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時代とともに変化していく言葉と、父の文句。

父はテレビを見ながら、なにかとケチをつけていた。

あのタレントは、目が離れている。
あの人は歌が下手だ。
髪型が変だ。
頭が悪いんじゃないか。

誰に言うでもなく、ブツブツと言っていた。
いつもそんな感じなので、こちらは”門前の小僧”的に、ネガティブ思考が刷り込まれていった気がする。


そんな父だけど、たまに「そうだよね」と思えることを言う。

今でも憶えていることがある。

テレビのアナウンサーが、「これから〇〇について、ご紹介したいと思います。」と言った。

父が気にしていたのは、この「・・・と思います。」のところ。
いまは日常あらゆるところで、使われている言い方。

上の例では、紹介することが決まっていて、すぐに実行されることなので、この場合「思います」ではなく「します」となるのではないか。

確かに。

読書の量は半端なかった父の言うことには説得力があった。
それを聞いてから、「思います」の使い方が気になって気になって仕方がなくなった。

「ではこれから、始めようと思います。」
とか自分で言って、ハッとする。

「ではこれから、始めます。」
でいいんだよー。と反省。

言葉は、時代とともに変化をしていく。

「足をすくわれる」という言い方も
いまでは7割以上の人が「足もとをすくわれる」の方を使うらしい。

[ ↓ 文化庁 平成 28 年度「国語に関する世論調査」
の結果の概要(P24)]

過去には
『てふてふ』が『ちょうちょ』
『せうゆ』が『しょうゆ』

と変化していったように、その時々に合った言葉や言い方に変わっていく。

たぶん、父はあの世で嘆いていることだろう。

ありがとうございます。優しさに触れられて嬉しいです。頑張って生きていきます。