ちょうすけ と 父の笑顔
父はとても寂しがり屋だったのだと思う。
ペットという家族をとても大切にした。
私が憶えているのは、ジュウシマツ、文鳥、インコ、金魚、ねこ、うさぎ、ハムスター、犬。
お世話係は、わたし。
朝起きたら、部屋をきれいにして、お水とごはんをあげる。
鳥籠の下に敷いたチラシを取り換える作業は、あまり好きになれなかったけど。
ジュウシマツと文鳥は、外で飛んでるのを見たくて、カゴの入口を開けてあげたら元気に飛んで行った。
可哀そうなことをしたんだと、父にものすごく怒られた。
そんな中で、とても記憶に残っているのは、ボタンインコ。
名前は「ちょうすけ」
みどり色の体にオレンジ色の顔。
籠に入れずに部屋の中で、肩に乗ったり、テーブルで遊んだり、とてもかわいかった。
「ちょうすけ」の名前は、父がつけた。
落語の『寿限無』からとったようだ。
長生きするようにとつけたらしい。
父に教えられ、「じゅげむじゅげむ・・・ちょうきゅうめいのちょうすけ」と、いつも長い名前を呼んだ。おもしろかった。
おかげでいまも『寿限無』は憶えている。
ちょうすけは少しおしゃべりもできて、「ちょうすけ、ちょうすけ」って、少しくぐもった声で自分の名前を連呼していた。
その声も、耳に残っている。
可愛かったなー、ちょうすけ。
ちょうすけが父の肩に乗っていたときは、父も笑顔になっていた。
ふりかえってみると父の人生にも、そんなひとときがあったんだ。
ありがとうございます。優しさに触れられて嬉しいです。頑張って生きていきます。