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今夜は窓を通そう|詩
夏の熟した空気に
闇夜に響く蛙の合唱
戸口に二匹のはぐれものが
ペタリペタリと張りついて
確かな唱和で帰りを迎える
金魚鉢に泳ぐ四匹のメダカは
小さな住処をグルグル巡る
時たまけんかをしてみたり
時たま水草に隠れたり
餌を奪い合わないところなど
人も見習ったほうがいい
風が抜けるよう今夜は窓を通そう
星が見えるよう今夜は窓を通そう
2008/7/7
書きたくなったら
書きましょう
書きたくないのに
書いたものは
書かなきゃよかったと
書くようになる
書かずにおれないなら
書けるだけ書いて
書いて書いて書いて
書けることを喜びましょう
なにもかもが透明な│詩
少し錆びたバイクの
ヘッドライトに映る美しい青の空
瞬きとともに呼吸と時間が止まる
僕らの頭上の木々や白雲が
嘘や偽りなくすべて映し出される
苫小牧の夜明けの光
小樽の運河の灯
札幌の作り込まれた街のカタチ
移り変わる光とともに日常が
流れて消えて透けていく
富良野の緑の風
稚内の日暮れの藍
網走の枯れた海
走る風に煽られ飛ばされる
身体に纏わりついた幾重もの衣
釧路の湿った霧
根室の
言葉を二つ折りにして│詩
言葉を二つ折りにして
静かに胃の中に納める
時折
言葉はごろごろと
胃の中で転げ回るけれども
柔らかな言葉なら
快いものである
棘のある言葉なら
悶え苦しみ血まみれになる
小さく四つ折り
より小さく八つ折りにすれば
棘も飛び出ず痛みも軽い
小さく小さくするに限る
とはいえ
飲み込む言葉は
自分の好物に越したことはない
言葉を予め酒に浸しておくのも
刺激を和らげるためには良い
言葉に
「高知の夏」の最後、あまりに感情を置き去りにしてしまいました。脱字も含めて書き直しました。