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彼らは夏を我がものにする


こんにちは!

最近いろんな音楽を聴くようになったので、半ば自己記録として好きな楽曲のレビューをしていきたいと思います。


今回noteに残す楽曲は、おいしくるメロンパンの"epilogue"です。

この曲は歌詞やメロディーだけでなく、MVもだいすきな曲です。

バンド名も変わった名前ですが、初めて耳にする方が多いのではと思います。


ちょこっと宣伝させていただくと、季節を歌うのが本当に上手いバンドです。特に夏。

彼らが季節をベースとし、自分たちの世界を表現する様を聴くのが大好きです。

夏と水色はおいしくるのものだ、というコメがありますが、本当にその通りなバンドです。


https://youtu.be/QGs1oNwxhfc


↑↑↑こちらがepilogueのMVになります!


そもそも「epilogue(エピローグ)」とは、文芸作品の結びの部分のことだそうです。または、劇の最後の納め口上、物事の結末。

この言葉がタイトルになっているので、「結」「終」という要素の強い曲であることが伺えますね。

イントロ部分が映像も含めとても綺麗で軽やかなので、ぜひ聴いてみてほしいです!


空と涙溶け合って 流れ出したスプーンストロー
どうか巧くまやかして 君の笑う白昼夢まで

スプーンストローとは、かき氷をたべる際についてくる先がスプーンのようになっているストローのことです。

MVでは、屋上にひとりでいた女子高生が白いワンピースを着た同い年ほどの女の子と出会っていますね。

歌詞にある「白昼夢(真昼に夢を見ているような、非現実的な空想)」という言葉が個人的にはとてもしっくりくる描写でした。


まだ汚し足りないのさ 見て 水色の血が綺麗


「まだ汚し足りない」という言葉にも関わらず、そこに美しさや儚さが表現されているような気がして、私はこのフレーズがとても好きです!

後半のサビとも呼応する形で素敵だなと思います。


どんな嘘も嬉しいんだ 馬鹿だ 透けた指に触れたくて 夏だ
まだ汚れ足りないのさ ほら 溺れるほどの愛で

ここから2番に入ります。

馬鹿だなと思いながら、嘘だと分かっていてもどんな嘘であれうれしいと思ってしまうという感覚、わかる人にはわかる感覚ではないでしょうか?

また、1サビでは「汚し足りない」だったのが、2サビでは「汚れ足りない」になっていますね。

汚すことと汚れることは同義である、ということでもあるのかなぁという風に感じたり…

「溺れるほどの愛」から、
どんな嘘でもうれしいと感じてしまうのもまだ足りないと感じてしまうのも、何かしらの「愛」の形なのだなぁと思います。

ちなみにこの「溺れる」という表現も、
水を想起させたり、次第に苦しくなっていく感覚をうまく表していたりで好きな表現です!


遠くでこだまするチャイムの音 手のひら すり抜けて落ちた水風船

この部分のMVの表現は本当に素晴らしいので観ていただきたいです…!バンドメンバーの背景も赤くなっているのに気づきましたでしょうか?


MVでは制服の女の子側から何かを受け止めようと手が差し出されていますが、赤い水風船はその手のひらをすり抜けてしまいます。

そうして水色の血の上に初めて「赤」が落とされます。


この描写の途中に一瞬、屋上の柵を乗り越えたところに白い服の女の子がいるのがうつります。


この描き方から、わかる人はもうお分かりになる展開なのではないでしょうか。
センシティブなので言葉にはしないでおきます。


(歌詞が終わってからのMVの中に、それを示すようなシーンが映ります。靴が、女の子が廊下のシーンで履いていたものと一致します)


断言はしませんが、この赤い水風船は白い服の女の子の揶揄だと思いました。制服の女の子からすり抜けてしまった、白い服の女の子。


先ほどの「透けた指」という表現も、もしかしてここに繋がっているのでは…?と思ってしまいます。


こうしてMVで描かれるふたりは決別します。服も違ったので、もう元からそうなのかもしれませんが…


また、次の歌詞に移るまでのメロディーもすっごく好きです。
ベースとドラムを世界観が崩れない限界値でふんだんにかき鳴らし、曲の終わりに向かって高まっていく感じ。MVもとても秀逸です。


ごめんね 気づいてしまったんだ これでもう終わり

歌詞に入る前に一瞬メロディーが落ち着くところがドツボです…

「終わり。」と初めてepilogue要素を出しましたが、悲しいはずの部分を優しく歌っていますね、この部分も大好きです。


何に対しての「ごめんね」なのか、何に気付き何を終わらせようとしているのか。


まだ暑い日は続くから 夏が君を腐らせる前に 最後の夢をみせて 忘れないでね


この部分のMVも必見です。


「夏が君を腐らせる前に」を力強く歌ったあと、「忘れないでね」で優しく力を抜く歌い方により切なさが増している気がします。


そんなやさしく静かに歌い上げた部分が画面では鮮烈な赤一色で、初見は胸が震える感覚でした、、、バンドメンバーの背景もここで赤一色に変わっています。


これはあくまで私の推測なのですが、

MVを見る限りでは、バンドメンバーの背景が水色の間は制服の女の子目線の歌詞、赤に変わってからは白い服の女の子目線の歌詞なのではないかと思っています。

先程、「赤い水風船は白い服の女の子の揶揄である」と書いた部分にも繋がります。

水色と赤色どちらもある間の歌詞は、きっとどちらの目線も含んでいるのではないか。


そう考えると、ふたりともが同時に「これでもう終わり」と思っていたことになります。

どんな人間関係もそこに芽生える愛も、
「終わり」というものはふたりの間で少なからず共有され、”一緒に”終わるものなのかもしれません。


さらに、終わりを表す「epilogue」というこの曲の最後の部分で、「最後の夢を見せて」とさらなる終わりを求めているあたり、考え深いものがあります


以上が、おいしくるメロンパンの「epilogue」となります!


ところどころ考察めいたことをしましたが、ボーカルのナカシマさんが最新アルバムのインタビューの際に「わかんないのがいいっていうところがあると思います」とおっしゃっているので、きっとこの解釈は正解ではなく、また正解はないのだろうなぁと思っています。


そんな世界観を持つ彼らがわたしは大好きだし、さまざまな解釈や感じ方ができるこの曲も大好きです。

今回は主にMVについてでしたが、次回はMVのない楽曲紹介もしたいと思います!


もしこの投稿からおいしくるメロンパンに興味を持った方がいらっしゃれば本当にうれしいです。



p.s.ここまで読んでくださった心優しいそこの貴方、わたしの自己満足に長々と付き合っていただき本当にありがとうございます…!











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