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うまれる気持ち

noteのヘッダー画像を変えようと思ったのは、昨年12月のことでした。
もともとの画像は大学院生の次男に描いてもらった、夕暮れ時の鳥居に三毛猫が坐っているもの。

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ところがその後、ヘッダーの表示サイズが変わったため、絵の下側が切れてしまい、ずっと夕空と鳥居のみのアングルとなっていました。特に不自然な感じではなかったため、
「これはこれでいいかな」
と、長い間そのままにしていたのですが、自分のページを開くたび、そこはかとなく切れてる感が漂っており……
「やっぱりきちんとしたサイズのヘッダー画像がほしいな」
ちょうど次男がコロナを考慮して早めに帰省していたこともあり、新しいイラストを描いてもらうこととなりました。

「どんなイラストになるのかな~」
丸投げを決め込んで、わくわくしていた私に、
「かーさん、かーさんはこれからnoteでどんなものを書きたいと思ってるん?」
リビングのテーブルを挟んで、真面目な顔で聞いてくる次男。
「は?どんなものって……」
「ヘッダー画像はカオ、というか象徴になるものだよな。かーさんがnoteで表現したいものを具体的に聞かせてほしい」
次男は大学院生をしつつ、さまざまなご縁があって、昨年からデジタルイラストの仕事も請け負っています。日ごろから、依頼者とできるだけイメージを共有してイラストを描きたい、と考えているようで、
「僕のイラストはYouTubeとかで使ってもらえることが多いんやけど、仕事を受ける時、ものすごく細かくイラストのイメージを聞くんや。ちょっと面倒な奴、と思われることもあるけど、イラストはその人のやっていることのカオになるから、イメージ合わすのはすごく大切なこと」
以前、次男からそんな話を聞いたこともあったため、
「う~ん、noteで表現したいもの、ね……」
私も丸投げをあきらめ、これからの自分のフォトエッセイと向き合ってみることとなりました。

私はあまりにも好きなことのストライクゾーンが広く、noteでもテーマをひとつに絞ることができないでいます。
神社仏閣が好き、自然が好き、生き物が好き、俳句・短歌が好き、アウトドアにも挑戦中。
ずっと、好きなことをつれづれなるままに書いていて、noteは単なる楽しみの場、というのが一番近い感じです。ことさら表現したいものなど思い当たらなかったため、
「今までのイメージから考えると、樹木……神社にあるような大樹かなあ。大樹と青空、そこにさまざまな野鳥が集い、虫たちが憩う。そんな感じでnoteを書いているかな」
頭の中に広がった風景をそのまま話すと、
「あの細長いヘッダーサイズに、それだけのものを入れるのは難しいな」
サイズが特殊なんだよ、と、次男はちょっと苦笑い。
「アニメみたいなペタっとした彩色で、デザイン的にしたらいけるけど」
「う~ん、それはちょっと違うなあ。でも……他に何か別のイメージっていっても……」
考えあぐねている私を見かねて、
「かーさん、自分で撮った写真の中からイメージできるものはないん?」
次男はパソコンを指して言いました。
「Googleフォト、ざっくりさがしてみたら?」
「確かに、無理に言語化するよりいいかも」
そうして、今まで撮りためたたくさんの写真の中から選んだのが、この一枚でした。

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海南市黒江のカフェ「そうげん堂」。昭和初期の漆器工場「旧田島うるし工場」の倉庫を活用したもので、天井が高く、がらんと広い空間に思い思いのかたちの椅子やテーブルが並べられています。古い建物独特の風合いが心地よく、落ち着いてゆったり珈琲をいただける場。
「こんな雰囲気の部屋にオイルランプをひとつ灯し、ゆったりとものを語る……これからはそんなフォトエッセイを書きたいな」
この写真を見つけた時、ふわりとそんな気持ちがうまれてきました。
ものを語る……物語なら、幅広くいろいろなジャンルがあっても大丈夫。オイルランプの揺らぎにまかせ、思いのままに心惹かれたものを語る、そんなフォトエッセイ。

そうしてその後、写真をもとに次男といくつかの言葉のやりとりをし、新しく出来上がったのが現在のヘッダー画像です。

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私にとって「書くこと」は呼吸をすることと同じ。幼い頃からずっと、楽しみつつ文字を綴ってきただけに、敢えて表現したいことなど考えたことがありませんでした。
今回、ヘッダー画像を変える、というささやかなことから、自分が求めていたフォトエッセイのイメージを見つけることができました。新しいことは発見を連れてきてくれるのですね。
そして思いがけず、次男のイラストレーターとしての仕事ぶりを垣間見ることができたのも収穫のひとつでした。

https://www.pixiv.net/users/30507714

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