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このまま帰ったら、出た瞬間におれは殺される…。 営業マンは「お願い」するな!/加賀田晃 感想!


お疲れ様です。

またまたステイホームの時期がやってきましたね(随分軽く言いました。)

ということでより一層、家での時間が増えますので

本の感想を書きます。
今回は

営業マンは「お願い」するな!

加賀田晃 著

サンマーク出版 2011年


 いわゆる「営業ノウハウ本」で、「営業マンはお願いして買ってもらうのではなく、お客様に必要なものを気付かせ、売ってあげる仕事」ということをメインでアプローチ法などが書かれています。

でもそんな中私が一番心に残ったのは、

著者の実体験である衝撃初契約エピソードのあとの、こんな一文でした。

本文より―。


「そうは言っても、私とて人の子です。頑強な抵抗にあえば、ときには心がくじけそうになることもあります。
色々なお客と一騎打ちの戦いを繰り広げる中では、もうこれ以上言ってもムダかもしれない。もう帰ろうかと思う場面は必ずあります。
そんな時、私は自分にこう言い聞かせ、思い込ませるのです。


『このまま諦めて帰ったらおれの命はない。家を出た瞬間におれは殺される。』


だから、



あと一分がんばろう、


あと一分がんばろう、


あと一分がんばろう……。



そのうち、相手が諦める――。」




2011年64歳と書かれていますので、2021年の今は74歳でしょう。
父を亡くし、母は病気。妹や弟もいる長男。生きるために、養うために。
よく分からない土地でも、とんでもない荒地でも。売るしかなかった。
道なき道を歩み、何でも売ってきた。

この最後の一文には、まるで映画のワンシーンのように、こんな映像が浮かびました。


古い昭和の木造造りの家。柱は濃い茶色。そこには色とりどりの洗濯物など、生活用品がひしめく雑多な部屋。
白いエプロンをした、奥さんがひとり。


なんとかして部屋に上げてもらった、紺色のスーツに赤いネクタイのおれ。


顔は日焼けし、汗が滲んでいる。


奥さんはおれの売る商品の魅力をまだ、分かっていない。
その必要性に、気付いていない。
むしろ、入れたことを後悔するような、追い返したいような、そんな空気さえ感じてきた。
だけど、――。


このまま諦めて家を出れば、おれは殺される。



滴り落ちる汗。偽物ではない、型についた笑顔。
その裏には、まだ学生の妹や弟、そして母ちゃん…。
おれはまだ、辞められないんだ。



あと一分がんばろう、


あと一分がんばろう、


あと一分がんばろう……。







………




「その品、買いましょう。」




この本が映画化されるなら、こんなシーンから始まって欲しい。

実際、セミナーを始めると映画化の話もあったようですが、気恥ずかしくもあり、返事をしないままだったそうです。

しかし、「いやがおうにも迫り来る人生の日没を前に、今までの人生への恩返しと、営業を極めんとする人たちへの、最後の置き土産と思いこの本を描いた」とのこと。

YouTubeを観ると、かなり熱い方でした。

今はまだ、元気でいらっしゃるのでしょうか。

この本が一冊、私のもとへ届き、2021年、こうして感想を書いています。




サポート受けてみたいなぁ…。