下肢疾患の実際 〜投球時の下肢の疼痛改善〜
C-I baseballの【Advance course 野球選手のみかたを深める】の発信を担当する須藤慶士です。
Advance courseでは腰痛・捻挫・下肢疾患・インソールの発信を担当しております。
臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。
局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。
【マガジン紹介】
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今回の記事は下肢疾患の実際です。
今回のキーワードです↓↓↓
『アライメント』と『筋出力』を確認する作業
投球動作で下肢に疼痛が出現する選手に承諾をいただき、ポイントを絞り、アプローチのビフォー・アフターを撮影させていただきました。
評価のポイントは
どのプレーで疼痛が起こるのか
それはどのような肢位なのか
なぜその肢位になってしまうのか
改善するにはどうすればいいのか
です。
評価と疼痛が起こる動作が一致しなければなりません。
今回は一致するように評価・アプローチを行いましたので担当されている選手に使ってみてください。
疼痛を確認する場合は、
どのプレーで出現するのか(トップダウン)
アライメント、筋出力(ボトムアップ)
で、考えます。
現場で必要なのはトップダウンですから、今回のnoteの記事の順番は投球動作評価⇨ランジ⇨筋力評価で記載しました。
■選手紹介
投手/右投げ・右打ち/大学生
1ヶ月前から投球時に左膝・左腰部の疼痛・違和感出現、その後、腰痛発症
病名:腸脛靭帯炎
既往歴:内側野球肘、肩関節痛、腰痛
*選手には承諾をいただいております
■評価
Late cocking〜Ball releaceにかけて、ステップ脚の膝関節外側の疼痛と、左腰部の違和感がある大学生投手です。
まず問題点の予測をします。
なぜこうなるのでしょうか?
軸足の問題・足部の問題・ステップ側の問題など。(足部については次回の記事がインソールですので今回は足部に関しては記載いたしません)
今回は選手の訴えている部位に着目し評価を行うことにします。
疼痛部位・違和感部位はステップ脚の膝関節外側、腰部
この肢位になると大腿筋膜張筋・腸脛靭帯は伸張されます。特に遠位である膝関節外側は伸張ストレスが加わりやすいです。
では、なぜこの肢位になるのか?
中殿筋が弱いから?
と考えると思います。本当に筋力低下が問題なのでしょうか?
先に答えからお話ししますが、半分正解で半分間違いです。
今回のnoteは中殿筋をどうすれば発揮しやすくなるかということを評価からアプローチ、最終的にどうなったかを動画内で説明していきます。
筋力強化はただメニューを組んで行うだけではなく、選手個々パフォーマンスや痛みの訴えを確認すること、そしてアライメントを整え、筋出力発揮しやすい状態にしてから行うことが重要です。
|投球動作
Late cocking〜:ステップ脚Knee-in、骨盤sway
Late cocking〜ステップ脚股関節は内転・内旋位、Knee-inが見られます。
この肢位だと大腿骨遠位では大腿筋膜張筋の収縮が強まり近位では大腿筋膜張筋が伸張され左膝関節外側の疼痛が出現します。
大腿筋膜張筋が働きすぎると中殿筋は出力低下するので股関節は内転します。
左腰部はステップ脚中殿筋が筋出力低下しているために中殿筋で止められず左腰部周囲の筋肉が代償し過収縮していることで違和感が起こっていると考えます。
|フォワードランジ
ボールリリース時の姿勢と似ています。フォワードランジでも投球時と同じように膝関節外側に疼痛出現します。
反対側のフォワードランジと比較しても股関節内転・内旋しKnee-inしているのがよくわかります。
フォワードランジでのKnee-inはなぜおこるのでしょうか?
・ステップ脚の中殿筋の筋力低下
・ステップ脚の股関節可動域制限
・投球側股関節股関節可動域制限
・足部問題
など挙げられます。
|サイドランジ
サイドランジはどうでしょうか?
左方向へのサイドランジで反対側と比較すると体幹が下肢よりswayしているように見えます。
これも考えられるのは、左下肢の筋力低下、不安定性です。
サイドランジでは膝関節疼痛、腰部違和感はありませんでした。
サイドランジからの左回旋を行った際には膝関節疼痛、腰部違和感が出現しました。
動作評価は、骨盤左回旋量は少なく骨盤の左側へのsway、体幹左回旋が大きく見られました。
|股関節安定性チェック
投球動作・フォワードランジ・サイドランジの評価から中殿筋があやしいのでは?
という評価になりました。
ここで中殿筋の評価を行います。
右股関節は安定
左股関節は不安定
|シングルブリッジ
これらの評価のみで見ると中殿筋の筋力低下に見えます。
最近はトレーニングをきちんと行っている選手は多く見られます。
それなのに筋力低下??
本当に低下しているのでしょうか?
MMT弱い=筋力低下
ではなく、
MMT弱い≠筋力低下
このように考えていきましょう。
ここで考えなければいけないのは、
筋出力できるための関節位置にあるのか?
です。
アライメントが崩れていると筋力は発揮できません。ですから、筋力低下なのか、アライメント不良なのかを確認する必要があります。
選手の身体が安定しているかどうかのチェック方法です。
詳しい説明は過去の記事にも記載しておりますのでそちらもご参照ください。
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次に、クラムシェルで筋力・可動域を見てきます。ちなみにこの選手は股関節ROMは正常です。
クラムシェルを行うと選手は『腰部に力が入る』と訴えました。
肩甲帯・腰背部・骨盤緩みチェック
|股関節外転評価、クラムシェル評価
中殿筋の筋力低下が疑われますが、股関節周囲が緩んでいなければ外転・外旋はできません。
しかし、前述しましたが、本当にそうなのでしょうか?
それを確認するためにもう少し評価をしてみましょう。
次に骨盤帯の評価を行います。
|腸骨評価
これは抵抗を加えることで腸骨のアライメントチェックと骨盤の誘導方向のチェックが確認できます。
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