見出し画像

【大学】対面授業の全面再開は正解なのか?

 ポストコロナという言葉が聞かれるようになる中、大学も2023年の春学期開始をもって全面的に対面授業を再開するところも多いようです。実際、私が所属している法学部であっても、元々コロナ禍においても対面授業は多かったですが、それでも以前より対面実施とする講義数は増加しました。
 このように、大学にもようやく「日常」が戻りつつあります。しかし、かかる対応が最善なのか私は疑問に思うところがあります。

 その理由の一つに、圧倒的な教室不足の状況が挙げられます。ほとんどの授業が対面になった結果、教室の融通が利かず、幸い教室が用立てられたとしても、教室の定員が受講者数ギリギリの教室で講義を受けざるを得ないことが先学期よりも大分増えた気がします。

 例えば、先日の民法の授業だと、9割ぐらいの埋まり具合でした。
 ここで、1割は空いているじゃないかという意見が出そうです。しかしながら、法学部の講義は数百人単位で入る大教室で行われる上、その机も長机で個々の席ごとに仕切られていないため、定員の9割も座るとなると、少し動けば隣の人に自分の肩が当たりそうな具合です。
 分かりやすく表現すると、普通電車の座席が全部埋まっているときのあの隣の人との感覚です。まあ、座れてこそいるけれども、少し窮屈だなといった感じです。

 もしかすると、大学側はGW後及び梅雨時には学生数が減るから大丈夫だろうと見立ているのかもしれません。
 しかしながら、試験の時は再び学生も戻ってくるでしょう。ここで、隣とこれだけ距離が近いと意図せずともカンニングをしかねません。(これに対しては、試験日時をずらす、試験の少ない他学部の教室で実施する等して対処すればよいのでしょうが、、)
 そして、それ以上に一応お高い学費を払っているのですから、初回から集中できる環境で講義を受けさせてほしいです。

参考:GW~梅雨時~試験当時までの学生数の変化について


 また、そもそも無理やりにでも対面で授業を実施する必要があるのでしょうか。
 ある先生の場合、コロナ禍においては、レジュメ(PDF)をzoom上に投影し、説明している箇所をマウス等で指し示しながら、講義をしていました。それが、対面授業になると、同じくレジュメをスクリーンに投影し、レーザーポインターで指しながら、講義をするようになっていました。

 私としては、これならばわざわざ大学に来るまでもなく、オンライン授業で事足りたのではないかと思うわけです。さらに言えば、スクリーンよりもパソコンの画面越しに見た方が資料も見やすいですし、質問も気軽にチャット機能で先生に尋ねることができたことから、講義系の授業については、オンライン授業のままの方が良かったと感じます。

 ただ、ここまで随分と自分の通う大学を悪者にしましたが、大学側としてもそうしなければならない事情があります。
 そもそも、大学設置基準によってオンライン授業の修得単位数は60単位(およそ卒業単位数の半分)に制限されているのです。そして、コロナ禍においては、特例運用も認められていたようですが、その特例措置も2022年度以降は認められなくなったらしいのです。

 また、制度云々抜きにして、対面授業が増えることでこれまでできなかった色々な人との交流ができるというメリットがあるのでは、という反論も考えられます。
 これについて、確かにその通りだとは思います。事実、緊急事態宣言下では友達を作ることは難しかったですから、対面授業を増やすことで新入生を中心にそうする機会を創出することはできます。

 しかしながら、それもまた大学の講義をオンライン授業の講義ばかりにしなければ実現できることであり、バランスの取り様により出会いの機会とオンライン授業は併存させることができるでしょう。

 とにかく、教室で苦労して席を探しまでしてオンライン授業と大差ない対面授業を受けるぐらいならば、オンライン授業に変更してほしいですし、そうできるよう大学設置基準を変更してほしいと私個人としては強く思います。

参考:オンライン授業の卒業要件単位上限について | 文教大学 越谷教務課 (bunkyo.ac.jp(2023/4/17)



サポートを頂けるのも嬉しいですが、スキ・コメントをして頂けるとすごく励みになります!