これから指圧師になる方へ(後編)
【SHIATSU TALKS #13 】
結論
さて、いきなりですが結論です。
僕がおすすめする、あん摩マッサージ指圧師としての働き方をお話しします。
3年以上10年未満は雇われて働いてください。
自費と保険で戦える武器と経験を持ってください。
そして、それらを両立して開業してください。
以上です。
開業についてはこちらでもお話ししていますので、気になる方はチェックお願いします。
今回は実践編です。
進む方向がわからない人は?
前編でお話ししたように、あん摩マッサージ指圧師の資格を取得すると、様々な職種を選択することができます。
ここで、いわゆる"どの方向でいくか"問題に直面するわけですが、この考え方としては、
「高齢者を癒す仕事がしたい!」や、「スポーツに関わっていきたい!」などターゲットを明確にして考える方法。
「稼ぎたい!」や、「プライベートの時間が欲しい!」などのワークライフバランスを考える方法。
「婦人科系の疾患を極めたい!」や、「とにかく腰痛を治したい!」など症状や目的から考える方法。
いまいち方向性が定まらない方は、上記のような
を考えていくと、少し方向が定まるのではないかと思います。
しかし、いくら考えても何も浮かばないという方もいますよね。そんな方は、とにかく何かやってみることをオススメします。
結構この仕事って理屈じゃないところが多くて、経験がものを言う部分がとても大きい。教科書通りには進まないわけです。
とにかく、人に触りましょう。施術をした人数があなたの経験値になります。
おすすめの職場は、地方駅近の接骨院か、都会のリラクゼーション。
勧める理由ですが、お客さん(患者さん)の数をこなせるという意味では、この2つのジャンルを超えるものは無いからです。
地方駅近の接骨院は、昔ほどではないにしても、10代の学生からご高齢の方まで、全ての年齢層を経験できます。それと一緒に柔整の方々の保険の仕組みや考え方を学びましょう。
何故、保険の仕組みや柔整師の考え方を学ぶのか?それは、もし、あなたが少しでも独立開業を考えているのならば、将来的に彼らがライバルになるからです。
この部分はまた違う回にします。
都会のリラクゼーションは、比較的若い世代、バリバリ働いている方々の施術が中心となりますが、地方の接骨院とは客層も違い、数をこなすにはもってこいの職場だと思います。ここでは是非、お客さんの対応、サービスやPRを学びましょう。
ある程度資本が大きい会社が経営していることが多いので、マニュアルなどがしっかりとあるはずです。マニュアルなんて…とバカにせずしっかり学んでみましょう。将来きっといいことがあります。
何故開業なのか?
皆さんもご存知のように、2022年現在、我々の職業は飽和状態な訳です。
駅を出れば、リラクゼーションや整体、接骨院の看板だらけ。新型コロナウイルスの影響もあり、廃業率も年々上がっています。
しかし、この仕事に未来がないわけではありません。
10年ほど前までは、接骨院や訪問マッサージなどがどんどん組織化され、資本が大きな会社が少しずつ生まれてきました。マニュアルを作って、店舗を広げていくみたいな流行りが多少なりともありました。
僕は、10年後の今、組織化された施術所のほとんどは、うまく行っていないと思うんですね。
何故なのでしょうか?
