会社を追い出されるまであと1ヶ月半

休日なのにいつもより早く起きて作業している。この時間が脳を働かせるゴールデンタイムだと思ったからだ。だが全然脳は働こうとしない。瞼が緞帳の様に重い。だから頭が働くまで林芙美子の放浪記を読んでいる。面白い、けど憂鬱になってくる。「ああ、もう二月もすると私もこうやって職探しに街を彷徨うのか……」というのと、「何この表現力、文体、リズム……最高じゃねえか……もう無理!私の拙い文章をここで晒すのは辱めでしかない」という考えで頭も体も重くなってくる。あと瞼も。寝ちゃおうかな。いや寝ない。


そう私は43歳にして16年働いていた会社を追い出されるのだ。

今の会社に入る前のこと、小さな配給会社で働いていたのだが、そこで全く使い物にならなかった私は、パワハラされたり、発達障害を疑われたり、ちょうどその頃恋愛関係で色々あったことも重なって(この件に関しては機会があれば別に書く)自尊心がズタズタになり、絶望の縁に立たされ、「ちょっとそこの車、私をしいてくれはしないか」などと思いながら試用期間の3ヶ月間を耐え、クビになった。

その後また3ヶ月間ダラダラしながら見つけたのが今の会社だった。ダメ人間だと自認していた私は、給料が安くてもいいから、とにかく楽でマルチタスクでなく、誰にでも出来る仕事がいいと思ってこの会社を選んだ。やり甲斐とか、社会的意義だとか、自己実現だとか、好きだとか嫌いだとかそんなものはどうでもいい、というか私にはそんなものを求める資格は無いと思っていた。そんなトラウマがあって、この会社辞めたらどこも雇ってくれない、人生終わりだなんて極端なことを考えて辞められず今に至ってしまったのだ。劣等感というものは本当に恐ろしい。

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