見出し画像

意見を持つ力、伝える力

 「君はどう思う?」

 職場では、意外と自分の意見を求められる機会が多い。

 「お役所」と聞くと、古い組織で上意下達、やることは決まっていて意見を述べる機会などない、と思われがちだが、入庁して自分の担当業務を持った瞬間から、業務に関する意見を求められるのだ。それが、たとえ1年生であっても。

 もちろん、始めはわからないことだらけなので、周りの人に助けを求めるのは全く問題ない。ただ、その場合でも、自分だったらどう考えるかという意見を持っておくと、他の人との相違が分かって、何がよくて何が悪かったのかの検証を行うことができる。この検証を繰り返していくことで、成長することができる。

 また、自分で意見を持つということは、それが自分なりのベストな選択だという裏付けをする作業が必要になる。どういう点が論点になっていて、判断基準は何で、どのような理由でそのような意見を持つのか。きっちり情報整理をすることになるので、他の人の意見を求める際にも、ポイントを絞って尋ねることができる。

 さらに、周りの人は優しく手を差し伸べてくれたとしても、上司が同じように接してくれるとは限らない。むしろ、より積極的に意見を求められることになる。その際には、根拠となる事実をしっかり示して、主張だけが上滑りしないようにしなければならない。

 少し経験を積んでくると、その先のクオリティを求められることになる。純粋にファクトを積み上げて意見を持つのにとどまらず、その分野に知見のない人にも通じるような言い回しにすることが要求されるのだ。国家公務員の究極の顧客は国民であるため、どのようなステータスの人にもわかるように伝えなければならない。

 一方で、経験を積むと、意見を求められる箇所をコントロールできるようになる。相手に応じて、関心を持っていそうなところを重点的に伝えることによって、その部分にフォーカスして準備することも可能になる。相手も、自分の疑問点にしっかり答えてくれた、という印象を持つため、業務を進めるうえで大事なスキルである。

 就活の面接などでは、「勉強の成績で目立ってなくても口達者な人がうまくいくんだなあ」といった感想を持つこともあるだろう。ただ、相手の気になるポイントをしっかり押さえて話すことができるというのも、それはそれで立派なスキルである。

 公務員を目指される方も、日頃から自分の意見を持ってみる、というところから始めるといいかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?