一番大きいのは、スマホの普及です。
今ではご高齢の方でもスマホをいじってYahoo!ニュースを見る時代。
簡単に情報を得ることができる。
お客さん側の選択肢が増えたんです。
そして、情報も多い為、中途半端な知識や技術のお店はすぐにバレるようになってきました。
ですから、自分の身体を大きく見せているだけの組織は淘汰されるようになってきています。
これからは明らかに個人の時代です。
もう一つの原因は、新卒のほとんどがおじさんで、変な人が多いという話に戻ります。
僕もおじさんになってきてるんで、なんとなくわかるんですが、おじさんになると、融通効かないんですよ。それに加えて変わっているのであれば、なかなか組織に馴染むことができない。
現実に組織で働いている方の多くは20代です。
では、30代以上がみんな開業しているのかといえば、そうではない。どこに行ってしまったのかというと、辞めてしまっているんですよ。この仕事自体を。
そもそも、オジサンは雇われる選択肢が最初から少ないわけです。スタート地点が新卒や20代とは違う。(じゃあ開業しちまうか的なことで失敗した人を僕は何人も見ています)
経営者の視点から見れば、どの業種も年齢が若い方を採用しやすいわけで、中途半端に社会経験のある人を採用することは、少しリスキーだったりします。
なぜなら、経営者の多くは、経営のプロではなくて、もともとプレーヤーなので、自分の言っていることに従ってくれるイエスマンを雇いたいというのが本音なんです。手技って言葉で伝えづらいことも多くあって理屈じゃない場面もあります。
人間30代にもなれば、ある程度「確固たる自分」的なものがあって、納得するために相手に説明を求めます。
ここで、経営者は言葉で説明できないことが非常に多いんです。
だから、年齢が重なるほど辞めていってしまう人が非常に多い。
これが、あん摩マッサージ指圧師の大きな会社が生まれない大きな原因だと思っています。
やっぱり僕も含めて、雇われ続けるのはあん摩マッサージ指圧師の性格上厳しいんです。きっと。
だからといって、下積みをしないと仕事を理解できない。
なので、3年以上10年未満の修行期間なんです。
この仕事を続けるためにも、是非開業を検討してください。
これから求められる人材とは?
今、あなたは学校を卒業して、何を得て、何ができるようになりましたか?
少なくとも基礎医学とあん摩マッサージ指圧の基本的な技術は習得したわけです。
学校で勉強した、基礎医学や実技は言葉の通り、基礎になる土台作りなわけです。その上に経験という建物が建つようなイメージを僕は持っています。
基礎がしっかりしていなければ、建物は崩れてしまう。逆に基礎が丈夫であれば、地震のようなトラブルがあっても崩れにくい。
そして、その上に経験という丈夫な建物が作られれば、今回の、新型コロナウイルスによる社会不安のようなリスクにも対応できるというわけです。
一つの職種でなく、何個かの現場を経験してみてください。たくさんの現場を見て、数触る。もうこれしかないくらい思ってます。
セミナー行ったり本読むだけでは何も始まらない。
アウトプットをしてください。
前編でもお話ししていますが、これから必要になる人材は、"常識ある変態"です。
二本の刀を持とう
最後に、あん摩マッサージ指圧師の仕事は大きく分けると2つ。自費施術と保険施術です。
開業したら、せっかくなので二つともやりましょう。はっきり言って、これは資格を取ったらどっちもできないとダメです。
一つの武器だけで勝負するのは、少しリスキーです。少しでもリスクを減らすために、二本の刀(自費の刀と保険の刀)を待ちましょう。
いくら自分に自信があっても、です。
保険施術のメリットは、やはり"収入の安定"です。お客さんと契約が決まれば、週一、二回定期的に訪問することになります。そして、高齢の方々の疾患や施術方法の勉強になります。特に訪問で伺うような高齢者は、ベッドで行うような普通の施術ができません。
デメリットは、国や施設側からの不可抗力があるという点です。そもそも保険施術というものは、国から療養費という形で僕らにお金が入ります。
ですので、国から「もう払いたくないよ!」なんて言われれば、こちらは「わかりました」というしかありません。また、今回のコロナ禍では、施設に入れなくなるケースが多く見られました。いくら、お客さんから「来てほしい!」と言われても、国や施設がダメと言ったらダメなんです。
もしそうなった時のために、もう一つの刀、自費の技術が必要になります。リピート率は技術の差が明確に出るというデメリットがありますが、自費施術のメリットは、時間や料金を自由に決めることができるという点で、比較的年齢層も若く、収入に余裕がある方に来ていただけます。
実際、僕もコロナ禍で自費施術にかなり助けられました。「自費やっててマジでよかった」正直そう思いました。
是非、皆さんも二本の刀を持ってください。
そして、長く続けてください。基礎があってその上に経験が乗れば、お客さんを満足させてあげることが増えます。お客さんが満足してお金が貰えるなんて素晴らしいことですよやっぱり。
僕、この仕事結構おもしろいと思うんですよ。
一緒にサバイブしていきましょう。
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