散らないdry flowerと枯れた紫陽花
こんにちは!
前回に続き、好きな楽曲記録第二弾となります◎ちなみに今回もおいしくるメロンパンです🍈🍞
今回記録に残す楽曲は、おいしくるメロンパンの「dry flower」です。
こちらMVがないため映像での紹介ができないのですが、ぜひ聴いていただきたい一曲です…!
タイトルの「dry flower」ですが、こちらは歌詞を見ていただけたらどうしてこのタイトルがつけられたかが分かると思いますので後ほど紹介します。
充分寝たもうサイレンが 空っぽな5時を迎えに来た 僕を溶かしたバター 塗りたくったこの部屋
これがサビ前の部分です。
個人的に「空っぽな5時」という表現がすきで、不本意な夜更かしをしたり、ねむれないまま朝を迎えたことがある人は「ああ~~~」となる表現ではないでしょうか?
無気力な身体も「僕を溶かしたバター」という言葉で表されているように感じます。
戦争映画鳴らす隣人 目眩を撃った銃声 煮える残暑の刹那 世界の終わりみたいな赤
戦争映画とはその名の通り「歴史上の戦争を映画にしたもの」なのですが、このワードチョイスも独特で面白いですよね笑
(毎回、朝の5時から爆音で戦争映画みてる人とは隣人さんになりたくないなと思います)
でも、歌詞が描く気だるげな深夜(夜明け)が、後に続く「目眩」「煮える残暑」と合わさってより鮮明になるような感じがしませんか?
情景の描き方がとてもピンポイントかつ秀逸なところも、おいしくるメロンパンの魅力のひとつです!
またおいしくるメロンパンの楽曲といえば「水色」のイメージが強いのですが、ここでははっきりと「赤」が使われています。
その赤に見合うような、この時期の他楽曲と比べて少し特殊な、感情的な歌い方のサビへ繋がります。
寂しくなったらきっと それすらはしたない
あなたを待ってもずっと 遠い日の花火なのでしょう
すごく印象的なフレーズだと思いませんか?
寂しくなったらきっとそれすらはしたない、共感できる人は少ないでしょうし、作詞者であるボーカルのナカシマさんにもそんな経験はないそうです。
これってどういう意味だろう?と、聴く人を一旦立ち止まらせることが目的だったそうで。(アルバムインタビューより)
特に意味はないにしても、このフレーズには不思議と私達を惹きつけハッとさせるなにかがあるような気がして、私はこの言葉の組み合わせがすごく好きです。
また、この最後のフレーズから主人公は誰かに焦がれ、心理的距離を感じた状態でその人を待っていることがうかがえます。
染まり続ける翠の扇動に 疲れ果ててもまだ あなたの横顔は美しい
一般的な「同じメロディーで二番に突入する」という形ではなく、この部分だけが今までにない穏やかなメロディーに切り替わります。
そして「あなたの横顔は美しい」というこの一節、
さきほど言った心理的距離が垣間見える部分だなと思っています。
これが現在なのか過去の記憶なのかはさておき、
主人公があえて「横顔」を選んでいるのはどうしてなのか?
それは、焦がれ待つある相手が決して主人公の方を向いてくれなかったということの隠喩ではないかな、と個人的に思っています。
主人公はずっと相手のことを見ているのに、その人は自分のことを見てはくれなかった、だから自分は "「あなたの横顔」しか思い出せない "。
どうしてそう考えたのかは、次のフレーズから伝わる強い気持ちも理由のひとつです。
この思いはまるで 散らずに枯れた紫陽花のようだ 終わりを待つ約束だけが僕を歩かせる 次の季節へ
この歌詞とこのメロディー、そしてこの部分の歌い上げ方、そのすべてが好きです…!
「散らずに枯れた」、つまりそれがタイトルにもある「dry flower」なのではないかと思います。
調べてみたところ、ある国ではドライフラワーには「永遠、終わりのない愛情」という意味合いがあるそうです。
さらにそれと組み合わせて用いられている紫陽花ですが、紫陽花の花言葉は「移り気」「無常」、中でも一般的な青い紫陽花は「辛抱強い愛」となっています。
移り気と辛抱強い愛という、一見正反対の意味合いを持つこの花をあえて「散らずに枯れたドライフラワー」という形に表している、と捉えました。
なんだか葛藤が垣間見えるような感じがしますね…
待っていてもどうにもならないと薄々わかっていながらも、、という感じ。
「よく分からないがいい」と発言しているナカシマさんがそこまで考えたとは自信ないですが、それにしてもって感じです。
ここからまた少し曲調が変わり、畳み掛けるようなメロディーになります。
戦争映画は鳴き止んでいた
塩素の匂いは空白を塗りつぶしてくれた
秒針の怒鳴り声もさ いつからか愛おしく思えていた
様々な考え事をぼーっとしている間に、気づけば映画が終わってしまうほどの時間が経っていたみたいです。
「秒針の怒鳴り声」という表現も巧いですよね!
静かな空間だからこそ、本来なら弱々しい秒針の音が怒鳴り声のように感じられるのでしょう。
そして静かにゆっくり、同じメロディーの繰り返しの部分に入ります。
戦争映画は鳴き止んでいた 静寂(しじま)の中
浮かぶ船の帆は靡かない 思い出にすらなれない夏は 永遠になった
「浮かぶ船の帆」については、2通りの考察をしています。
①浮かぶ船=主人公が想う相手(行き場のない心に浮かんだ船)
その帆は靡かない
→その船は自分の方へは進んでこない。
②浮かぶ船=主人公
その帆は靡かない
→思考を巡らせても進まない主人公の心境、現状。
どちらにしても同じかもしれませんが、、、
また、「思い出にすらなれない」というのは、きっと自分と過ごした夏は相手にとっては思い出にすらなれないような些細なものなんだろう、というやや自虐的なものを感じます。
しかしその思い出は、主人公の中では「永遠になった」ものなのです。
誄歌(るいか)のようなヒグラシの声に眠る
誄歌とは、死者の生前の徳をたたえ、その死を悼む歌のことです。
この死が何を意味するのか明確な表現はありません。
個人的な解釈としては「あなたを待っていた自分は死んだ」という、踏ん切りがつき始めたことの揶揄かな…?とも思います。
寂しくなったらきっと それすらはしたない あなたを待ってもずっと 遠い日の花火なのでしょう
そしてさいごにもう一度このフレーズです。
1回目にきいたときと最後にきくのとでは、なんだか重みが違うように感じますよね。
音の切れ方も、少しだけ余韻を残してゆっくり終わる感じがすごく好きです。
ドラムもゆっくりゆっくり音を沈めて、この曲は終わります。
以上が、おいしくるメロンパンの「dry flower」になります!
今回のこの曲は1.2を争うくらいだいすきな歌で、ずっとずっと私の中で「永遠」です。
こんなに素敵な楽曲に出逢えたことをほんとうに嬉しく思います…!
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます- ̗̀ ☺︎ ̖́-
あなたの新しい音楽への扉となれますように🚪
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