【レマコムと私vol.4】資格は必要?イベントを開くには? 日本酒の未来のために僕らができること (後編)
日本酒マニアの生態を追う「レマコムと私」シリーズvol4の後半。大学生・ナオヤさんと「好き酒師」ヒロシさんが、日本酒の未来について真剣に語り合いました。
前回の様子はこちら
https://note.mu/00kub0/n/nf5ee7e0914b8/edit
ーーヒロシさんはナオヤさん好みのお酒「吉田蔵」に、炭酸注入機を使って炭酸を注入。即席「スパークリング日本酒」をつくることに。
(興味深そうに炭酸注入を見るナオヤさん)
ヒロシさん(以下ヒロシ):これが結構おもしろいんだよ。まあ飲んでみて。
ナオヤさん(以下ナオヤ):………(真剣な顔)、うんうん(深くうなずく)おいしいです。
ヒロシさん:さっきナオヤくんがいってくれたように、炭酸を飲む人は増えているんだよ。で、無濾過生原酒なんかを炭酸にすると、超うまいんだ。甘いお酒ってべたっとしがちだけど、炭酸を加えると口当たりがすごくすっきりする。イベントでも、乾杯酒をこれにするとコースもすべて日本酒で通せるんだよ!
まあ、でもアルコール度数は変わらないけどね。
ナオヤ:あの……ヒロシさんのように日本酒を広める活動をするには、やっぱり日本酒の資格は持っておくべきなのでしょうか?
日本酒の資格、いる・いらない問題
ナオヤ:というのも、さきほど(前編)お話ししたように、大学の日本酒サークルに所属するつもりで、またいろんな日本酒イベントに行くこともあるんですよ。そういうものに参加したり、飲む人のことを想像しながら日本酒を探すことが好きなので…いつかは若い人に向けたイベントも企画してみたいなって思ってます。
ヒロシ:おっ、イベント興味あるの?なんでも教えるよ。
ナオヤ:それには、やっぱりお酒の知識があって、唎酒師の資格とかもなきゃいけないのかなと思って。
ヒロシ:僕がイベントをするとき、お酒の資格を伴う知識の必要性を感じたことは1回もないね。これもゲームと同じで…ごめんね、なんでもゲームにたとえちゃう(笑)。人気のゲームにあるような設定資料とかグッズって、ゲームをやって好きになった「あと」に買うじゃん?
ゲームの本筋ではない世界観とかファン向けの要素はオタクにとっては重要だけど、別に知らなくても楽しめるのがゲームだと思う。それと同じ。
お酒って、酵母がどうとか知らなきゃ美味しくないものじゃなくない?
ナオヤ:…たしかに。
ヒロシ:もちろん、日本酒には「知識を楽しむ」側面もある。でも、最初の30分だけだって。飲み始めたらそういうのは関係ないと思う(笑)
ナオヤ:そうですね(笑)。実は僕、唎酒師を取ろうと思っています。就職先は食品関係なのですが、いつか自分の好きな領域に広げていきたいなって。
ヒロシ:そうか、もしナオヤくんが日本酒を仕事や自分の活動につなげていきたいと考えているなら、資格は取っていいと思うよ。資格の必要性はいろいろな意見があるけれど、やっぱり今の世の中では有効。
ナオヤ:ただ、ちょっと高い気もします。それならレマコムや日本酒買いたいです(笑)
ヒロシ:もちろん、日本酒を勉強するならレマコムはあったほうがいい。お酒の味を定期的にみるには温度管理できる環境は必要だね。
日本酒の未来のために、僕たちができること
ヒロシ:僕は、日本酒がいかに若い人に飲んでもらえるようになるかが大切だと思っていてさ。ナオヤくんに聞きたいんだけど、若い人が「こういう場所があれば日本酒飲む」というのがあればぜひ教えてほしいな。
ナオヤ:普段お酒を飲みに行くのは、サークルや大学の友人と一緒が多いんですが…自分から進んで日本酒を注文する人はほとんどいないし、グラス120mlとか多くて飲まないんですよ。僕が1〜2合(銘柄)頼んで、みんなで分けて飲む事が多いです。なので、もっとおちょこ1杯とかショットグラス1杯くらいの少量ずつ飲めるお店があるといいな、と思いますね。
ヒロシ:酒屋さんはどんなところだといい?
