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「ライター入門、校正入門、ずっと入門。」vol.4

「校正・校閲の仕事を専門とするプロフェッショナル集団」聚珍社の中嶋泰と、フリーライターの張江浩司が多種多様なゲストお迎えしつつ、定期的に酒を飲みながらぼんやりと「書くこと、読んでもらうこと」について話していくトークイベントの模様を、ダイジェストでお届けします。

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張江「今回は特に、具体的にどんな仕事をしているのか、なかなか分からない職業の方々に来ていただいてます」

中嶋「校正っていう仕事自体、具体的に何をするのか外からは見えづらいですが、それ以上かもしれないですね(笑)」

カモ「落語作家のナツノカモです。よろしくお願いします」

張江「カモさんは落語作家ということで来ていただきましたが、他にも色々やってらっしゃいますよね」

カモ「そうですね。色々やってて、自分の肩書きがわからないんですが(笑)、このイベントなら落語作家がいいのかなと」

結城「ゲームシナリオライターやってます、結城昌弘です。よろしくお願いします」

張江「結城さんはどこのゲーム制作会社に所属してらっしゃるかは言えないということで」

結城「諸事情で(笑)。言えないんですけど、やってることは本当です」

一色「XOXO EXTREMEのメンバーの一色萌です。今月から制服を夏服にしました!」

張江「一色さんはもうレギュラーでいいんじゃないですか?」

中嶋「いや、私が初心を忘れないためにもゲストでいていただきたいです(笑)」

名刺のおかげでライターに

張江「まずはお二人がこの仕事に至った経緯を教えていただきたいんですが、ゲームシナリオライターってゲームの制作会社に就職すればなれるものなんですか?」

結城「今でこそソーシャルゲームがものすごい数リリースされてるんで、ネットで求人を検索したら『ゲームシナリオライター』もヒットするようになってきました。昔は各社何人も抱えてるような職種じゃなかったし、ゲームのデザインをするプランナーや、監督であるディレクターが兼業するパターンも多かったですね。でも、ソーシャルゲームは3日単位とかで新しいシナリオを書かないといけないので、兼業じゃ務まらなくなってきたんですよ」

中嶋「ブログのペースと同じじゃないですか!」

結城「他のジャンルのシナリオライターからしたら、信じられないようなスピードで書いてますよ。今日も締め切りぶっちぎってここにきてます(笑)」

張江「結城さんも最初からゲーム会社に就職したんですか?」

結城「僕の時代はいわゆる就職氷河期で、大学出るときに就職するっていう発想がそもそもなかったんですよ。在学中にバンドを組んでて、インディーズでCDも出してたんで、音楽で食っていこうと思ってたんですよね」

中嶋「10年くらいの知り合いですけど、初耳だ(笑)」

結城「でも卒業して半年くらいしたら解散しちゃったんですよ。どうしようと思って、当時渋谷にあった『ビットツアーズ』っていう、ゲームに関連するカルチャーを幅広く扱ってた店でバイトを始めたんです。しばらくしたら、出版関係で働いてる友達から『ゲーム関連の店で働いてるんでしょ?今度、ゲームの本作るからバイトでライターやらない?』と声かけられて。一緒にお店で働いてた人と参加することになったんですよね。『ライターっていう肩書きの名刺作っといて』って言われたんで、一応作ったり。でも結局その本がお蔵入りになっちゃって、ライターの名刺だけが50枚くらい残ったんです(笑)。やることなくなっちゃったんで、知り合いのライターの取材について行って使い捨てカメラで写真撮ったり、アシスタントみたいなことしてみたりしました。そしたら別の知り合いの、某熟女雑誌の編集者から『ライターやらないか?』って連絡が来たんで、ライターの名刺と撮ってた写真見せて経験があるように振る舞ってたら採用されて、ライターデビューしたんです」

