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お酒を2杯、同時に頼むということ。実践レポート付き

場末の酒場で、手練らしいおじさんが「ビールとサワー!」と、2-3杯同時に頼むのを見て心底驚いたことがあります。引き気味ですが、非常に興味深い積極的飲酒の形として。

幸い、私お酒のSNSアカウントをしております(それしかない)ので、お酒の先輩の皆さまに問いかけてみました。「並行飲みはしますか?」と。すると想像以上にみなさんやっている!

「2杯同時に頼む」方々に聞いたその理由と楽しみ方(アンケート結果です)と、私が実際に試してみた「2杯のみレポート」を一緒に紹介します。

2杯のみ①ビールはチェイサーである

何をいっているかわかりませんが、この説が多かったです。

・薬をのむためにビールを頼み、本命の日本酒を頼む
・日本酒とチェイサー(レモンサワー)とか、日本酒とチェイサー(ビール)とか
・ビールはお腹がふくれてすぐに満足するが、レモンサワーを挟むとビールの一口目の美味しさがよみがえる

早速、体験してみました。

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たまたま名古屋に泊まりにきていて、その帰り。つまり朝です。
JR在来線のホームにある立ち食いきしめん店。

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お客さんはさっときしめん食べて去っていきます。そんななか、土手煮とアルコール2種。食券を見た店員さんは「どちらから出しますか?」と。

「いいえ、同時にお願いします」「日本酒は温めますか?」

なんとここではレンチン燗ができるのです。

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完璧なトライアングル。土手焼きにはしっかり一味を振ります。

最初は周囲の目が気になったのですが、ビールひとくちでどうでもよくなります。濃い味つけの土手煮をひとくち、まずビールでながし、次の一口は熱燗で。腹の奥がカッと熱くなります。

おお、これです、これ。大人の食の階段を一足飛びに上がるような、同時に落ちていくような、なにかが自分のなかで加速します。

聞こえてくる電車の音、振動が酒情を盛り上げます。

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(きしめんは締めに)

しかしこの飲み方、なかなか危険です。ビールの清涼感があるので延々と飲める。それもゴクゴクと。よくない、よくない、けど確かにうまいです。

2杯のみ②ビール×お酒×ソフトドリンクのトリプル

・レモンサワーと日本酒を一緒に。水とレモンサワーをチェイサーにして日本酒を飲む。冬は日本酒&レモンサワー&白湯

①の飲み方をしていたとき感じたのが「水を飲まなくなるから酔いやすい」でした。それを解消する上級者の意見がこちら。なるほど、これなら悪酔いは防げそうです。

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(宿泊したホテルにて)こういうこと…でしょうか。先程の酒→酒→酒→酒の無限ループではなく、酒→酒→ソフトドリンク→酒→酒となるため、謎のリズムが生まれました。

しかし、この時はすべて「炭酸」を選んだためすぐに満腹になりました。

2杯のみ③日本酒と日本酒で味の違いを

・日本酒を複数飲み比べることはあります。まあ自宅では7種なども。
酒と酒とのマッチングはあると思う
・お酒にあう料理をきいて、しぼれなかったとき。2つともくださいってやってしまうので

日本酒と日本酒というパターンも多く見られました。日本酒はグラスが小さいからか、他の組み合わせにくらべ、危険な香りは軽減されます。

また、「酒と酒のマッチング」という言葉は初めて聞きました。詳しく聞くと

A ・B・Cの酒があって、Cがどうしても好みに合わない場合、Bを挟んでA→B→Cと行くと、Cが飲めるようになったりする

のだそう。すごい、奥が深いです。

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このパターンはやったことありました!しかしただ2杯とも飲みたかったというだけです。(SAKE Streetにて)

日本酒の場合は下記のような「スペック比較」も比較的多かったです。

・同じお酒でお米違い(雄町と山田錦)を楽しみたい時に交互に飲む
・同じ酒蔵さんのお酒を数種類頼むことが多い。お米やスペックでどう味が変化するのかを楽しむ

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(5510にて)確かに、微妙な違いを比べるのは楽しいものです。家ではなかなかできない、お店ならではの楽しみ方ですね。

・日本酒barで、熱燗をつまみに冷酒を飲むのを店長さんにすすめられてしたことがある

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こういうことか(きんぼし、にて)。

理由はよくわからないのですが、日本酒と日本酒の並行飲みは普通な気がします。アルコール摂取したいというより、「味を見たい」という趣味的な理由だからでしょうか。結果飲んでいることには変わらないのに。

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(たちばな、にて)多くのお店で飲み比べセット、というのがあるくらいです。

2杯のみ④大切な人を悼んで

祖父が亡くなった時に、すきなお酒をふたつ頼んでひとつカウンターに置かせてもらったことを思い出した

なんて美しい2杯飲みなのでしょうか。

酒のみの階段をのぼりました

<そのほかの理由>
・店員さんが忙しそうなとき
・夏はビールをダブルでやります
・2秒で飲める時
・すぐになくなるので

今回、本当の酒飲みの階段を一歩のぼりました。よいかわるいかは別にして、とにかく知らなかった世界と味を体験しました。

今度から堂々とひとりで2杯頼んでやります。

もちろん、お酒を飲みます。