見えぬ枷はづれて秋の日暮 かな

夕暮れ時、涼しい風が吹き始めたのでジョギングに出ることにしました。
今年の夏はことに暑かったため、走ることはやめていたのですが、
「そろそろ、この風の中なら走っても大丈夫かな。」
いつもの田畑の間を抜けるコースを5㎞ほどゆっくりゆっくり走りました。

この日はとても迫力のある夕空でした。
荒波の波頭のような雲が空一面に広がり、夕日を受けて艶やかな紅色や黄金色に輝いています。
彼方まで稲穂の続く道を走る私の頭上には、ほぼ180度、極彩色の夕空。
薄羽黄蜻蛉(ウスバキトンボ)が無数に稲穂の上に浮いて、夕空の高みを突き抜けるように秋燕が群れ飛んでいます。
視野に入るものすべてがあまりにも美しすぎる風景だったので、
「なんだか・・・言葉から解放された感じ!」
句を詠むとか、そんな努力は徒労としか思えなくて、ゆっくりゆっくり走りながら、虫や鳥たちと同じ目で、ただ夕空を見つめました。
大きな枷がひとつはずれた気持ちです。
「言葉にできないことは、言葉に変換する必要がないんだよね。」
風景を貪るように言葉を探すことよりも、静かに風景を享受することの幸。
またひとつ、気づきをいただいた秋の夕暮れでした。

写真は、ジョギングを終えて帰ってから大慌てでカメラを持って外に出て、ご近所の橋から写した夕暮れです。
すでに日が落ちているのでずいぶん色あせていますが、少しでも雲の迫力をお伝えできていれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

#日記 #エッセイ #写真 #夕暮れ #自然 #俳句


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