いつか誰かが歌う詩#15
「わたしたち――同時に生まれず、それでいてきっと同時には死なない。お互いが持っている時間のズレのような……そんな世界の設計に、私はドラマを感じるの」
踏みしめた雪の色が鳴った。
ぼくはまた彼女が変なことを言い始めたと思った。
「だってそうじゃない。おじいちゃんもおばあちゃんも、お母さんもお父さんも、飼っている犬も、みんな生まれてきた瞬間は違って、死ぬ瞬間も違うよ。誰かが誰かの死を見るの。見なくちゃいけないの」
それが嫌なの? と彼女へ聞くと、まあそれはもちろんそうね、と