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愛しの愛しの漬かりちゃん

 今年の初めからぬか漬け生活を始めた。

 色々と本やインターネットで下調べをしたが結構手入れが面倒な事と気を抜くと腐らせてしまうというリスキーな一面もあってこれまで躊躇していた。

 しかし妻の体調がここの所あまり優れずに病院にかかってみると腸の活動が弱いかもしれませんと言われた。

 そこで思いついたのが発酵食品であるぬか漬けである。

 ぬか漬けは乳酸発酵なので毎日食べる事によって腸内環境の改善が期待できる。

 何分素人なので最初は市販のぬか漬けセットを買ってきてそれをベースに始めてみた。

 一番最初に漬けたのは定番のキュウリ。

 一晩かけてもう漬かったかなと思ってドキドキして切ってみるとちょっとしょっぱかったがちゃんとぬか漬けになっていた。

 スーパーで売っている添加物の多いぬか漬けに比べると素朴でどこか田舎のお婆ちゃんを思い出すような味わいで私は一発で気に入った。

 それからぬか漬け生活が始まった。

 一日一回かき混ぜるのはもちろんの事、ぬかが少なくなってきたら足したり、塩分を調整したり、漬けているうちに水分が出てきてぬか床がべちゃべちゃになったらキッチンペーパーで拭きとったりとだんだんお世話が楽しくなってきた。

 そんな愛着がわいてきてぬか床に漬かりちゃんと名前を付けて可愛がるのが最近は習慣になっている。

 漬ける野菜もキュウリ以外に人参、大根、ナスなどの定番からちょっと変わり種としてはブロッコリーの茎や人から教わったズッキーニなんかも試してみている。

 特にズッキーニはぬか漬けにすると甘みと爽やかな酸味が合わさって意外な位美味しい。

 とはいえ半年間毎日毎日ぬか漬けをそのまま食べていると少々飽きてくる。
 
 そこでぬか漬けを使ったアレンジメニューをいくつか考案した。

 ぬか漬けにしたキュウリは乱切りにして豚のこま切れ肉と炒めると素敵な一品になる。

 味付けはシンプルに醤油と酒とオイスターソースくらいで十分である。

 加熱したキュウリはしんなりとして食べやすくなる。

 ぬか漬けなのでキュウリ自体に適度な塩気とうま味があるので豚肉との相性はとてもいい。

 これに合わせるお酒はビールで決まりである。

 パシュッとプルタブを起こしてグラスにテッテッテと注いだ黄金色の液体と相性は抜群である。

 そしてこれが本命なのだがぬか漬け野菜のアレンジとして一番お気に入りなのはポテトサラダである。
 
 使う野菜はしっかりと漬けた人参とジャガイモ。

 ジャガイモをレンジでチンする。
 
 その間に人参の皮を薄く剥いて細かいみじん切りにする。

 ジャガイモに火が通ったらアチチと言いながら皮を剥いてマッシャーでグニグニと潰す。
 
 この時に完全に潰すのではなくある程度ジャガイモの形が残るように半殺しの状態で止めておくのがポイントである。

 そこにみじん切りにしたぬか漬けの人参を加えて味付けは塩コショウとマヨネーズと隠し味にほんの少しうま味調味料と昆布茶を加える。

 よく混ぜて全体が馴染んだら出来上がりである。

 熱々を食べてもいいし冷蔵庫で冷やしてもいい。

 このポテトサラダの特徴は人参以外の具は入れないことで後で水分が出てきて水っぽくなりがちな玉ねぎやキュウリは使わない。
 
 味は素朴なポテトサラダにコリコリとした歯ごたえの人参が入っており食感がとてもいい。

 ぬか漬け自体の風味も加わった何とも素敵な一品である。

 作るのもとても簡単だし何より味がいい。

 私の妻はこのポテトサラダが大好きで山盛りに作ってもペロリと平らげてしまう。
 
 もし余っても翌日にパンに乗せてトースターで焼けばポテサラトーストになる。

 これはコーヒーにとても合う。

 このようにぬか漬けアレンジ料理を日々考えながら次は何を漬けようかなと思案している時間が今はとても楽しい。

 今年のお正月から始まったぬか漬け生活、ぬか床は大切にしていたら百年は持つというので大切育てて次世代に誰か引き継いでくれたらいいなと思っている。

 お漬物文化が危ぶまれている昨今、だったら自分で作ればいいかと思って何気なく始めたが趣味として定着しそうである。

 ご趣味は?と聞かれてぬか漬けを少々と答えたら何だかちょっとカッコいい気がするじゃないですか。

 まだまだ初心者マークがついているひよっこですが。

 ほぼ独学なのでまだまだ進化の余地はあると思う。

 目指せ漬物一番星。

 さぁて、今日は何を漬けようかな。


 

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