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人の真価が試されるとき

日本では報道されなかったある父親のインタビュー

2022年5月24日午前11時30分頃

アメリカテキサス州にあるユヴァルディー市の小学校にて
ライフルによる乱射事件が発生

小学生19人と教師2人、合計21人が犠牲となりました

犯人は18歳の男性で現場で狙撃逮捕されました。
犯行の動機は不明です

事件発生後19名の警察官が現場へ到着していましたが
それから1時間ちかく犯人の立てこもっていた教室に
突入しませんでした

その理由などは現在調査中で
もっと早く犯人を狙撃逮捕していれば
助かった子どもたちもいたかもしれないという
仮説をもとにテキサス州の知事、警察当局などは
世論から激しい批判を受けています

私のこの記事はこの事件の犯人や被害者の事ではありません
また、アメリカ社会における銃規制をめぐる社会問題でもありません

ある女の子の父親のことです

NBCテレビのリポーターが現場で遺族へのインタビューを行いました
応じたのは10歳の女の子をこの事件で失った父親です

リポーター「あなたはなぜそんなに落ち着いていられるのですか?」

父親「はい、私はとても落ち着いています。私が取り乱したり、悲しんだりしていたら妻や残された子どもたちに力を与える事ができません。
だから私は非常にフラットな気持ちを維持しています」

こんな時に涙も見せずに普通にインタビューに応じる人を初めて見た

この事件で犯人が使った銃はAR15という軍事用に開発された
非常に高い破壊力を持つライフルです
なぜかアメリカでは18歳になると身分証明書を見せるだけで
前科が無ければ誰でもこういうライフルを購入できます

犯人の18歳の男性はこのライフルと300発以上の弾丸を小学校の
ある教室に持ち込んで教室のドアをロックしてから
無差別に乱射したのです。

子どもを庇おうとした女性教師が最初の犠牲者となり
その後10歳前後の19名の小学生と1名の教師補佐が次々に射殺されました

事件後、現状検証で身元確認はDNA鑑定でしかできない状態でした
衣服も靴も判別不可能なほどに破壊されていました

インタビューに応じた父親の娘は10歳
彼女が当日履いていたコンバースのバスケット・シューズと
DNA鑑定によって身元が確認できました

このような予想も出来ない極限状態の時に
人は日頃から形成された本質を表すのではないでしょうか


私の息子が18歳くらいの時に自転車に乗っていて
トラックに跳ねられ大怪我をしました
その知らせを聞いた瞬間から車で病院に到着する時まで
頭の中は真っ白で生きた心地がしませんでした
どのようにして、どんなルートで病院へ行ったのか
どれくらいスピードを出して
どれくらい交通違反をしていたのか
まったく覚えていません

幸い息子は命をとりとめ
3回の手術と長い入院、通院生活の末
今は後遺症もなく社会復帰しています
事故当日の深夜、病院のCCUに到着するなり
看護師長さんが「息子さんは大丈夫です。回復しますよ。」
って言ってくれた一言が私にどれだけの力を授けてくれたか
その場で膝から崩れ落ちました
涙が止まりませんでした
当時のドクターやナースには心より感謝しております


この事件では色々な人達がインタビューに出ていましたが
この10歳の女の子の父親だけが
他の誰とも違う態度だった事は
とても印象に残っています

「私が妻と残された子どもたちに力を与える」

こんな事を言える人はなかなかいません

人は問題が発生した時
極限状態に置かれた時
本当の力を見せるのだと
昔の上司が言っていたのを思い出します

その上司いわく
「仕事なんて出来て当たり前だ
大切なのは何か不測の事態が起こった時に
どのようにしてそれを解決するかだ
その時にその人の価値が問われる」

仕事に限らず
人生のすべてのシーンで
どんな状況でも
誰かに力を与えることができる人になりたい

私の残り時間でできることの一つにしたい

このユヴァルディー市の事件の犠牲者とご遺族に
心からお悔やみ申し上げます

My heart goes out to all who were affected by this senseless incident in Uvalde.


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