「日本酒造り」といえば、「寒造り」という言葉に代表されるように、寒い間に1年分仕込むのが一般的です。
では、酒造りに適さない「夏」の間、蔵人たちは何をして過ごしているのでしょうか? 普段は見えない夏の蔵人を知るべく、酒造関係者の皆さんにアンケートを実施しました。回答いただいた内容を一部抜粋し、リアルな「夏の蔵人」の姿をお届けします。みなさん、予想以上に、夏も忙しいです!
Q1:夏の「お仕事」を教えて!
蔵の醸造期間(初夏まで造っている蔵が多かったです)や、職務によってさまざまな回答をいただきました!
掃除、片付け…夏は来年にむけた準備期間!
多忙!!お酒を造らないからといってなにもしなくていいわけではなく、修繕やメンテナンスが必要なのですね。
こちらは「ほぼ一年中醸造」している宮泉銘醸の蔵人さん。すみません、愚問でしたね。夏も通常運転で働かれていますよね…。
蔵元や部長、杜氏たちは「何でも屋」になる忙しさ!
蔵人の中でも「蔵元」や「杜氏」など、管理職となるとまた別の活動も入ってくるようです。
「働き方改革」で負担がかかるのは管理職だとよくいいますが、本当に大変そうです。
杜氏の働き方は変わってきている!
続いては、季節雇用、通年雇用の両方を経験した職人杜氏の盛川泰敬さんの回答。過去と現在、それぞれの夏を教えてくれました。
結構がらりと変わります。季節雇用時は当然酒造りとは関係ない仕事を、通年では夏も蔵の仕事。どちらにしても「働いている」のは変わらないのですね。
ちなみに海外の日本酒蔵が夏に造っているものは?
さらに、海外のベトナムで酒造りを行うフエフーズの蔵元・才田善郎さんにも答えていただきました。ベトナムの夏…気になります。
焼酎!そうか、南国では焼酎を造っているのですね。ベトナム焼酎飲んでみたいです。
Q2:夏の活動で「大変」なことは?
なんと、夏の方がむしろ忙しい…という声があがりました。
長州酒造さんは「ほぼ四季醸造(1年中近く造ること)」。造らない時期はわずか2ヶ月とのこと。本当に短い夏です。
特殊すぎるのですが、さすがベトナム。酒造りで熱中症…そういう世界があるのですね。本当に労働に感謝しつつ飲ませていただきます。
Q3:夏の活動で「うれしい」ことは?
大変な反面、冬とは違う活動の「うれしさ」も聞いてみました!
夏はやっぱり開放感いっぱい!
回答を見て、改めて酒造り中は休みなしで集中しなければいけないんだなと感じました。夏場は、それから一瞬でも解放されるのですね。
夏は貴重な「学び」の時期
酒造りの期間は、蔵に籠る蔵人さん。酒造りのない夏は、重要なインプットの時期になっているようです。
夏はお客さんとの接点を持てる貴重な時間!
夏の仕事に「営業」がありましたが、それはお客さんと接することができる貴重な時間でもあるようです。
Q4:蔵人の「夏の思い出」は何?
酸いも甘いも、さまざまな体験がある蔵人の夏。最後に「夏の思い出」を聞いてみました。
冬に仕事が集中するゆえに、思いっきり夏を楽しもうとされている様子がうかがえます。また、夏の期間は「酒造りの勉強」の期間としても大切のようです。
結論、日本酒蔵の蔵人さんは、夏も大忙し!
冬季集中の酒造りは今や昔、みなさんがっつり夏も働かれていました。酒蔵といえど「企業戦士」なのだと改めて実感しました。
また、いち日本酒好きとしては、酒蔵の人が営業に力を入れている夏は「イベントなどで造り手さんとお会いできる絶好の機会」です。お酒を片手に、造り手の方の話を聞きながら飲むと、一層そのお酒を好きになりますよ。
日本酒蔵のみなさま、お忙しい中(本当に夏の多忙な時期に)アンケートにご回答いただき、ありがとうございました!!
酒蔵さん紹介(五十音順)
今回ご協力いただいた酒蔵さん(公開OKな方に限る)を紹介します
下村酒造店(兵庫)
田中酒造店(岩手)
長州酒造(山口)
土田酒造(群馬)
フエフーズ(ベトナム)
福司酒造(北海道)
宮泉銘醸(福島)
村井醸造(茨城)
アンケート記事はこちらも!