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街のコンテンツ価値を高めて、次世代の街づくりへの布石:エリアクオリア指標のトリセツ⑧
こんにちは noteメンバーシップ:ツギ・マチ・ラボを運営する松岡です。エリアクオリア指標のトリセツを解説する本シリーズの第8回(最終回)は次世代の街づくりへの布石について検討します。
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エリアクオリア指標によって、特化した魅力を備え、共感人口が増大していった先では、どのような未来が想定できるのでしょうか?
ここでは一歩進めて次世代の街づくりをイメージしてみたいと思います。
よろしくお願いします。
【内容】
⑴街をコンテンツとして価値化する
⑵街のコンテンツ「リーグ戦」見立て
⑶場所のメタ思考
⑷TCD の効用と次ステージ
⑴ 街をコンテンツとして価値化する
よく「まちづくり」の現場から「街の情報発信が不足している」という課題を耳にしますが、自分たちの立場が相対評価できていないと推察しています。
2020年度のデータ流通量は数千億ギガバイトという膨大な情報洪水の状況です。
個人のこだわりや手法を羅列して発信するだけでは、どれほど大量に情報発信したとしても、他の担い手との違いも分からずネタ切れし、効果が現れないのは当然であると認識すべきです。
【個の魅力はグルーピング&体系化】しないと受け手に伝わらないのです。
私は「街づくり」という言葉にも違和感があります。
みんなで繋がって街のことを考える活動の総称になっているからで、ワークショップなどを開催して、街の魅力を再発見し、課題を共有することがゴールになってしまっています。街の活性化は結果であって、本来はもっと戦略的に独自の経済システムを形成する思考が必要で、本来の意味での都市経営やタウンマネジメントが必要なのだと考えます。
芸能事務所におけるマネジメントとは、タレントの才能を発掘し磨き上げ、楽曲を提供してライブ活動で集客し、メディアに出演して知名度を高め、CDなどのコンテンツを販売し、テレビ広告料などで収益を積み上げていく一連の価値化プロセスを指しています。
街にもこのような思考やプロセスが必要なのではないでしょうか。例えば
② テーマ性のあるイベントを開催で特徴化を図る。
②メディアとの連携で知名度向上&ブランディングする。
③ 地域だけでなくファン・コミュニティを形成する。
④ 企業タイアップやスポンサードを得る。
という流れが想定されます。
欧州サッカーのビジネスモデルはスタジアムの観客チケットを柱とした「集客ビジネス」ではなく、コンテンツをストックし有償提供する「コンテンツビジネス」に移行しており、さらにブランドビジネスを標榜している状況です。
街でイベントを開いて集客し、飲食消費などから賃料を得て、その一部を共益費にあてる「集客型」だけでなく、街の魅力をオンラインで発信し、都市外の地域・企業のコミットから収益を得る「コンテンツ型」を志向すべきです。
【Town Contents Development(TCD):街のコンテンツ価値創造】という視点が必要なのです。
⑵ 街のコンテンツ「リーグ戦」見立て
街のコンテンツを様々な人が楽しめるサッカーのリーグ戦のように、編集した上で発信してはどうでしょうか?
ロナウドやメッシのようなスーパースターは別格ですが、プロサッカーでは一般的に、「個」ではなく「チーム」で認識されてファンが付きます。
さらには「リーグ」としてのグルーピングにより、メディアが配信する対象として取り上げられ存在感と価値を可視化しています。
プロサッカーはリーグ戦形式で試合を繰り返し、継続的なコンテンツとして認知・定着させています。
さらに試合内の様々なコンテンツを、名勝負集やゴール場面集などに再編集したり、ベンチ裏の様子、選手インタビューなど、様々な追加・スピンアウトしたコンテンツで、資産としての魅力を膨らませていくのです。
各都市の特性に合わせた「遊・文化」テーマ(食、音楽・ダンス、アート、マンガ・アニメ、ゲームなど)で、まず複数の担い手有志のチームを作ります。
そのチーム同士がリーグ戦形式で定期的に対抗戦を続けていくのです。
プロ野球やサッカーなどの例に明らかなように、トーナメント形式ではなくリーグ戦形式であれば定期的&継続的にコンテンツとしてオンライン上でも発信可能です。
オンラインコンテンツとして発信し続けることでリーグ&チームのファンを育み、その対戦風景をフックにして、チームでの取り組みやさらプレイヤー個人のこだわりや個性に落とし込んでいくことで、個人の活動への理解と協力機会も増えていくのではないでしょうか。その結果としてリアルな来街・来店の動機につながると考えます。
その都市の独自テーマでリーグ戦形式の対戦が定着すれば、より強化・進化させるためにチーム内での協力、教育、共同研究が促されるのではないでしょうか?
