日本酒とスパイスカレーは合うのか?【自宅飲みで検証】
最近、スパイス熱が高まってきています。
きっかけは昨年参加した「スパイスと日本酒の会」でした。(拉麺5510)
この時は「難しいこといわず、おいしいものとおいしいお酒で楽しもう」という感じだったのですが、スパイスの「刺激」が異様にお酒を加速させるということを感じました。
もっと、やってみたい。
日本酒とスパイスは合うのか?
合うとしたら、なにがどのくらい合うのか?
これを検証します。
おつまみ:パキスタン料理
西大島にあるパキスタン料理店「ハビビ ハラルレストラン」でテイクアウトしました。とあるカレー好きの方から「旨い」と教えていただいた店です。(TOPの写真はお店でいただいたものです)
A:チキンカラヒ
B:マトンビリヤニ
の2つを買いました。
(メニュー写真はどちらもチキンですが、ビリヤニはマトンです)
ちなみにですが、このハビビさんにお酒メニューはありません。ハラル料理ですので宗教的にNG。ダメなことをやっているという背徳感が高まります。
日本酒:タイプ別に3種を用意
左から
あ:一ロ万(花泉酒造)
すっきり甘みのある、間違いなくおいしい純米大吟醸生原酒です。
い:貴魂(笑亀酒造)
「酸」が特徴的なお酒。特にクエン酸に特化しています。
う:笑亀 味噌麹(笑亀酒造)
変わり種。飯米の「こしひかり」と「味噌麹」で作った、独特な味わいのお酒。コクがありボディもしっかりしたタイプです。
家にあったもので、かつタイプの違うものとしました。
【検証】日本酒とスパイス料理は合うのか?
(左がカラヒ、右がビリヤニ)
「チキンカラヒ」に合うのは、こっくり複雑タイプ
(チキンカラヒ。いまいち美味しそうに見えないのは写真のせいです)
まずこのチキンカラヒですが、ざっくりいうとチキンのカレー炒め煮。こってりとした粘度があり、口のなかでじわじわひりひりと辛さが長居するタイプです。普段なら、ビールで爽快に流したいところ。
(あ:一ロ万)△おのおのでおいしい!
スパイスの刺激があり、そのあとにおしとやかな甘み。それが過ぎ去ったあとにまだカレーのヒリヒリが残ります。
おいしいけど、別々の味といったところ。甘いお酒とあって、チキンの味より玉ねぎの甘みと合います。
(い:貴魂)◯ぴったり合う!!
これは合います。いいセットです。お酒は(あ)ほど華やかでない分、濃厚なカレー味とあわさっても違和感なし。スパイスの刺激と共存しつつ、野菜のあまみやチキンのコクとも喧嘩しません。
強いて言うなら、合いすぎてすっと飲んでしまう(ひっかかりがない)ことがものたりなく感じる程度。
(う:笑亀)◎おいしさ倍増!!
合います!合うどころじゃない、すごくおいしいです!
お酒に独特の甘み(熟れすぎたあんずや味噌のようなニュアンス)があるのですが、それがカレーを包み、辛さの奥にある甘みを引き出します。
合う、を超えてきました。どっしりボディで複雑な味(甘さベース)がカラヒにはぴったりでした。
ここでいったん、ビールで辛さをリセット。ビール、うまい。
「マトンビリヤニ」に合うのは、やっぱり複雑タイプ
続いてB:マトンビリヤニ。これは先ほどのこってり系とは逆。バスマティ米の鼻に抜ける香りと、エッジの効いたスパイスが印象的です。カレーより攻撃的な辛さ。
(あ:一ロ万)×あわんです。でも、まあおいしい。
完全に、別物です。味の共通点がひとつもないです。ただし、「それぞれでおいしい」ということもあり、普通にいけます。
(い:貴魂)◯合う!いい意味で味がぶつかる!
…いいです。ビリヤニの重心の高い刺激と、日本酒の酸味ががっちりとぶつかります。いい意味で味がぐっと立つ。ビリヤニを噛むとでてくるお米の旨味が出た瞬間、ぴったりと合います。
また、マトン独特の後味にもしっかり寄り添います。味や臭みを消すのではなく、増幅させるタイプのマリアージュでした。
(う:笑亀)◎スパイスの奥行きとぴったり!
合いすぎです。枯れたような独特の風味があるのですが、それがスパイスの刺激の重心の高さぴったり。スパイスの複雑味と絡み、いいかんじに共鳴しています。
マトンの肉感がでるとお酒の甘さが顔を出す。これぞ味変です。
スパイスと日本酒をつなぐ鍵は「情報量」
(それぞれのお酒の色はこんな感じです)
今回感じたのは味の「情報量」。
これが近いと、口のなかでバランスが取れる。甘さや辛さといった味の方向性は違っていても「面白い反応」に感じられるのですが、この複雑さが似ていないと「別物」と感じてしまいます。
カレーに日本酒はいけます。
お酒はどっしりしていたり、生酛・山廃をしていたりといった「複雑なもの」「熟成感のあるもの」がよくあいそうです。
その上で、すべておいしかったです。カレーとはつまみだったのです。
そしてそして、すべてをどうてもいいくらいに流してくれるビール(今回チェイサーとして使用)も、やっぱりすごいです。
もちろん、お酒を飲みます。