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 受け入れの方法とスキル 第2段階 その3

③2時間目-1

先生「みーちゃん。ビーズと双六、どっちからしましょう?」

2つのカードを見せながら、質問しました。みーちゃんは双六を選びました。

先生「はじめに、双六がしたいんだね(「共感」)分かった。じゃ『双六』  
  って言ってみようか(「覚えて」)?一緒に言うよ『す・ご・ろ・
  く』。そうそう、言えたね(「共感」)。」

みーちゃんは、「す~・・・」と聞こえるような声を出しています。

 先生が、双六を広げて準備をしてあげました。みーちゃんは、双六を覚えていてみーちゃんのおもちゃ箱から、サイコロを持って来ることができました。。
    注)みーちゃんの良く遊ぶもの、これから遊んで欲しいもの
      を三段ボックスに入れてあります。それを『みーちゃんの
      おもちゃ箱』と呼んでいます。

 双六は、伊藤先生がみーちゃんのために作った「みーちゃん双六です」
15個で上がりになります。途中、何個かは「~する」などみーちゃんが好きなことや、みーちゃんにして欲しい内容が書いてあります。

先生「先生が、準備したから、ありがとうを言ってください。(「すみませ
  ん」)・・・伊藤先生ありがとう。そう『あり』だけ言えたね(「共
  感」)もうちょっとで『ありがとう』が言えそうだね(「覚えて」)。
  覚えてね。」

双六が、始まりました。

先生「みーちゃんは、どの駒を選ぶ。アンパンマンと豚と恐竜とイチゴが
  あるよ。」

 みーちゃんは、イチゴを選びました。

先生「じゃ、伊藤先生は豚ね。先生が、『豚だ』からじゃないよ。先生は、
  豚肉が好きなだけだよ。いつもの通り、みーちゃんからやらせてあげる
  ね。『ありがとう』と言って。伊藤先生は、いい先生でしょう」
     注)まだ、みーちゃんから始めないと、怒りだします。
       順番は、もう少し後で教えてもいいでしょう。
     注)最後の台詞は、愛着を溜めていく効果があります。

手作り双六

 みーちゃんはまた、「あり(はい)」と言ってからサイコロを振りました。4が出ました。

先生「じゃ、駒を動かすよ。ちょっと、まって勝手にイチゴを動かしたらだ
  め。一緒にやるよ。せーの、『1』『2』『3』『4』、そうそこが
  4だね(「共感」)。『4』って書いてあるね(「覚えて」)。」
     注)算数準備の「1対1対応」「数唱」「4を覚える」を
       実践しています。

 みーちゃんは、小さい声ですが数字を言っています。双六には、大きく数字の4が書いてあります。

先生「何か書いてあるね。読んでみるよ。『ひよこのまねをする』だって。 
  『ひよこ』って書いてあるね(「覚えて」)。なんて鳴くか知ってい
  る。…『ぴよぴよ、ぴよぴよ』だよ。ほーら、こうやりながら(ひよこ
  の真似を教える)『ぴよぴよ、ぴよぴよ』ってなくだんよ(「覚え
  て」)。覚  えた?じゃ、やってみて。」
    注)国語準備の「ひらがなに興味を持つ」を実践して
      います。

 みーちゃんは、伊藤先生と一緒にひよこの真似ができました。みーちゃんは、むちゃむちゃ笑っています。

先生「ひよこ、できたね。上手だよ(「共感」)。じゃ、次は先生の番だね。
  サイコロ振るよ。」

先生の出目は、6でした。

先生「やった!先生は、6だよ。みーちゃんも数えてね、1,2,3,4,
  5,6.ここが『6』だね(数字を指さす)。なんて書いてあるか
  な?読んでみようか?」
    注)文字に興味を持たせる声かけです。

みーちゃんも「6」を覗き込んでいます。

先生「なになに『3つもどる』えー、せっかく6出たのに3つ戻るの?
  いやだな。仕方がないから、戻るね。」
     注)自閉傾向の子の一番難しい「仕方がない」を
       教えています。

先生は、豚のコマを持つと「1,2,3。」と戻りました。

先生「あー。6から3戻ったら『3』になっちゃった。残念。悔しい!!」
   注)算数の引き算の経験です。悔しいときの言語化と顔の表情の
     見本も見せています。

 みちゃんの次のサイコロの出目は、3でした。同じように数字を数えてイチゴの駒を進めます。

先生「さっきは『4』だったけど、3つ進んだら『7』になったね(「共
   感」)。みーちゃんは、今、『7』にいるんだよ(「覚えて」)。」
   注)算数の足し算経験

 この後、伊藤先生はまた「6」をだし「9」に止まりました。「9」は、「ハワイアンダンスを踊る」でした。伊藤先生が踊って見せると、みーちゃんは、大爆笑でした。
 なんだかんだあって、今日はみーちゃんが勝ちました。みーちゃんは、機嫌よく双六もサイコロも片づけてくれました」。

「ビーズ遊び」へ続く。

  

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