一色「名刺作ってよかったですね(笑)」

結城「そこからだんだん色々な雑誌で書くようになって、太田出版の『CONTINUE』とか、『SPA!』で書くようになって、ライターで生活できるようになっていきました。あるとき、自分がすごく影響を受けた『シルバー事件』っていうゲームを作ったグラスホッパーマニファクチュアが新作を出すということで、社長の須田さんにインタビューすることになったんです。そのあとも度々取材させてもらったり、『キラーセブン』っていうゲームの本も作ったりして、その縁で『新しいゲーム作るんだけど、シナリオ書いてみない?』とお話しをいただいて。それが『シルバー事件』の続編の『シルバー事件25区』だったんです。そこからグラスホッパーに入社することになって、ゲーム開発に本格的に携わることになりました」

張江「自分が一番好きなゲームの中の人になったってことですもんね」

結城「そうなんですよ。運が良かったんですよね」

中嶋「運は重要ですよ。そもそもは名刺が余ってただけですもんね(笑)」

結城「そうそう(笑)。あそこで名刺を捨ててたら全然違う人生になってたと思います。名刺と写真でハッタリを効かせられたというか。今だったらそんなことできない(笑)。若さですよね」

張江「シナリオも書いたことなかったわけですもんね」

結城「『自分にできるかどうか』はあまり考えてなかったですね。『ラッキー!俺売れるかも?』くらいの考えで(笑)」

一色「そう考えられる時点で向いているのかもしれないですね。やりたい気持ちが先行してるってことですから」

結城「ライターのときから、ちょっと自分にも荷が重いかなという依頼でも全部受けてたんですよね。仕事を続けていく上では断るわけにはいかないので。そういう経験があったし、大学も一応演劇を専攻してたんで、まあなんとかなるだろうと」

一色「このイベントで今まで色んな方のお話しを聞きましたけど、『ライターを目指して一直線で努力してきました!』っていう人は誰もいないですね(笑)」

カモ「『ライターになる』というゴールを定めて、そこまでの道のりを逆算するやり方が難しいですよね。ルートが決まってないから、未経験者は気合いでなんとかするしかない」

張江「カモさんは落語家がスタートですよね?」

カモ「大学を出て7年半くらい落語家をやって、辞めたあとは裏方に回りました」

中嶋「7年半って長いですよね」

カモ「落語家のキャリアからいうと全然短いです。入ってすぐ辞めたくらいの感じですね。落語作家という肩書きは今年から名乗り始めたんです。これまでにコントを書いてたこともあるし、テレビの構成やスマホゲームのシナリオに関わったことも、出演者側になることもあるので、『前の年に一番やったこと』を肩書きにしているんです。去年は40本くらい落語を書いたので、落語作家だなと」

張江「(視聴者から)『落語家本人じゃない人が落語を作っているという発想がなかった』というコメントがきてますね」

中嶋「私も意外でした」

カモ「ほとんどは本人が作っているか、古典をやっているかです。僕が勝手に落語作家を自称している感じで。落語は、基本的に無料譲渡なんです。落語家は師匠や先輩の落語家に稽古をつけてもらって、自分でやれるようになるんですが、ここに金銭のやりとりはないんですね。なので、落語作家は職業として成立しないんですけど、去年から落語家ではなくお客さんから『こういう落語が好きです』というような要望を聞いて、それに沿った落語を作り、お渡ししてお金をもらうということを始めたんです」

一色「なるほど!お客さんからならお金がもらえるんですね」

カモ「苦肉の策です(笑)」

中嶋「お客さんにとっては、自分だけの落語になるんですもんね」

カモ「画家に肖像画を描かせるようなイメージかもしれないですね。そうやって出来上がった落語を、落語家に無料譲渡するんです」

張江「他の落語作家も同じシステムでやってるんですか?」

カモ「特定の落語家や一門専属の座付き作家ということであれば、落語家からお金をもらって書いている人もいると思うんですけど、そうなると色々な落語家に提供はできなくなりますよね。落語家からお金を取ってしまうと、その噺を他の落語家に教える際はお金をどうするんだという問題が発生するので、やはり完全無料にするしかないと思います。その代わり、落語家が僕の噺を高座にかけるときに『ナツノカモ作』というクレジットを書いてくれるので、それを見たお客さんがまた僕に落語を注文してくれる、という経済の循環ができるんじゃないかなと」

結城「途中課金があるアプリみたい(笑)」

カモ「一人のお客さんのために書いた落語なので、それを落語家が演じて他のお客さんに披露したら嫌がられるかなと思ったんですが、結構みんな嬉しいみたいで。ウケてるとドキドキするらしんです。そういう体験も込みで喜んでもらえてるのかなと思います」

