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いろいろあったクラスを担任するとき① 展望をもつ

薬を飲みながら、5キロ以上痩せて、一番辛かった1年間を乗り切った後は、崩壊学級をもっても、薬を飲むことはなくなりました。(かといって、今後が大丈夫と言えるわけでもないのが、この仕事の怖いところですが)担任すると決めたら、どんなふうに進めているか紹介します。

自分で1年間のテーマやストーリーを考える

私は、総合的な学習の時間について勉強しているのですが、高校で始まる「総合的な探究の時間」に関する講演を聞いているときに、小学校の担任の仕事は、まさに「探究活動だな」と思いました。課題を設定し、仮説を立て、実際に試しながら、情報を収集・整理・分析して、再び課題が見えてきてという繰り返し。その中でも崩壊学級の場合は、春休みにしっかりとストーリーをもつことが大切だと思っています。

例1:3年生後半で学級崩壊し、担任の代わりに、管理職や嘱託(定年後)の先生が分担して授業を行い、あまりにいろいろあったため、区からも支援が来ていたクラス。私は、当時、4年生担任で、運動会は一緒に表現をやっていた。同じ階にいたので、授業中に廊下に出ていたり、オープンスペースで基地を作っていたりする姿を見かけて声をかけて、教室に戻したり、空き時間に支援に入ったりしていた。怒られている様子がよく聞こえ、可哀想だなと思う気持ちがあった。

実際に、担任の打診が来たときは、やっぱりと思った。その年は担任の中で最年長だったので給料高いのは私だから当然だよなということと、あの子達可哀想と思っていたことから、引き受けた。この年は、「1年後に、今土砂降りのこのクラスが晴れる(みんなが笑顔になる)」というストーリーを考えた。だから、学級通信の名前は「Rainbow」。

例2:上記の子たちの2年後。5年で今度は2クラスとも怪しくなり、両方担任交代。打診が来たときは、パワーのあるこの子達にこのまま終わってほしくないと思い、引き受けた。誰ももちたくない状況だった学年をもてるのは、少しは愛情がある元担任しかいないだろうと思い、初任でこの子達の1年生をもっていた若手を誘ったら、彼女も受けてくれ、2人でもつことになった。「これで、最高学年としていろいろな行事をこなして1年を終えるのは、奇跡しかないよね(笑)。」と話し、それをテーマに決めた。「あなたたちにはどうせできないだろうと思われているのが、元担任として悔しい。奇跡を起こして見せようよ。」という呼びかけを始業式後に行った。学級通信の名は2クラスとも「Miracle」。

テーマやストーリーは常に子供たちに展望として示す

「大丈夫、どんなクラスでもいろんな年があるから。」「文句言いながらも最後にはやっちゃうのがこの学年なんだよねえ。」「あと1年で中学行くのに、いつまでも暴力振るってる子なんていないから。自分で止められるよ。」本当は、自分でもどうなるか不安だし、子供が帰った後は泣きたくもなるし、疲れ果ててしばらく席から立てない日もあるけど、それでも、子供たちが良くなって終わるストーリーを伝え続けていきます。

聞こえてくる言葉が肯定的で心地よいものであるほど、人の心は落ち着くと思っています。言霊ってやつですね。


次回から、実際にしてきた心がけを紹介します。





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