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ADHD持ちカフェオーナーの家に転がり込んだら米が炊けるまでの工程が長すぎた話

■あらすじ
やんごとなき事情にて家を失った私。
ADHD持ちのカフェマスターほっしーの家に転がり込んだら
深夜2時に鳴り響く銃声、毎晩行われる突貫工事、あぁご近所さんごめんなさい。


詳細は前回記事にて↓



3月3日

この日はシンガーソングライターのうおちゃんの自宅に泊まらせてもらった。


ほっしーと居るのも毎日事件が沢山で楽しいが、やはり少々疲れることもあったので
気分転換に他の友達の家に泊まらせて頂く時間は有難かった。

今晩の宿主であるうおちゃん、家なき私を泊めてくれる心優しさだけでなく

魅力的な歌声と、イラストや文才、見た目の可愛さまで兼ね備えた

神が何物も与えた人であり、私の推しでもある。

うおちゃんの事を初めて知った方は1度この曲を聞いて欲しい。

うおちゃんの楽曲の中で個人的に1番好きな曲だ。


うおちゃんの部屋は、アーティスト感満載だった。

部屋のあちこちにおしゃれなポスターや歌詞が貼られ、うおちゃん愛用のギターが部屋の隅にちょこんと置かれていた。

そして部屋の奥に進むと


うおちゃんがYouTube撮影に使用している一角が現れた。

スマホの中で見ていた風景が、目の前に現れるというのは不思議な気分だった。

こんなエモを体現した部屋に泊まって良いのだろうか。


うおちゃんは、手の込んだ料理と
天日干ししてお日様の香りのする布団を用意して下さっていた。

今までのディストピア生活が嘘のようだ。

おもてなし精神があり過ぎて、流石アーティストとして極めるうおちゃん。見習う所しかない。


3月4日


朝6:00

Def Techのアラームから始まる爽やかな朝。

前日までの銃声とのギャップを感じる。夢だったのかな。

うおちゃんは普段の起床時間よりも大分早い時間だったが、私に合わせて早起きしてくれた。

申し訳なさを感じたが、「朝活するから気にしないで」と言って下さった。人間性が出来すぎている。

健康で文化的な最低限以上の一日を送ることができ、うおちゃんと憲法25条に感謝して出勤した。






ほっしーの家に帰宅したら、鍋で米を炊いていた。

一口コンロでよくやったなぁと彼女のサバイバル能力に感心。

炊飯器が無くてもどうやら生きていけるようだ。

きっと地球上にどんな危機が迫ってもほっしーは最後の一人になるまで生き残るんだろう。



深夜22時

今日もほっしーは夜勤のため深夜に起床。
相変わらず鳴り響く銃声。

どうやら深夜バイトはシフト制の為、起床時間はバラバラなようだ。

ほっしーが元気よく出掛けたタイミングで家事を済ませ、私も寝床に着いた。






たっだいまー!

元気よくほっしーが帰ってくる声がした。

もう朝かと時間を確認する私。

時刻は23時。

職場まで15分は掛かるとして、往復の通勤時間で30分。

30分しか働かないなんてことあるのか?

ほっしーと感動の再会を果たした私は事情聴取に入った。

どうやらバイトの日付を間違えていたらしい。

常人なら時間を無駄にしてしまったと後悔するところだろう。

しかし、ほっしーの脳内に「後悔」という言葉は恐らくない。

いや、あるのかもしれないが後悔のレベルが常人離れしている。


「バイト先に伝えたい事があったから、言って帰って来れて丁度良かった」との事で、彼女は晴れ晴れとしていた。

転んでもタダでは起きない。
流石ほっしー。

彼女のポジティブさは、見習うものがある。





3月5日


炊飯器が届いた。

ほっしーもTwitterで喜びの報告をしている。

ようやく文明的な生活に1歩近付いた、と私も心を躍らせた。

まさか延長コードが無いため接続出来ず

3日間サトウのご飯生活が待っているとはこの時誰も思っていなかった。


自分が引越しをする際は、真っ先に炊飯器を購入する事を心に決めた。



3月6日


この日、ほっしーはカフェ営業終了後
店の常連さんと夜間スキーに出掛けた。

家に残されたのは私一人だ。

かなり信用してくれているようで、合鍵も渡されているが

居候を1人残して出かけても良いのか、居候の立場の私が心配になった。


3月7日


夕方頃、ほっしーからのLINE通知が鳴った。


延長コード持ってたりしないよね?

もちろん持っているわけが無い。今の私は無一文だ。

何故延長コードが必要なのかは上述の通り、炊飯器の接続に使いたかったらしい。

炊飯器が到着して、すぐに使わなかったので不思議に思っていたが
やはり全ての物事には理由があるらしいというこの世の法則を再確認した。

時間があったら買う旨を伝えてやり取りを終えた。

帰宅後、カフェ常連の友人から頂いた餃子を食べた。

涙が出る程美味しかった。


ディストピア野菜生活をしていた中で、こんな文明的な食べ物を味わえるということに感動を覚えた。

サトウのご飯で食べる事だけが惜しかった。

3月8日

ついに米が炊けた。

米が炊けた。


米が、炊けた!!!!!


心の中の全米が沸いた。いや、炊けた。

どうやら延長コードをどこかしらで調達したらしい。

購入品でなく、貰い物な所がほっしーらしい。

炊飯器で炊いたご飯はやはり別格の味わいだ。

あまり食に執着心の無い私が人生でここまで米に感動できる日が来るとは思ってもみなかった。

ありがとう炊飯器、ありがとう延長コード。

全ての白物家電に感謝の意を表する。


※ほっしーとうおちゃんのプライベートに関わる記載があったので、本人達ご了承の上掲載しております。

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