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馬鹿げた時間。

たった1回の4分のために10ヶ月費やす。
我ながらおかしい話だと思う。

4分の作品を作るためにかかる労力は途方もない。
深めることのできるテーマ、舞台構成、その作品にぴったりと合う音楽、衣装、ひとつひとつに意味を持たせる振り付けを全員が考え、練習し、壊し、また考える。考え続ける。
振り付けや構成が決まったあとも体の動かし方、指先、足の上げる角度、動かす速度、呼吸。0.1秒でもズレが無いようひたすら考え揃える。無駄なものが削ぎ落とされ、精神身体ともに削れ、極限状態で踊る。踊り続ける。

踊り続けた先に何があるのか。
何も無いのだ。
入賞して賞状を貰ったり、称賛を得ることはある。
わたしたちに残るものは少ない。
せいぜい映像と衣装そして思い出。
わたしたちが10ヶ月考えてきた作品をわたしたちはこの目で見ることは出来無い。

こんな馬鹿げた時間を過ごせるのも今だけだ。
そう思いながらわたしは最後の一年に踏み出している。
馬鹿げた時間はもう止まってくれない。

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