張江「40本のうち、まだ落語家さんがやってない噺もあるんですか?」

カモ「ほとんどまだやってないですね。いろんなタイプの噺ができてくるんで、落語家の個性に応じて渡せればと思ってます。落語は人間同士の会話なので、子どもを演じるのが得意な人もいれば、女性が得意な人もいるので」

一色「お客さんの注文で作るってことは、自分では思いつかない設定の落語がいっぱいできるってことですもんね」

カモ「そうですね、自分のオリジナリティというよりは発注に沿って、お客さんが満足してくれるかどうかが大事なのかなと」

中嶋「小室哲哉みたいですね。工場のように曲を生産していくという」

設定を書きまくるゲーム、削りまくる落語

張江「ゲームのシナリオは、ゲーム制作工程のどのあたりから関わっていくんですか?」

結城「ゲーム制作は、まず企画が立ち上がるわけです。企画の主軸は、アクションかRPGかといったジャンルであったり、システムの部分なんですね。でもそれだけだと成立しないので、『中世ファンタジーっぽい舞台でこのシステムを遊んでもらおう』という感じで、世界観を被せるんです。そうなると、シナリオが必要になってくるんです。昔は『インベーダーが襲ってきたから退治するシューティングゲーム』くらいで成立してたんですけど、ゲーム機の性能が上がってきて、表現できる幅が広がったので、ストーリーがないと保てないんですよね。なので、最初の段階で企画者がシナリオのコアを作って、そのまま一人で全部書く場合もあるし、ライターが複数名入って書く場合もありますね」

張江「企画のかなり初めから関わるんですね」

結城「開発の序盤から中盤くらいが一番忙しいですね。後半になるとだんだん仕事が減ってきます」

中嶋「ゲームのストーリーというとRPGのイメージがありますけど、他のジャンルだとどうですか?」

結城「今はアクションでも『悪魔が憑依して云々』みたいな設定がしっかりあるので、その世界観を作るのもシナリオライターの仕事ですね。キャラ設定表なんかをバシバシ作って、それを基にデザインを起こしていくので。他にもキャラクターが自分をなんて呼ぶのかをまとめた人称リストを作ったり、ゲーム内の言葉に関わる全ての仕事を請け負う感じです」

張江「1タイトルに何人くらいのシナリオライターが関わるんですか?」

結城「一人いれば大丈夫っていう規模のゲームもありますし、ファイナルファンタジーやグランド・セフト・オートみたいに膨大な設定が必要なタイトルだと十数名のライターチームが結成されることもあります」

中嶋「ほとんど映画の現場ですね」

結城「もう映画は超えちゃってるんですよ」

張江「確かに、映画で脚本家が10人以上参加してるってほとんどないですもんね」

結城「ハリウッドの超大作ならあると思うんですけど、スタッフの総数や予算はゲームの方がそこら辺の映画よりも上になってしまったので。だからリスキーなんですよ。でもその分、圧倒的なクオリティーも実現できるっていう」

一色「関わる人がそんなに多いと、世界観や設定を全員で共有するのが大変ですよね。『このキャラクターはこんなこと言わない!』みたいなトラブルが起きそう」

結城「そういう資料はめちゃくちゃ作らないといけなくて、ものすごく分厚くなります。昔はエクセルで作ってたんですど、今だと社内でwikiを作って社外からも見られるようにしてます。各社いろいろ工夫してると思いますね」

一色「ゲーム開発の都合でキャラクターが最初の設定と変わってきちゃうこともあるんですか?」

結城「めちゃくちゃあります。ゲームシナリオってシステムに付随するものだから、ゲームの遊び方そのものが変わったらシナリオやキャラクターも変えざるを得ないんですよね。『こういうイベントを組み込みたいからストーリー変えてくれ』みたいな注文はしょっちゅうなので、対応できる柔軟性は求められるかもしれないです。作家性が強すぎてもダメというか」