さらにアートやテクノロジーなど他分野との連携による研鑽も進むと考えられます。
リアルな観光・集客によって「量」を求めるだけでなく、オンライン1stでコンテンツの「質」を高め、ファンを育み価値化を図るために「リーグ戦」見立て戦略は非常に有効ではないでしょうか?
⑶ 場所のメタ思考
街のコンテンツを可視化するための、もう一つの視点がKADOKAWAの玉置泰紀さんたちが提唱する、メタ観光的な視点「場所のメタ(複層)思考」です。
例えば神田の甘味処「たけむら」は東京都の文化財であるとともに、池波正太郎のエッセイに登場したり、仮面ライダーやラブライブのモデルやポケモンGOのモンスター出現ポイントにもなっています。
このようにその場所が持つ歴史やコンテンツを複層的に可視化していくと、街に新しい発見が生まれ、これまでにない観光資源がストックされます。
玉置さんたちが設立したメタ観光推進機構は、これらの情報をメタ観光マップとして新しい観光プラットフォーム化し、着地型ツアーの開発支援を通じた活性化を目指しています。単に観光資源が増えるだけでなく、どのような場所にも複層的な側面があることが分かると、表層的な観光要素だけでなく、そのつながりの意味や所以に思いを巡らせるメタ思考スキルが養われます。
このメタ思考スキルで捉えると、あらゆる店・場所・街の隠れた魅力を見出すことができる「自分自身の進化」に気づきます。
このメタ思考スキルで「面白がれる人」が増えることによって、面白がれる視点が広がり、面白い場所が増え、より多くの人が面白がれる街に変わるのではないでしょうか。
これまでツマラナイ街だと思っていた人たちのシビックプライドの醸成にも貢献します。人が変われば街も変わります。この「面白がりスパイラル」が街を活性化していくのだと考えます。こ
のプロセスで派生していく様々な「場所のコンテンツ」を編集することで、多彩なツアーやワークショップ、研究会・サークルを形成したり、 AR活用や新たなアイコン設置など魅力向上策も検討されるようになり、これまで無かった集客や来街機会の創出につながるのです。場所のメタ思考は非常に有効なTCD:街のコンテンツ価値創造方策だと考えます。
⑷ TCD の効用と次ステージ
街をコンテンツ化することができると、これをオンライン上に流通させることが可能になります。具体的にはYouTubeでの配信が現実的だと考えます。
メタ人/メタ街/リーグ/大学などのプログラムで相対価値化された定期コンテンツとして配信されていくのです。チャンネル登録者が月間数万人に増えていくと「YouTube広告料」を得ることが可能になります。
このようにしてファンコミュニティが可視化してくると、特別編集のコンテンツやプログラムへの参画権及びファン同士の交流などを魅力にした「有料コミュニティ(オンラインサロン)」や、コンテンツプログラムの優待利用に飲食・サービス施設の割引などを特典にして「街のサブスク・サービス」への発展も想定可能です。
次世代のエリマネ「TCD」では、リアルな集客だけなく都市内での活動を様々に編集オンライン発信し、コンテンツとして目標や評価指標を明確にして価値向上を図るビジネスモデルとして、仕立てていく必要があると考えます。
最後までお読みいただき有難うございます。
【エリアクオリア指標】を活用して、街のファンと強みとを可視化し、相対評価することで、合理的かつ継続的なまちづくりが可能になります。
そしてその先には【Town Contents Development(TCD):街のコンテンツ価値創造】と言う視点で、街の価値向上方策を展開していくことが可能になります。
これからの都市・街づくりには、ファン・団体・企業の活動舞台であり、経営資源であるという認識が非常に重要だと考えます。
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