【連載小説】 死神に一目惚れしました 【プロローグ】
机に広げられた真っ黒な本。
その隙間から漏れる淡い光と、薄紫色の光の粒たちが空中で踊りだし、私の頬を照らす。
これが自宅のダイニングテーブルの上で繰り広げられている事とは思えないほどに、その光景は非現実的で、そして、綺麗だった。
その美しさに目を奪われていると、やがてそれは動きを変える。
一つ一つ、本から選別されるように空中に漂いだしたのは、文字だ。
ふわふわと宙を舞う選ばれた文字たちは、その動きを不規則なものから規則的なものに変化させていく。そして空中に意味のある文章を紡ぎ