SHIFT INNOVATION #58 「ワークショップ(KYOTO Design Lab編4)」
KYOTO Design Labの「kyoto Design Thinking EXPO2022」のミニデザイン思考ワークショップに参加し、ミッション(テーマ)である「プレゼント体験をリデザインする」に基づき、新たなアイデアを導出しました。
ワークショップ当日に導出した「みんなが欲しいものをプレゼントしあえるアプリ」とは、ペアの方が普段している差し入れ(プレゼント)しあうという行為におけるニーズに基づき導出したアイデアとなります。
一方で、後日導出した「SNSを活用した社会貢献スコアサービス」とは、「相手に喜んでもらえるモノやコトを無償で提供すること」と、プレゼントを概念化したことにより、個人から個人に対する行為だけではなく、一つの考え方として、社会から個人に対する行為であっても、プレゼントに該当するのではないかという考えに基づき導出したアイデアとなります。
そして、前回導出した「シェアリングによるプレゼントサービス」とは、はじめの段階で、プレゼントの概念に対して、意図的に今までとは異なる視点に基づき反転発想(「表裏発想」「背反発想」「逆転発想」)をすることにより、プレゼントの概念をリデザインしたアイデアとなります。
今回は、親和図法や二軸図などを活用する「強制発想」、とりあえず何かアイデアがないか思考を繰り返す「自然発想」に対して、前回、説明した「反転発想」(「表裏発想」「背反発想」「逆転発想」)や「シフトイノベーション」の方法論の方が、今までとは異なる視点により事象を捉えることにより、新たなアイデアを導出する上で、有効性が高いのではないかということを説明することとします。
※個人の感想です。
ここでは、反転発想(「表裏発想」「背反発想」「逆転発想」)を「半強制発想」ということとし、また、「シフトイノベーション」の方法論を「半自然発想」ということとします。
【半強制発想と半自然発想】
アイディエーション時において、とりあえず何かアイデアがないか思考を繰り返していると、「何かとりとめのない感じがして、このような方法でよいアイデアが出るのかわからない」という感覚に陥る場合がある一方で、強制的な発想方法を活用すると、「軸の設定が難しく、空いている枠に当てはまる解決策を出すのが難しい」という場合があります。
これは、フレームワークがない場合、拠り所となるものがないため何が正解であるのかわからないなど、不安になることがある一方で、フレームワークを活用しようとした場合は、フレームワークを活用するための条件設定が難しい場合があるなど、どのような状況においてもフレームワークを活用できるものではない場合があります。
これらのように、今までとは異なる視点により事象を捉える上で、完全に自然な状態で思考を繰り返していると、自分の固定観念がアンカーとなり、同じ視点からしか事象を捉えることができないため、今までとは異なる視点によるアイデアを導出することはできないこととなります。
一方で、フレームワークを活用すると、例えば、親和図法や二軸図の場合であれば、導出したアイデアに基づき設定した二軸において、空いている象限に関わる新たなアイデアを導出することから、意図的に今までとは異なる視点により事象を捉えることができるものの、象限に現れているアイデアから新たなアイデアを導出する、つまりは、テクストからテクストへ遷移したものであり、コンテクスト(インサイト)に基づき導出したアイデアではない場合があるため、今までとは異なる視点によるアイデアであっても、表層的なアイデアとなる場合があると考えられます。
そこで、前回、活用した「反転発想」(「逆転発想」「表裏発想」「背反発想」)に関しては、例えば、プレゼントの概念である「相手に喜んでもらえるモノやコトを無償で提供すること」に対して、意図的に反転させる「背反発想」を活用し、固定観念を排除することにより、今までとは異なる視点により事象を捉えることができたと共にテクストからテクストに遷移したものではなく、コンテクスト(インサイト)を起点に遷移したことによって、新たな概念を導出したものとなります。
また、「シフトイノベーション」の方法論に関しても、例えば、「ブレゼントできないプレゼント体験」という解決困難なコンセプトを設定することによって、究極的状況(コンテクスト)を想起させた上で、固定観念を排除することにより、今までとは異なる視点より事象を捉えることができると共にテクストからテクストに遷移したものではなく、コンテクスト(インサイト)を起点に遷移したことによって、新たな概念を導出したものとなります。
これらのように、「反転発想」(「逆転発想」「表裏発想」「背反発想」)や「シフトイノベーション」の方法論による「半強制発想」「半自然発想」は、はじめの段階で、意図的に反転させる発想をする、または、解決困難なコンセプトを設定することにより、固定観念を排除することができることにあわせて、その後は、自然な発想によって、今までとは異なる視点により事象を捉えることができると共にコンテクスト(インサイト)に起点に遷移することができると考えます。
よって、「自然発送」「強制発送」に対して、「反転発想」(「逆転発想」「表裏発想」「背反発想」)や「シフトイノベーション」の方法論による「半強制発想」「半自然発想」の方が、固定観念を排除することにより、今までとは異なる視点により事象を捉える上で、有効性が高いのではないかと考えます。
※個人の感想です。
【半強制発想に関する思考プロセス】
【半自然発想に関する思考プロセス】
【半自然発想に関する思考プロセスの活用】
親和図法や二軸図などの「強制発想」とは異なりますが、半自然発想に関する思考プロセス(※)に事象を当てはめることによって、強制的に導出した事例について説明することとします。
半自然発想に関する思考プロセス(※)とは、「1.コンセプト設定」からはじまり、「2.究極的状況の想起」「3.固定観念の抽出」「4.本質探究の質問」「5.固定観念の排除」「6.反転事例の適用」「7.適用事例の構造化」「8.関連事象へ収束」「9.新機能の適用」「10.新アイデアの導出」となります。
はじめのコンセプトの設定に関して、半自然発想と同様に「プレゼントできないプレゼント体験」とした上で、半自然発想に関する思考プロセスに基づき事象を当てはめました。
しかし、半自然発想に関する思考プロセスを活用した場合、半自然発想と同様の思考プロセスを経ているものの、最終的に導出した概念は異なるものとなり、半自然発想をした場合の概念は、「シェアできるモノやコトを無償で提供する」となりましたが、半自然発想に関する思考プロセスを活用した場合の概念は、「リアルとバーチャルで共有できるプレゼント体験」となりました。
これに関して、半自然発想においては、思考プロセスの途中で、発散や収束を繰り返すことにより、コンテクスト(インサイト)を起点に遷移しましたが、半自然発想に関する思考プロセスを活用した場合においては、思考プロセスに基づき、事象を一意に決めたことによって、事象を当てはめたものであり、コンテクスト(インサイト)を起点に遷移しなかったことから、最終的に導出した概念が異なったものになったと考えられます。
導出した両概念に優劣があるというものではありませんが、半自然発想に関する思考プロセスを活用した場合に関しては、「リアルとバーチャルで共有できるプレゼント体験」という既に存在するプレゼント体験であり、プレゼント体験の概念を変革するまでのものではないと考えられます。
よって、半自然発想に関する思考プロセスを活用することに関しては、今までとは異なる視点により事象を捉えるための仕組みを理解する上で有効性があると考えられる一方で、半自然発想に関する思考プロセスに基づき、事象をそのまま当てはめ思考した場合、今までとは異なる視点により事象を捉えることができた場合であっても、新たなアイデアを必ずしも導出することができるものではないと考えられます。
【半自然発想に関する思考プロセスを活用した事例】
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