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読書メモ⑤人を動かす

人が生きていく上で身に付けるべき人間関係の原則。人の心を突き動かすための原則を習熟するということは、単に小手先の何かを身に付けることではない。自らの人格を養い、互いを高め合うためのふるまいを身に付けることに繋がっていく。

人を動かす三原則

①批判も非難もしない。苦情も言わない。人は、たとえ自分が間違っていても、決して自分が悪いと思いたがらないもの。他人のあらを探し過ちを正そうとすると、自尊心を傷つけられた相手はこちらを恨む。他人を矯正するよりも、自分を直すほうがよほど得策であり、危険も少ない。馬鹿者に限って人の批評や非難をしたがる。相手を非難せず、理解しようと努めることで、おのずと同情、寛容、好意が生まれ出てくる。

②率直で、誠実な評価を与える。人間の持つもっとも根強い衝動は、自己の重要感であり、他人に認められることを渇望する気持である。自分の長所や欲求を忘れて、他人の長所を考える。

「どんな人間でも、何かの点で、わたしよりも優れている。わたしの学ぶべきものを持っているという点で。」

他人の真価を認めようと努めることが人を動かす秘訣である。見えすいた安っぽいお世辞ではなく、心からの讃辞を惜しみなく与える。

③強い欲求を起こさせる。人を説得して動かすには、まず「どうすればそうしたくなる気持ちを相手に起こさせることができるか」を自分に尋ねる。その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えること。

「まず相手の心の中に強い欲求を起こさせること。これができる人は万人の支持を得ることに成功し、できない人はひとりの支持者を得ることにも失敗する。」

人を説得する原則

・議論を避ける 議論はほぼ例外なく、双方に自説をますます正しいと確信させて終わるもの。議論に負けても、その人の意見は変わらない。意見の不一致を歓迎し、相手の言葉に耳を傾け、意見が一致する点を探す。

・誤りを指摘しない 私たち人間は、大した抵抗を感じることなく自分の考え方を変えることはよくあるが、他人から誤りを指摘されると腹を立てて意地を張る。人を説得したければ、相手に気づかれないように巧妙にやること。相手の意見に敬意を払い、教えないふりをして教える。

・誤りを快く認める 自分が悪いと分かれば、相手にやっつけられる前に自分で自分をやっつける。他人の非難よりも自己批判の方がよっぽど気が楽である。苦しい言い訳をせず、すみやかに自分の誤りを認める。負けるが勝ち。

・穏やかに話す 相手の心が反抗と憎悪に満ちているときは、いかに理を尽くしても説得することはできない。意見の相違があった時こそ、忍耐と率直さと善意を持つ。

・相手に喋らせる 人を説得しようとして自分ばかり喋る人がいる。相手の言うことに意義を挟みたくなっても、大きな気持ちで辛抱強く我慢し、誠意を持って聞かなくてはいけない。また、人は押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見の方をはるかに大切にする。相手に思いつかせることを意識して説得する。

・人の身になる 賢明な人間は相手を理解しようと努める。相手の考え、行動にはそれぞれ相当の理由がある。「もし自分が相手だったら、果たしてどう感じ、どう反応するだろうか」と自問自答し、相手の考えや希望に対して同情を持ち、よく理解すること。

・演出を考える 現代は演出の時代である。単に事実を述べるのではなく、事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。マスメディアはこの手法を利用している。

・対抗意識を刺激する 存分に腕をふるって相手に打ち勝つ機会がさまざまな競争を成立させる。人を説得する上で、優位を占めたい欲求、重要感を得たい願望を刺激することは効果的である。


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