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生きているならそれでいい・前編


私が働いているのは療養型の病院。
担当している患者さんの多くは寝たきりで、半分ぐらいの人は経管栄養で命を繋いでいる。
まともに会話できる人は2-3割ぐらい。
日常生活の多くに介助を必要としている。

毎日リハビリで関わる中で、一人ひとりに対して思いがあるんだけど、今日はとある患者さんのお話。
個人情報にならないように、細かいとこは多少変えながら書いていきます。

その人はリハビリに対する拒否が強く、優しく触ってもセラピストの腕を掴んだり殴ろうとする人だった。
初めてリハビリでその人の部屋に入った時、その人は険しい顔でベッドに横になっていた。
恐る恐る近づき、挨拶するとなんとその人は手を出して握手しようとされた。
先輩からの申し送りには無かった情報だったから少しびっくりした。

そしてまあリハビリでは前述のように「何してくれるんじゃ」と言わんばかりに殴られたわけだが、最後の挨拶ではなんと私の手を優しく握り涙ぐんでいた。
どんな思いで私のことを見てくれているのかはわからないけれど、目の前にいる誰かが居なくなるのが寂しい、家族さんともなかなか会えなくて孤独感も強いのかなあなんて思ったりした。

長くなりそうなので後編に続きます→


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