見出し画像

『ポジティブ心理学の挑戦』(読書感想)

今回の参考書籍

ポジティブ心理学の挑戦 “幸福"から“持続的幸福"へ 単行本 – 2014/10/29

マーティン・セリグマン (著), 宇野カオリ (監修, 翻訳)

”PERMA理論が最強”


1.幸福理論からウェルビーイング理論へ

「あなたは幸福ですか?」という質問をされたとしましょう。そしてあなたは幸福ですと答えたとします。しかしそれは本当でしょうか。そしてそれになんの意味があるんでしょうか。

幸福とはとても主観的なものです。そして一時的なものです。「あなたは幸福ですか?」と聞かれたとき、人は”幸福”の7割の部分を自分の今の感情、気分によって決めます。

世の中には幸福度調査と呼ばれるものがたくさんありますが、それらのほとんどがなんの意味もなさないのです。なぜなら幸福とは主観的であり、一時的な感情だからです。

”幸福”に代わる良い指標があります。それがウェルビーイングです。

ウェルビーイングとは”持続的な幸福”を意味します。そしてこのウェルビーイングには5つの要素があります。

2.PERMAモデル

これはそれぞれの英語の頭文字をとってPERMAモデルと呼ばれます。

P・・ポジティブ感情
E・・エンゲージメント
R・・ポジティブ関係性
M・・意味・意義
A・・達成

幸福理論はこの5つのP(ポジティブ感情)の要素しかありません。

なぜこのウェルビーイング理論のPERMAモデルが幸福理論よりも優秀なのかというと、それはPERMAモデルは主観的+客観的だからです。

ポジティブ感情は主観的なものですが、残りのERMAは主観的かつ客観的な要素です。客観的とは外部からみてわかるということです。そしてその値は誰が見ても同じものになります(定量的)。

主観的なものは測定不能ですが客観的なものは測定可能です。

つまり幸福理論とは違ってウェルビーイング理論は測定可能なものなのです。

そして測定可能であれば、何がウェルビーイングを高めるのか実験が可能になります。

そして実験と観察を通じてウェルビーイングを高める方法が確立されれば、人類の持続的幸福力は確実に底上げされるでしょう。

3.強みを生かす

そしてこの5つの要素を支えるのがあなたの「強み」です。

「強み」とはあなたの特性のことです。あなたが得意なことです。

そしてその「強み」を見つけ出し、それを日常生活で生かすことがPERMAのそれぞれの要素を高めます。

Personality Test, Personality Assessment: VIA Survey

本書ではこのウェブサイトで自分の強みを見つけることを紹介しています。

例えば私の強みが「好奇心」だとします。

そしたらこの強みである「好奇心」を日常生活でどのように生かすかを考えます。

例えば、読書をして新しい知識を得る、行ってみたことがない場所に旅行に行く、新しい友達をつくる、好奇心が満たせる仕事をする、などが思いつきます。

そしたら今やっている活動をこれらの「好奇心」が生かせる活動に置き換えるのです。

そうしたら自分の強みが生かせる生活を送ることができ、ウェルビーイングの増大につながります。

4.GDPとウェルビーイング

一般にGDPが高いとウェルビーイングも高まるとされていますが、それは先進国には当てはまりません。

ある程度の豊かさと政府によるセーフティーネットが機能している国では、富の多さとウェルビーイングの高さはイコールではありません。
*絶対的貧困を多く抱える国は例外である。

たしかに富があればPERMAのPのポジティブ感情(幸福度、満足度)は高まるかもしれませんが、ERMAは富とは無関係です。

これが先進国に生まれて、物質的にはとても豊かなのに抑うつや自殺など、ウェルビーイングが高くない人がいる理由です。

富≠ウェルビーイングです。逆に言えば、富がなくたって私たちはウェルビーイング(持続的幸福)を高めることができるのです。

お金はあまりない、しかし自分の強みを十分に生かして充実した毎日を送っている人はいます。

一方でお金はたくさんあるが、あまりウェルビーイングを感じられないという人もいます。

両者の違いはウェルビーイングの要素であるPERMAが高いかどうかの違いです。そしてこのPERMAは富の量とは関係がありません。

こう考えるとあなたは本当にお金持ちになりたいでしょうか?

多くの人は幸せになるためにお金持ちを目指します。しかし、お金と幸せ(ここでは幸せ=ウェルビーイングとする)にはあまり関係ないとしたら、本当にそれでもお金持ちになりたいですか?

__________________________________

読んでくださりありがとうございました。少しでもあなたの役に立てれば幸いです。もしよければ応援をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


応援していただけるととても嬉しいです!