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本日最後のあんバタークロワッサン。

「あっ、今日これでラストなんですよ」

店員さんが、私からあんバタークロワッサンを1つ受け取りながら言う。まだ13時半くらいなのに、売れるの早いなあ。続けて「温めますか?」と聞かれたので、間髪入れずに頷く。少し離れた場所にいた別の店員さんが、「人気だなあ」と漏らしたのが聞こえた。

あんバタークロワッサン。あんことバターが挟まったクロワッサン。最近よく足を運ぶカフェに来るたび目に入っていたけれど、注文するのはこの日が初めて。いつもご飯を食べてから割とすぐに来たり、パンよりデザートを注文することが多かったので、なかなかタイミングが合わなかった。

「お飲み物と一緒にお持ちしますね」

マスクの下の口元は緩んでいる。ワクワクしながらテーブル席に戻った。

手のひらサイズより一回り小さいクロワッサンに、粒餡寄りのあんこと、長方形にカットされた厚さ5ミリくらいのバターが挟まっている。温めてもらったので、溶けたバターが半透明になって、あんこの方に少し流れていた。

フォークが一緒に添えられていたので、使おうか一瞬悩む。けど、ただただパンがボロボロになりそうな気がしたので、選択肢から外した。そのまま齧ってしまおうと持ち上げると、ほんのり温かい。

端からガブリといただく。一口目は、どちらかと言うとあんこの主張が強い。二口目からバターの香りが鼻に抜けた。どうしてあんことバターってこんなに合うんだろう。ゆっくり食べようと思っていたのに、食べ始めると止まらない。食べている間に傾けて流れたのか、最後のひと口にバターがすごく染み込んでいた。

こりゃ人気なわけだよ。もう1個食べたいけど今日はもう叶わない。最後のあんバタークロワッサンは私の胃の中だ。

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