【法学部】とある大学生の7月。

　地獄と天国。７月を端的に表現するならばこれが最適だろう。７月は月初めと月末との落差がとても大きい。すなわち、膨大な試験・レポートと長期休みとの間に言葉にしきれないギャップが存在することだ。

　そんなわけで、７月というのは月の後半に向かってだんだんと忙しくなってゆくものだ。トップバッターが月初めのゼミ選抜の結果発表。５月末に始まった「ゼミ活」もようやく終わりを迎える。もっとも、誰もが喜びを享受できるわけではない。ゼミ選びはあくまで「ゼミ活」。「採用通知」が来る者もいれば、「お祈りメール」が届く者もいる。
　１か月以上ゼミに入るために頑張っていた方たちの落胆する気持ちは、私のような不人気ゼミを選び、選抜を逃れた者には到底分かるはずがないだろう。そんな人に言われたくもないだろうが、志望するゼミに挑戦する姿はかっこよく、これぞ大学生のあるべき姿だと思わされた。
　しかしながら、そんな通知が期末試験前の少しピリピリした雰囲気に拍車をかける。

　正直、試験だけに関して言えば法学部は文系の中で最も大変な学部だという自負がある。それは各学部の図書館（自習スペース）の違いを見れば一目瞭然である。
　私の通う大学は比較的大規模な大学のため、各学部用の図書館が用意されている。そして、法学部図書館を空きコマ及び授業後に使いに行くと、この時期は常に満席状態と化している。
　世の中、絶対評価と言われていても、実質的には相対評価となっていたりする。大学の試験も同様で、基本的に学生の大半が落単なんて話はない。結局、他人よりも良い答案を書けるか否かの世界である。だからこそ図書館に足を踏み入れると、焦りから自分もやらなければならないと思えるとともに、周りがエリートに見えて果たして単位を取得できるか不安な気持ちにもなる。

　また、期末レポートの締め切りに追われているのも７月半ばの大学生である。幸い、私は７月の初めには仕上げていたので良かったが、もしそうでなければ試験勉強・レポート作成という二刀流を迫られていたことだろう。そんなすご技を不器用な私がこなせるとは思えない。大谷さんすごいなぁ、なんて思った次第である。

　そして、７月中旬には授業も最後を迎える。多くの学生が、先生が試験について少しでも情報を漏らすことを祈って出席するのがラスト授業のあるあるだと言える。今まで遊び惚けていた学生も、単位だけは、とできることはなんでもしようとするのだ。
　もっとも、先生もそんな都合の良い人たちをよく思わないのか、今学期は最終授業で重要情報を漏らしてくれた先生はほぼいなかった気がする。
　話はそれるが、かかる情報を先生が出してくれる時期は授業残り３分の１過ぎぐらいの時点が多いと感じている。あくまで個人的な推測だが、授業内容の終わりが見え始めた時点までついてきてくれた学生のみに、かかる話をしたいと思われているからではないか、と考えている。

　まあ、そんなこんなで大変な毎日が続くが、それも永遠ではない。７月の下旬には順に試験日を迎える。大学の試験というのは各授業の時間内で行う。ゆえに、試験期間と言っても、各個人の履修状況により試験がある日とない日に分かれる。中高では試験期間中に試験がない日なんてものは存在しない。しかしながら、大学生は空き日が存在するため、試験前日に無理やり詰め込むことが可能になるのだ。

　そうやって１つ、また１つと試験・レポートをこなしていく。これが大学生の夏休みへのカウントダウンとなる。
　大学生の夏休みは中高とは違い、「よーいドン」で夏休みにならない。各人、それらがすべて終わり次第夏休みとなるのだ。
　ゆえに、試験期間後半となると、徐々に通学する学生数が減っていく。きっと夏休みに入ったのだろう。しかしながら、試験が多い法学部は試験期間ぎりぎりまでそうはならない。悔しいが頑張りどころである。

　そして、ようやく私に夏休みが訪れたのは28日の午後。他学部生に一歩遅れての夏休みだが、頑張った分だけ解放感も大きい。たかが大学の試験だが、されど大学の試験。試験が全部終わった時には空が冒頭の写真のように目に映る。そして、今までは机ばかり見て周りを気にする余裕などなかったのだと悟る。
　長期休みで一番気持ちが高揚するのは休みの初め。あれもやろう、これもやろうと想像を膨らませられる至福の時間。なんせ、大学生の休みは過去一長く、それでいて課題も一切ない。地獄を駆け抜けた後のそんな状況を天国だと感じずにはいられない。

冒頭写真：筆者撮影

～忙しい方へのまとめ～
7月（文月）
・ゼミ選抜の結果発表
・図書館混雑
・試験勉強とレポート作成
・ラスト授業での「おもらし」を期待
・期末試験、単位を懸けた真剣勝負
・試験・レポートが終わり次第、各自夏休み！

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8月編