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図工展への道

今回ご紹介する内容は、
図工担当(専科)の先生向けです。

投稿を作成しながら、
初めて図工展を担当した
当時を思い出していました。
3学期に図工展を開催するにあたり

「これまでにないような、おもしろい図工展を」

と、意気込んでみたものの
何をどのように進めていけばいいのか手探り状態。

「 もっといいアイデアはないか。」
「 もっとよくできないか。」


などと考えている間に、時間はどんどん過ぎ、
人にお願いするには遅すぎてしまい、
どんどん自分で抱え込でしまうといった悪循環に…

当時の先生方には、たくさん助けていただきましたが、
もっと計画的に、もっと早く決断して
余裕をもって進められていれば…と当時を振り返ります。

そんな苦い思い出から、
『 図工展への道 』
として今回の投稿を作成しました。
設定としては、3学期開催の大規模校を想定しています。

どなたかお一人でもお役に立てれば幸いです。


1.図工専科の役割

常に先を見通し、早め早めが成功の秘訣です

図工専科は、図工展という大きな船の船長です。
構想~準備・実施まで、約1年間
アイデアを出し、時に相談に乗り
調整をしながら舵取りをしていきます。
時に孤独で、一人でたくさんの仕事を
してしまうこともあるかもしれませんが、
早めの相談と協力依頼で学校全体で進めていき
一人で抱え込まないことが大切です。

2.全体計画の立案

自分の授業の準備と並行しながらの計画作成は大変です

図工専科の役割の一つに全体計画の立案があります。
いつ、何を、どの学年がなど全体を見ながら
考えていかなくてはなりません。

学期ごとにどのような取り組みをするのか、
それぞれまとめていますので、
それらを参考にしていただければ幸いです。
(3学期に図工展を開催すると仮定して作成しています。)

1学期

1学期は早速、作品作りに取り組もうと考えている学年も
あるため、予め検討、調整、決定しておいた方が
よいことがたくさんあります。
学期初めで大変ですが、以下のような
内容を決定しておくことが、その後の図工展の準備を
スムーズに進める第一歩となります。

● 図工担当部会の開催(各学年から代表1名)

約1年とい長い期間をともに考えながら進める心強い仲間です

図工担当部会は、各学年に図工担当を1名決めてもらい
その担当と図工専科とで開催します。
職員会議に提案する前のたたき台の検討や、
各学年の意見の集約、伝えてもらいたいことの伝達など
図工専科と各学年とをつなぐ役割を担います。
図工専科にとっては、よき協力者となりますので
しっかりと相談し、力を合わせて進めていきましょう。

● 職員会議での提案(方向性・テーマ・全体計画)
1学期の職員会議では、テーマと全体計画を
提案することが大切です。
テーマを決めておくことで、
そこから、各学年が何をつくるのか
作品の検討をすることができますし、
全体計画や依頼事項を提案することで
見通しをもって進めることができます。

【 テーマ例 】
宇宙・地球・自然・世界・日本・海・空・動物(陸海空)
昆虫・食べ物・乗り物・ 植物・自然の恵み・季節・歴史
遺産・ 祭・スポーツ・出会い・ファッション・ファンタジー
カラフル・サーカス・遊園地・おもちゃ・SDGs など

テーマを絞り過ぎると、しばりが強過ぎて窮屈になる反面、強いメッセージ性を出せます

テーマが決まると、タイトルも決まってきます。
ここまでくると、全体のイメージの共有を図ることが
できるので、作品や飾りつけについての話も進めやすくなってきます。

【 タイトル例 】
○○美術館・○○ミュージアム・○○パーク・○○の森
○○の海・わくわく○○ランド・うきうき○○パーク
ファンタジー○○ランド・○○サーカス・○○動物園
○○物語・○○パラダイス・○○オリンピック など

子どもたちに考えてもらったり、いくつか提案した中で、投票制にしたりすることもできます

職員会議では、テーマや日程などの計画のほかに、
共同作品の有無(図工専科が内容を考え、制作を依頼)
各学年の掲示物(作品説明や飾りなど)
といった依頼事項を予め提案しておくことも大切です。
そうすることで、掲示物を夏休みに作成するなど
各学年で段取りを考えて計画的に
準備をすることができます。

● 技法、描画材の調整

学年の希望と児童の発達段階に応じた提案ができるといいですね

図工展では、学年に応じて様々な技法や材料が
使われた作品が並ぶのも大きな魅力の一つです。
そのため、テーマが決まり、各学年が作品について
検討し始めた頃に題材や材料、技法などが
被らないように調整する必要があります。
その際、どのような作品をつくるのか
アイデアに困っている学年があれば、
相談にのり、いくつか作品のアイデアを提供します。

【 表現技法 】
絵画・版画・切り絵・半立体
バチック・スクラッチ・スパッタリング・マーブリング
【 画材 】
絵の具・クレヨン・色鉛筆・コンテ
ペン・マジック・墨・鉛筆・木炭
【 材料 】
画用紙・段ボール・新聞紙・木材・竹
針金・金属・紙粘土・陶器・布・砂

被った時に、どのような技法や材料を提案できるか、図工専科の腕の見せ所です

2学期

項目ごとに分けておくと管理やチェックも楽になります。

2学期は、各学年がどこに作品を展示するのか、
図工展における各学年の役割分担など
より具体的な内容を詰めていきます。
内容も多岐に渡るため、チェック表などを作成し
漏れがないように進めていきます。
2学期は行事が多く、大変ですが
定期的に図工部会を開催しながら
少しずつ進めていきます。

● 作品展示場所の決定
作品サイズの確認
児童数の確認
展示場所の検討・調整

● 展示補助具の調整
展示用布の調整(色やサイズなど)
展示補助具、什器の調整(長机、跳び箱など)

● 台紙の発注
作品に対する台紙サイズの確認
納品日の確認

● パンフレットの準備
各学年の作品のタイトルの確認
デザインの構成
印刷日、部数の確認
印刷の依頼

● その他
展示までの作品の保管場所の調整(立体作品など)

3学期

いよいよ作品搬入。これまでイメージしてきたものがカタチになります

3学期は、いよいよ本番です。
事前準備や搬入搬出、
開催期間中、終了後など
タイミングに応じて準備をしていきます。

● 展示事前準備(職員作業)
壁面の設置
展示補助具、什器の設置(長机、跳び箱など)
展示用布の設置(色やサイズなど)

● 作品などの搬入、設置
作品の搬入順の調整
共同作品の設置
掲示物の設置(各学年の説明、飾りつけ、順路など)

● 開催期間中
安全面の確認
観覧者の動線の確認
児童、各クラスの観覧順の調整
立ち当番の配置

● 開催終了後
作品搬出順の調整
職員作業の実施(展示補助具、布、什器の片付け)
アンケートの回収
職員からのふり返りの集約とフィードバック

おわりに

子どもや大人の感性を刺激するようなわくわくするような図工展の開催に向けてチーム学校で

初めての図工展担当での手探り状態や
苦い経験から得た知識をもとに、
「図工展への道」を歩む際のステップやポイント
についてご紹介しました。
ここにご紹介した内容は図工展を進める上で
ごく一部になるかもしれませんが、
初めて図工展を担当される先生のお役に
少しでもなっていれば幸いです。

一年という長い道のり、
時に孤独に、時に苦しい時もありますが、
一人で抱え込まず、学校全体で楽しみながら
素敵な図工展を開催されることを
願っています。


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