ナオヤ:うーん…。若い人が少量ずついろんなものを飲みたいと考えるなら、試飲できたり、1合瓶を豊富に揃えているお店があると友人に勧めたくもなります。あとこれは個人的な考えなんですが、酒屋さんの多くがやっぱり入りにくいです。店内が暗くて中の雰囲気が外から見えにくいし、何か下手な事言うとにらまれそうだし…。
ヒロシ:酒屋さんって、みんなお酒すきなセレクトショップなんだよね。基本は話したいし、コミュニケーションをとりたいと思っているんだけど…なかなかこだわりが強かったり、価値観が合わなかったりしてクセが出ているところもある。酒屋で日本酒を買うって、すごくハードル高いことだよね。
ナオヤ:お店ごとのこだわり自体、僕はすごく好きなのですが…日本酒って人によって好き嫌いのあるものじゃないですか。だから、あまり日本酒を飲んだことのない人には泡があって、日本酒っぽくない味の「すず音」からでもいいと思ってます。とりあえず色々飲んでみて、自分の好きな味に出会って「おいしい」「こんな味のお酒をほかにも(ほかの蔵のものも)飲んでみたい」と思ったら酒屋に行ってみてもいいと思います。
ヒロシ:まったく、同じ意見だよ。日本酒ってそれができるくらい幅が広いものだからさ、ひとつの価値観を押し付けちゃだめなんだよ。
いつか、きみも熱燗の沼へ
ヒロシ:もう、君は大学生とかレマコムとか、そういうことで悩んでいるところから違う気がしてきたね。十分にこっち側(日本酒マニア)です。常温や熱燗なんかは飲むの?
ナオキ:いえ、まだあまり…でもこの前イベントで飲ませてもらった熟成は美味しかったですね。
ヒロシ:うんうん、僕もそういうの飲めなかったけど、今は常温酒が好みだったりするよ。廊下に常温で置いているんだ。
(常温放置酒。冷やでも熱燗でも、何してもおいしいのだそう)
ヒロシ:お酒を好きになるのって段階があると思ってる。最初の何年かはそれこそ無濾過生原酒とか。僕の場合はそれから貴醸酒にはまって、純米吟醸に行って、純米酒と…だんだん精米歩合が下がってくる。
それであるとき、熱燗を飲んで「おいしい!」となる。そしてだんだんパック酒まで。
ナオヤ:…パック酒はほとんど飲んだことないです。美味しいんですか?
(常温酒について語り合う。廊下で)
ヒロシ:今のパック酒はおいしいよ!というか、舌が日本酒になれてだんだんバカになっているのかも(笑)。ほら、パック酒って人生の大先輩が外で飲んでるイメージあるじゃん。あれって、実はいろいろな好みの過程があってたどり着いた結果なんじゃないかなとも思っている(笑)。
それだけ、味の好みはどんどん変わるよ。そうだ、ナオヤくんにうちの熱燗向きの酒器をひとつプレゼントするよ。
ナオヤ:えっ!そんな…ホントに頂いていいんですか?
ヒロシ:君も、いつか絶対に熱燗を好きになるときがくるから。その時に使ってよ。
ナオヤ:……ありがとうございます!
ーーナオヤさんが選んだ酒器は干支の文字が入った平杯。次はこれで、熱燗を飲みましょう。
ヒロシさん、ナオヤさん、取材にご協力いただき、本当にありがとうございました。おふたりの日本酒活動を応援しています!
おまけ
ヒロシさんの自宅の廊下にあった「No.6」ライト。結婚式に使ったものだそう。
ヒロシさんのレマコムはこちら
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