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エンタープライズ情報システムの障害 その傾向と対策に関する研究 まえがき

時折新聞を賑わす情報システムの障害、2012年2月には東京証券取引所の取引システムがダウンし、午前中の取引が全面停止になった。この原因が人為的ミスだったのは後の様々な報道から明らかになっている。社会インフラの役割を担うシステムが停止した場合、その影響は計り知れない。そのため様々な社会性の高いシステムは高い耐障害性の仕組みを導入している。しかし、それでもシステム障害は発生する。

私たちは過去の障害事例から何をどのように学べるのだろうか。

その答えの一つをこの研究成果で示していければと考えている。この研究では可視化されたデータを過去の障害事例として取得した。そのデータの構築過程や管理過程について情報システムサポートの現場担当者へヒヤリングを行い、妥当性を確認した。またデータ整合性やポジション網羅性についても確認を行い、そのデータが大凡日本の代表的な企業が持つ情報システム全般を代表している点についても確認することができた。
筆者がこの情報を分析した際に、いくつかの特異点を発見することができた。この特異点について、筆者ではデータから答えを導き出せないものがいくつかあった。しかし、情報システムサポートの現場担当者へのヒヤリングを通じて、特異性の理由を引き出すことができた。

単に情報を可視化・視覚化あるいはデータ化しただけでは、適切に実態を把握できないということがこの研究を通じて痛感させられた点である。

是非この研究を頭から最後まで読んで頂きたい。そして異なる現場には異なる現場向けの最適化された分析方法を考えて頂ければ幸いである。情報システムのシステム障害という研究対象は、ITが全ての仕組みの基盤を支えるこの時代に、実は最もよく研究されていなければならないはずではなかろうかと私は考えている。このことに共感できるより多くの仲間と共に研究を実践していければと考えている。

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