中嶋「職業ライター的ですね」

結城「ストーリーがユーザーにちゃんと伝わるように、例えば『このセリフは赤で表示してほしい』みたいなことをデザイナーと詰めたり、そういうこだわりはあるんですけどね。緻密なシナリオが要求される反面、最近では『ナラティブ』っていう概念が生まれて、ユーザーが自主的にゲームを体験できるようにあえてストーリーを語りすぎないようにする手法もあります」

カモ「ゲームシナリオライターの技術はどういうことで磨かれていくんですか?」

結城「まずはゲーム開発の仕組みを知らないとダメですよね。どんなセクションがあって、どういう順序で進んでいくのか。僕はライターだけじゃなくて現場のディレクターやプロデューサーもやったことがあるので、現場の機微がわかってきました。昭和くさい発想ですけど、やっぱり『現場百遍』というか(笑)。なんだかんだで泥臭くなっちゃう」

中嶋「落語だとキャラ設定のバリエーションは少ないですよね?」

カモ「そうですね。古典落語だと登場人物が決まってるんです。子どもといったら『金坊』だし、抜けてる人は『与太郎』だし」

張江「手塚治虫漫画のスターシステムみたいな感じですよね。どの漫画にもお茶の水博士が出てくるみたいな」

カモ「僕の作り方としては、古典落語の中でこの人物とこの人物はまだ出会ってないな、という二人を会話させるんです。金坊と御隠居さんが話す落語は意外とないぞ、という感じで」

一色「時代設定を現代にするときも名前は一緒ですか?」

カモ「現代だと名前も現代風にします。でも、落語は一人で演じるものなので、あんまり突飛な名前にはできないですね。ゲームみたいに分厚い設定資料があるようなキャラだと、聞いてるうちに『誰だっけ?』ってなっちゃうんで(笑)。部長と部下とか、誰でもすぐ分かる関係性のキャラクターにします」

中嶋「そこの説明はなるべく省略するんですね」

張江「落語家さんに演じてもらうときは『こうやってほしい』という指示は出すんですか?」

カモ「いえ、それは全く。むしろどんな感じに変化するんだろうっていうのが楽しみですね」

一色「同じフィクションでもやっぱりゲームと落語で全然違いますね」

結城「デジタルコンテンツなんで、落語みたいに血が通ってませんから(笑)」

中嶋「そのうちゲームも落語もAIが書くようになったりして(笑)」

カモ「落語はそうなってもあまり影響がないというか、結局その演者が好きか嫌いかなんですよね。極端な話、好きな落語家が高座に上がっていれば面白くなくてもいいじゃないですか」

一色「誰がやってるかが大事なんですね。確かに、それだと読み上げソフトが上手く演じても意味ないですもんね」

張江「古典落語のストーリー自体はwikipediaに載ってますから。落語で『ネタバレだ!』って怒ってる人は見たことない(笑)」

カモ「落語の噺って、どこかにある落語ワールドの1日を抜き取ったものなので、結末はあまり重要ではないんです。その噺の前日もあるし、翌日もあるしっていう。やっぱり誰がやるかなんですよね」

ゲームと落語にとっての校正

張江「フィクションに関して、校正はどんな役割があるんですかね?」

中嶋「ゲームシナリオや落語の台本を校正したことはないんですが、もしやるとしたらまず日本語として間違っていないかどうか。ゲームは文字で表示されるので、表記揺れがないか。基本的にはこういったことを見ていくと思うんですが、僕だったら『過去に似たような作品があるかどうか』もチェックすると思うんですね。お二人はその点どれくらい意識してますか?」

結城「とりあえずググりますね。なんとなく、シナリオを書いてると匂ってくるんですよ。ファンタジーもののキャラクター名とかは、どうしても似通ってくるので怪しいなと思ったら調べて入れ替えたりします。架空の地名だと思って付けたら、海外にある実際の地名だったりしますからね。それで海外発売できなくなって回収とか。とんでもない被害額になっちゃいますから」

中嶋「ガンダムにもグラナダっていう都市が出てきまけど、スペインにありますもんね」

結城「あれは狙って付けたところがあると思うんですよね。そういうアリかナシかの判断も難しくて。昔作ったゲーム『ロリポップチェーンソー』にゼッドっていうキャラクターがいるんですけど、映画『ポリスアカデミー』のゼッドから取ってるんです。こういうオマージュは気付いてほしいなと思いますし。ユーザーとの駆け引きというか、共犯関係というか」

