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ヒビを入れる。

当noteは、オンラインのコーチングスクール・THE COACH Academy(ザコーチアカデミー)の仲間(有志)によって企画されたマガジン、『アドベントカレンダー夏_Journey_2022』の21本目の記事です。

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2022年6月に、コーチングスクール・THE COACH Academyのプロコース(6期)が修了した。

正直に言うとーーわたしはこのコースの受講途中まで、ずっとぼんやりとした不安を感じていた。コーチングに対する学びが身になっていないようで怖かった。薄い、黒い靄のようなベールを常に纏っているようで、そのことを漫然と先送りにし続けていた。

プロコースでは、自分自身と向き合うことにとても時間を割く。わたしは、他人と比較し劣等感に塗れてしまう性質で、少しでもそれをぬぐいたいと思っていた。

2022年2月、コースがはじまったばかりの頃、「コーチングスキルなど“武器”を磨いたら、自分で自分をを悪くないと思える気がする。5か月後、少しでも自分のことを好きになりたい」と宣言した。その時は、そこに向き合う5か月間になるんだろう、と疑うことはなかった。

けどある時、その考えが根幹から揺さぶられる事態となった。8回目の講義(全11回)中にひとり号泣してしまったのだ。

涙があふれた時は、自分の中に何が起きているのかがわからず戸惑っていて、俯瞰で見ている自分がいた。「わたし、泣いてる。なんで?」。その日から2週間ほどは、涙腺がとても緩みやすくなって、ふとしたはずみで涙がこぼれるような日々だった。

この時は、ほんとうにわけがわからなかった。その後しばらく、コーチングセッションや、雑談を交わしたりもしながら、あの瞬間のことを考え続けた。

泣いた時は、コースの同期たちが互いの「心底なりたい姿」を共有していた。みんなとても明るく、穏やかな表情をしていて、共通していたのは「まずは自分を大切にすること」だった。それがわたしを刺激し、なにかをこじ開け始めていた。

わたしは、わたしを大事にできているんだろうか。

そうして発見したのは、「誰にも頼れないわたし」の存在。なんでも「ひとりでできるもん!」「ひとりで生きれるようにならなきゃ」と奮闘しようとする自分の姿。

「あの人みたいに努力が足りない」
「こんなこともできないのかって思われる」
「わたしはなんてダメなんだ」
「このままじゃ、ひとりで生きられない」
「自分ひとりで何とかしなきゃ」

「ひとりで頑張らなきゃ!」と奮闘する自分と、比較し劣等感に苛まれることは繋がっているんじゃないか? それどころか、比較してしまう自分よりもさらに根っこの部分に、この、誰にも頼れない自分がいる。

気づくと、それまでに当時のマイコーチや友人らからもらった言葉が、たくさんたくさん心の中で反芻された。これまでだったら、ヘラヘラと「いやぁ、そんなことないですよぉ」とか言いながら、スルーしてしまっていたような言葉たち。

「のんちゃんは、がんばりすぎているようにみえるけどな」
「人に頼るのが苦手なんだね」
「人に頼るのって、弱さじゃなくて強さだよ」
「けっこう、人に義理立てして動いてる感じがする」
「あなた自身はどうしたいの?」

あっ! と気づくと、ゴーッと言葉の海に飲み込まれるような、ようやっと自分の心に、色々と大事なものが沁み込んでいくような、そんな驚きがあった。同時に、安堵感も覚える。

ああ、よかった。ここまで無駄だったことなんて、なかったんだ。

わたしはクライアント体験がゼロの状態で、コーチングを提供することやそのスキルに興味を持った。なので、自分がクライアント体験として衝撃を受けた経験がなく、それがちょっとしたコンプレックスだった。

スクールでは、能動的で学びに貪欲、そしてたくさん変容していく仲間がいる。その姿に「すごい!」と思いながら、どこか落ち込み、焦っていた。わたし、何も起きていない。変わっていない。なんだか鈍い自分に苛立ちすら覚えていた。

けど、そんなこと、全然なかったんだ。

頭に浮かんできたのは、殻付きのゆで卵。きれいにつるんと殻を剥くのにはコツがいる。いきなり強い力で、ガンガンテーブルにぶつけても、思うようにヒビが入らなかったり、やりすぎて卵自体がボロボロになったり。

時に大胆に、繊細に、殻に力を加えながらヒビを入れる。そのヒビに指を当てて、そっと丁寧に殻を剥がしていく。そうすると、白くて、つるんとしたきれいな白身が、少し姿を見せてくれる。

とくにプロコースの期間中は、殻に、丁寧にヒビを入れている段階だった。いまようやく、他人の目や評価、義理、そういうものの奥にある「わたしが大切にしたいもの」と向き合おうとしている。

はたから見たら、遅いなぁ、鈍いなぁ、と思われるかもしれない。けどいきなり、「好き勝手に思うまま行動しようぜ!」と、卵の殻を強い力でバリバリ剥かれたらたまったもんじゃないよ、とも思う。そんなことをされたら、白身や黄身はぐちゃぐちゃの大惨事だ。

丁寧に、少しずつ剥がしていく。その過程が、わたしにとっては大切だった。

というか、「遅いなぁ、鈍いなぁ、と思われるかも」と書いている時点で、まだまだ他人の目を気にしている自分が存在していて苦笑いしてしまう。けど、いいのだ。そういうのもまるっと含めて、どうしようもなくわたしだし、それに気づいているか否かの違いは、とても大きいと信じたい。

まだ色々と揺さぶられもする。こういうことは、きっとこれから何度もあるんだろう。けどいま、そういうことに気づけたこと、それ自体がうれしくって、わたしはまた泣きそうになる。

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