不幸の方が安心するのはなんでなんだろう
先日、彼氏と別れた。 今となってはもはや彼氏かどうかだったのかさえ分からない。 たぶん、ずっと、彼氏だと思っていたのは私だけで、 "彼氏“という言葉に囚われていたのも私だけで、 ずっと私は、いてもいなくても同じ存在だったことを別れた時に痛いほど思い知らされた。 別れた、って言うと聞こえがいいけど 実際にはフツーにふられました。 私が悪いんだけど、わざと試し行動みたいなことを言って怒らせてしまって、 思いっきり冷めた目で、ふられた。 こんなにもあっけないんだ、と思
例えば、 セックスで首を絞められた時 例えば、 あまりにも辛すぎる料理を食べた時 例えば、 熱すぎるサウナに入った時 例えば、 わさびが鼻にツーンと来た時 例えば、 身内の亡骸を見た時 例えば、 転んで膝をすりむき、ストッキング越しに滲んだ血を見た時 例えば、 海に入りどろどろの砂が足の上を滑っていった時 生きていると感じる ひさしぶりに映画を見た 佐々木、イン、マイマインという映画だ 分かるよ、今お前は普通の状態じゃない。 まるで糸の切れた凧みたいに虚
「俺、こうしていないと寝れないんだ」 ゆきちゃんが私の両手をとって、自分の顔を包み込むような形に手を添えさせる。 これがいつもの寝方だった。 おやすみ、と言い合うとゆきちゃんは5秒くらいで眠りに入る。 「母さん…」 ゆきちゃんはたまに寝言でお母さんを呼ぶ。 その日もそうだった。 「大丈夫?」 声をかけて体を揺するが、起きる気配はない。 「口の周りパランパラン…」 なんだその寝言
「由孝(ゆきたか)、こっちおいで」 ゆきちゃんは抵抗する事なく、素直に四つん這いでこちらに近づいて来る。大の男がずりずりと狭い部屋を這いずり、恍惚とした表情で私のいるベッドへ上がってくる。 「ねえ犬なんでしょ?なんで服着てるの」 「わん…」 いそいそと、私の前で服を脱いでいく。 既にこれ以上勃たないほどに勃起していた。 全裸になった男に、ピンク色の馬鹿みたいな手錠と首輪を付ける。 ベッドに押し倒し、顔面に跨がる。 「舐めて」
「私と、別れてください。もう無理です」 全ての感情を押し殺して、私は自ら悪者になった。 ゆきちゃんは「つらい思いさせてごめん」って 電話越しに言った。 その声が冷たくて、別の人に思えた。 そうして私たちは他人になった。 ゆきちゃんは愛情表現が異常なことがよくあった。 「眼球舐めさせて」 とか 「おしっこのませて」 とか 「使用済みのナプキンちょうだい」 とか 「鼻の穴舐めさせて」 とか。 無理矢理生理中にクンニされたり、 足の裏を口の中に全部入れようとしたり