一色「アイドルの名前も似てますね。私もめちゃくちゃ調べました。一色萌の他に候補だった名前と全く同じ名前のアイドルが出てきたこともありました」

張江「新作落語はどうですか?」

カモ「現代が舞台の新作落語専門でやってる落語家がどれくらい気にしてるのかはわからないですけど、『パクった、パクられた』みたいな話はほとんど聞いたことがないですね。あまりにも似てたらお客さんから反応があると思うので、そこで調整するくらいだと思います。落語の校正ということだと、落語らしい語順があるんですよね。『バナナで転んじゃってさ?』『バナナで?』っていう会話があるとしたら、『転んじゃったんだよ、バナナで』『バナナで?』という方が落語っぽくなるんです」

張江「『落語っぽいかどうか』という校正基準があるんですね」

カモ「元々僕が演者だったので、そこに意識的なんです。言葉を聞いて想像して楽しむ演芸なので、この語順にするとまず『転んじゃったんだよ』で人が転ぶところが頭に浮かんできて、『バナナで』でバナナが差し込まれる順番になるんですね。ただお話しを作るのと同じように落語を作ると、この特徴に気付けないんじゃないかなと思います。小説(『着物を脱いだ渡鳥』)を書いたときはこの語順が抜けなくて、編集者にすごく直されました(笑)」

張江「なるほど、落語的な文章と通常の文章は違うんですね」

カモ「落語の内容を文字に起こした速記本というのがあるんですけど、それをそのまま演じても落語にならないんですよ。読んで面白いように語順とかが整理されてるんで、落語独特のリズムがなくなっちゃてるんです」

中嶋「この話しで、ナレーション原稿とテレビのテロップの校正の違いを思い出しました。ナレーション原稿はナレーターが話しやすければいいのであって、誤字や表記揺れは関係ないんですよね。反対にテロップの校正は、まず、文字で見たときの正確性を求められるんです」

結城「ゲームはユーザーがストレスを感じないことが重要なので、いいセルフでもだらだら長いとダメなんですよね。『一度に表示できる文字数は何文字だからセリフはここまで』とか『スマホゲームは3タップ以内でセリフが終わるように』とか、そういう部分に心血注いでます。フルボイスのタイトルだと、セリフが長いと声優さんのギャラがめちゃくちゃかかるのでなんとか短くしたり、お金の問題もあります(笑)」

張江「全然違うと思ってたゲームと落語ですけど、『自分が思ったように書けばいいわけじゃない』というか、ゲームや落語そのものが書き手の自分よりも高次の存在としてあるなかで書くという共通点があるような気がしてきました。お二人はこの仕事のどんな瞬間にグっときますか?」

結城「ゲームの世界に自分の書いたキャラクターやセリフがバシッとハマったときはもちろん嬉しいですけど、一番はゲームが売れたとき(笑)。チームで作っている一つのプロダクトなので、シナリオだけが評価されるものではなく全員の作業が結果なんですよね。それは売り上げという数字に一番現れるんです。ユーザーの反応が目の前で見られるわけじゃないので、『どうだったんだろう』とウジウジするよりも数字で判断する方が健康的だなと思ってます」

カモ「落語は、古典という一番強いものがすでにある状態なので、それと競う気にはならないんですよね。150年前から残っているものに対抗しても、その結果がわかるまでにまた150年くらいかかるんで、そんなに生きてられないですし(笑)。なので、やっている喜びは、落語を書くことで落語を理解できたときですね。『ああ、古典はこういう構成になっていたのか』とか『だから現在にも残ってるんだな』とか、そういうことに気付けた瞬間というか。商売っ気が全然ないんですけど」

一色「真逆の結論になりましたね!(笑)」

次回は6月23日!

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「言葉を選ぶ」をテーマに、ラップグループ「絶対忘れるな」のメンバーであり、様々なグループに曲と詞を提供している志賀ラミーさんと、自由律俳句ユニット「ひだりききクラブ」の出雲にっきさんをお招きします。もうレギュラーな一色萌さんも、当然いらっしゃいます。

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