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ランドセルは悪魔の裁き

最近、近所をブラついていたら、小学生たちが背負っているランドセルの色にちょっと思うことがあった。いや批判とか世論とかそういうのじゃなくて、思い出話みたいなやつ。

前を歩いていた小学生4人組、のランドセルの色。水色、茶色、ピンク、赤、とホンダの軽並にカラーリングが豊富なことに気づいた。

時代が変わったなぁと思った。思い返してみれば、私が背中にランドセルを背負っていたのはもう10年も前の話である。
その頃のランドセルのカラーバリエーションといえば、男は黒、女は赤、と戦時中かと思うほど明確に区別されており、それ以外の色を持とうならば、まるで非国民か、中世の魔女裁判のごとく非難の的にされた。

この魔女裁判なんて表現は決して大袈裟ではないのだ。片田舎の芋臭い小学校だったので、井の中の蛙大海を知らずを地で行っていたんだが、そこに都会から垢抜けたシティーガールが来たもんだ。背に水色のランドセルを背負って。


小学生くらいの子たちが他の子達と差をつけるとしたら何で差をつけるか、学力か?コーナーでか?いやいや、まず目に見えてわかるもので差をつけるんだ。小物とか服とか、冠位十二階とかコックの制帽みたいなもの、見た目でわかるように。

黒と赤が正義のコミュニティに突然異色のランドセルが入ってきたら、そりゃ好奇の目で見られる。ちょっと近寄り難い、でもちょっと憧れるような。
それは、自由に個性を出して一足先に垢抜けた同い年の子への羨望の眼差しだったんだろう。

そして今、もはや黒や赤のランドセルはほとんど見ない。少数派といってもいいのだろうか。自分の好きな色を偏見なしに身につけている、今の小学生たちが羨ましい。私だって赤いランドセルとか背負ってみたかった。

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