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ADHDのカフェマスターの家に転がり込んだら毎日がこち亀だった話

新生活

期待感、入学、就職、新たな始まりなどプラスの要素を連想させるこの3文字。

かく言う私もこの春から新生活を送っている。

しかし、私の場合は上に記したプラスの理由で新生活が始まった訳ではい。

詳細は省くが、永遠に続くと思っていた平凡な日々が突然失われた。


2月28日

あまり良くない諸事情により家を失った私は、身の安全を確保する為、有り金と貴重品を全て持って行きつけのカフェへ自転車を走らせた。

カフェの営業開始時間は11時。

今から向かえば丁度開店時間に店に着く計算だ。

案の定カフェへは開店時間丁度に着いた。

店へと続く扉を開く。

ガチャッ

ガチャッガチャッ

…?

時計をもう一度確認する。
11時丁度を示している。

もう一度扉を開ける。

ガチャッ


ガチャッガチャッガチャッガチャッガチャッガチャッ

そこで、私は思い出した。

この店は毎日ハプニングしか起こらない事を。

営業開始時間にオーナーが間に合わない事なんてザラであるという事を。

そして、そのハプニングを楽しむ為にこのカフェに通い続けていた事を。


一先ず、カフェオーナーのほっしー(@syobomaru)に連絡する。

確認を取った所、どうやら定休日では無いらしいが服が見つからない為まだ家にいるらしい。意味がわからない。

だが、そんな意味のわからない所もこの店を気に入った理由の一つだ。

11時45分にほっしーが着くらしいので、12時頃を見計らってテキトーに時間を潰した。

案の定、12時ちょうどにカフェに続くエレベーターを待っていたらほっしーと落ち合うことが出来た。

45分遅刻の予定が1時間の大遅刻だ。
最高の朝である。



ほっしーに今日から泊まる家がない事を説明した。


「そうゆう事ならウチくる?汚いけど。」


神か。天使がここにおるのか。

1時間の遅刻なんて水所か土石流に流せる位の有難い言葉だ。

こうして、その言葉に甘えた私はほっしーの家での居候新生活が始まった。




カフェの営業終了後、ほっしーの家に向かった。

ほっしーはこの時、丁度引越ししたばかりだと言う事を聞いていた。

引越し直後の部屋は一般的に散らかっているものだという認識はある。

ダンボール箱が幾つか積み上がっているのだろうという予想の元、ほっしーの家に足を踏み入れた。

「ごめんねー!足の踏み場が無いんだけど入って入ってー!」


足の踏み場がない」と言えど、謙遜だろう。

テストで満点近く取るやつが「今回全然勉強してないんだ」と言ってくるのと同じ類だと思ってた。



ほっしーの部屋は、0点だった。

本当に足の踏み場が無かった。


部屋のあらゆる所に布という布、何かの残骸、何かの調味料が無造作過ぎる配置で床を埋めつくしていた。


時刻は夜8時。

彼女は明日も11時からカフェ営業を控えている。

睡眠時間も必要だが寝る場所も必要だ。

これを、1人で片付けようとしていたのか。
なんて無謀すぎる挑戦。

発達障害の特性はあまり理解していないが、ほっしーの見切り発射で時間配分を考えずに行動する特性がこんな所にも現れているとは。

そこそこ片付けが好きな私をこの場に召喚したほっしー、悪運が強すぎる。




案の定、片付けは難航した。

モノ、モノ、モノ。

どれだけ捨ててもどれだけ片付けても有象無象のモノが溢れ出てくる。

ハリーポッターだかドラえもんだかで見掛けた、モノが触れるとそのモノが倍になる錬成術的な魔法ないしはひみつ道具でも使っているんじゃないかと絶望した。




そうこうして深夜も11時を回った頃、ほっしーはおもむろに何かを組み立て始めた。

何を組み立てているか聞いた。

ベッドだそうだ。

今更すぎる。少なくとも、日付が変わる直前にやることでは無いと思う。


ガンガンガンガン音を立ててベッドを組み上げていくほっしー。


あぁ、隣の家の住人さんごめんなさい。

幸いどれだけ音を立てても10日程経った今までクレームは来ていない。

隣人さんの優しさに甘えて感謝の辞をここに示す。ありがとう隣人さん。
これからも暫く深夜にうるさくする生活が続きそうな予感がするので許してください。


奇跡的に日付が変わる直前には互いの寝床は確保出来た。

床に塵芥埃が散らかっていたがメガネを外せばそんな物は見えない。見えないものは気のせいだ。

私は、ほっしーが以前住んでいたシェアハウスから持ちこんだソファで寝ることになった。


このソファ、今まで男女年齢問わず多くの来客が寝ていたようで
勲章のように付けられたシミと漂う腐敗臭が特徴だ。

だが、シミは上記の通りメガネを外せば見えない上、臭いはマスクをしたら耐えられるハズだ。

今まで丁寧にケアをしてきた私の大切なお肌さん、さようなら。

こうして、私の新生活が始まった。


一日分の出来事を書いただけでこの密度なので、一旦ここで止めるが、気が向いたら続きも書こうと思う。

書くことは山ほどある。

毎日事件が耐えないから。


※ほっしーのプライバシーに関わる表現が幾つかあったので、全文確認して頂いた上投稿しています。


追記

続き更新しました。


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