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神様の脚本

親友の三回目の命日に綴ること

✱自死に関する内容があります✱

私はただ今43話を絶賛放送中だ。


40話で私という物語の主要人物がひとり居なくなった。14話から40話まで登場し盛り上げてくれた大事な親友。


まさか神様がこんな脚本を用意していると想像していなかったよ。人気ドラマだったらクレームが絶対くる。彼女はとびきりキュートでチャーミングだったからファンも多かった。


同じセーラー服を着て一緒に部活で走って、お揃いのハチマキで体育祭ではしゃいで、似合いもしない化粧も試したね。車の免許をとったらはしゃいで海へ出かけた。紺色の古い壊れそうなターセルで。


長い恋に終止符を打たれた日にはファミレスで夜を過ごした。

私の恋も、彼女の恋も。


社会人になってもそれは変わらなくて、一足先に結婚した結婚式で空に舞いあっがった私がブーケをとった。あの脚本は出来すぎだったね。

子供が産まれて家を買い、家族が出来ても変わらない関係。



田舎育ちのほのぼのホームドラマは誰がみても退屈で、神様は急に40話で物語にシリアスさを加えた。


あの寒い夜の着信


“絶対にうそだ”と大声で泣き叫んだ私はみんなが止めるのを振り切って検視が終わった彼女のもとへ向かう。何度も訪れた家の空気は濁っていて、重くて“絶対にうそ”ではないことが分かる。


青いビニールシートに首まで毛布をかけられて寝かされている彼女を見た時に正直私は彼女に触れることに足が竦んだ。


親友なのに。


あれから3年も経つのね。


主要人物が居なくなった物語など続ける意味があるのかなぁ?って思ったけど続いちゃうんだ。私が主人公だからね、嫌でも続く。


そして嫌だけど、嫌なりに続けていけるのは14話から40話まで彼女が登場してくれたから。


私を沢山笑わせて、泣かせてくれた。笑った数の方が多い。


巻き戻しも早送りも出来ないこの物語を私はこれからも続けていくよ。ハラハラドキドキする物語を。


視聴者として天国で観ていてね。


そして・・・・


今、身体の調子や心の調子が悪い人は病院へ行きましょう。治療をしましょう。時には薬にも頼りましょう。周りにも国にも一切合切頼りましょう。保険に入れないとか住宅ローンが組めなくなるとかは後回しで大丈夫。いくらでも方法はあるから。


貴方の調子が良くなる。それと引き換えになるものなんて何も無い。

それは明確な事です。


神様の脚本はいくらでも勝手に書き換えましょう。だって私たちが物語の主人公なんだから。





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