秘密というのは、共有することによってその人との仲を深めるコミュニケーションの武器のひとつかもしれない。
過ぎ去ってみると、私は彼を通して自分自身を見ていたのかもしれない。彼はありのままの私を見せつける出来のいい鏡みたいな人だったと思う。
春だから? センチメンタルになりかけて、留まった。 センチメンタルでいるのは体力がいる。 数年前、あんなにもセンチメンタルだったのは体力が有り余っていたのかもしれない。
もともと私は自分ことをどこか欠けた人間だと思っていたけど、病気をして、友達を亡くして、更に欠けたことで結果丸くなってきた気がしている今日この頃。
ふざけてはダメな場面でいつもふざけていた人が、ふざけてはダメな場面でちゃんとしていた。大人になるってふざけてばかりでは居られないのか。もっとふざけて生きていれば良かった。
心が悲しみから再生するのは強さでもあり弱さからくるものでもある。悲しみ続けることはそれはそれで辛すぎるから。
久しぶりの連絡は大学合格の知らせだった。 当時中学2年生だった彼女の息子は今、高校3年生。進路の報告を律儀に親戚でもない私たちにしてくれるなんてちょっと出木杉君じゃない? 彼女が居なくなって4度目の冬。 寂しさや悲しさは時間の共に少しずつ色褪せて、それでもやっぱり真っ白になることはなく、小さくなりつつも私の心に留まっている。 生きていたら一緒に合格祝いのパーティーしたのにな。とか実現不可能な戯言は相変わらず楽しいものばかりが頭に浮かぶ。 やっぱり、それら私の生きている
相手がわたしを抱きたいかどうかなんて些細なこと。でも、自分がその人に抱かれたいかどうかは重大で、そこが基準にならずにしたセックスなんてすぐに忘れちゃう。
男も女もしぶとい方がいい。 何度だって不幸になるけど、何度だって幸せにもなれる。
もしも振られたとしても ただじゃ起きないからな!
LINEをブロックされた日の昼前に携帯がなった。 画面には見覚えのある名前が表示がされている。 約4ヶ月ぶりの電話。こんなに弱っている日を狙ったように掛けてくるなんてね。 彼からの着信には無言で出る約束がある。彼の家族からのトラップの可能性もあるから。相手が話し始めてからこちらも声を出す約束。 「今回も約束、ちゃんと果たしよ」 駄々っ子みたいに私が申告すると 『おぅおぅ(๑•᎑•๑)』 と何も知らない彼が呑気に返事をするので、私はわんわんと声を上げて泣き出してし
よく「アダルトビデオじゃないんだから」って男性のことを揶揄するけれど、男性だけでなく女性も同じように洗脳されているかもしれない。 だって最初にセックスを知ったとき情報なんてなかった。私の思春期に性の情報が得られるのってアダルトビデオだけ。 性の話はオープンにしないのがルール。そんな感じ。相手の自尊心を損なうものだと口をつぐんでいた。 沢山のことを両親から教わったけど、それだけはオブラートに包まれたまま細かく教わらなかったし。 ある時、ラブホテルで彼に言
学生時代のテストでは100点が満点なことが多い。 「100点は100点以上。0点は0点以下」そう言われたことがある。どちらも点数だけでは上限と下限を測ることが出来ないということ。 評価を数値化されるのはテストだけでなく、生活のいたるところで発生する。数値化されれば分かりやすいから。 けれど、分かりやすい評価に振り回される必要はないと思うんだ。 たとえばSNSだって動画配信だって分かりやすく数値で評価されるんだけど、怖いのは上限がないってこと。 逆に考えると満点はない
私には4歳下の妹がいる。古いアルバムを見ていると父と母と麦わら帽子を被っておにぎりを食べるあたし。遠くに動物が写っているのが分かる。 数年後、同じ場所で撮った写真には私と赤ちゃんの妹が写っている。被写体が2人になったことで動物はほんの少ししか写っていない。せっかくお出かけしているというのに。 アルバムには同じような写真ばかりが続く。 「ちゃんと写っていないかもしれない」 カメラマンは心配性の父だと分かる。 今みたいに撮った写真をその場で確認が出来なかったから何度もシ
分かりやすく元気で分かりやすく元気がないってもしかしたら狡いことだったりするのかな・・・。 ホテルで2回目のシャワーを浴び、顔にかかった精子をアイメイクが取れない程度に流している最中に考えていた。古いホテルのようでシャワーの水圧を変えるたびに大きな音がする。トイレも古い型のようでウォシュレットのおしりのマークは剥がれかかっており、鏡に映った汗と唾液で化粧の剥がれた中年の自分と古びたホテルを重ね合わせた。 男性は部屋に入って早々に鞄の中から小さな紙袋を私に手渡してくれた。可
少し前のお話。 セックスする人の出張が私の住む隣県に決まったと連絡が来た。彼は器用な人ではないので『逢いたいよ』って言わない。 「もし仕事に支障が無いようなら逢えたらうれしい。」 私がそうメッセージを送る。 『何とかする。飯でも食おう』 私は飄々とした彼が、出会い系に登録して出会いを求めていた訳でもない人が、毎日の何気ないやり取りと数ヶ月に一度の単位で逢瀬をしてくれるのが何故だか分からないままでいる。 しかし飯でも食おうには実は